Fikret Bilaコラム:司法改革はなるか?
2010年02月19日付 Milliyet 紙

サードゥッラー・エルギン法務大臣は、司法制度に関し昨今、緊張が高まっているのをうけ、司法改革が緊急を要すると発言した。法務省が講じた最重要の対策のひとつが、裁判官・検察官高等委員会(HSYK)と憲法裁判所の構造改革である。HSYK副会長カーディル・オズベキ氏は、エルギン大臣の発表を「HSYKを解体するための基礎固めだ」と解釈した。

政府と高等司法との関係は非常に緊張した状態にある。エルギン法務大臣は、HSYKと高等司法組織を鋭く批判した。HSYK副会長オズベキ氏と、最高裁判所長官ハサン・ゲルチェケル氏も、エルギン法務大臣の発言に対して、同じくこれに鋭く反発した。ビュレント・アルンチ副首相は、HSYKと最高裁判所長官、最高裁判所共和国検察総長を、厳しい態度で批判した。

論争は政治の場にも影響した。共和人民党(CHP)党首デニズ・バイカル氏は、司法を政治化させたとして政府批判を行い、こうした事態の進行を、「教団政治家の復讐だ」と述べた。トルコの司法と軍の一部を、教団組織がその影響下においているという見解を述べた。

●ギュル大統領が歩み寄りを呼びかける

この様相をみたアブドゥッラー・ギュル大統領は、司法改革が必要であると明言した。しかし、この試みが対立を深めさせないことが必要であると指摘し、司法改革に向けて各政党に協力を呼びかけた。ギュル大統領は、この悪循環は、ただEU基準と協力に基づいた司法改革によってのみ断ち切られるとのメッセージを送った。EUがこの件に関して最も関心を持っているのが、法務大臣と参事官とが、司法の独立のために委員会から除外される必要があるという点についてである。しかし、法務省の用意した草案では、このような改革はもり込まれていない。

●歩み寄りはなるか?

今日の条件下で、トルコ大国民議会(TBMM)において合意に達することができるだろうか?この問いに「できる」と答えることは不可能だ。共和人民党は憲法改正について、政権与党と合意することは不可能であると明言した状況にある。共和人民党は、憲法裁判所が公正発展党(AKP)について世俗主義に反していることを焦点に有罪判決を下しており、このため政権は憲法改正を目指すべきではないという見解を持っている。トルコ大国民議会の紛糾と、ハーブル・キャンプからPKKメンバーがトルコ国内に帰還した事件のあとでは、民族主義者行動党が政府と行動をともにする可能性はなくなった。

●国民投票の可能性

こうした条件下で、政府が司法改革を国民投票に付すことを視野に入れてトルコ大国民議会に提出する可能性はより高い。HSYKと憲法裁判所の構造と権限、職務を改革するためには憲法の改正が必要だ。公正発展等の国会議席数は、国民投票なしで憲法改正するには不足している。平和民主党(BDP)の協力が得られても、367議席に満たない。こうした状況で、330票から367票の間の得票で議会を通過する憲法改正案は、国民投票に付されることになる。もし平和民主党が協力しないなら、その場合は公正発展党から離反者をださsず、337票以下にならないことが必要である。

政府は、「司法改革が喫緊性を帯びた」と明言したが、こうした条件にも注意する必要がある。憲法改正を必要とする司法整備が、国民投票なしで成立することは不可能だ。ギュル大統領が昨日指摘したように、国民投票が2極化への影響力をもつことは明白である。このため、政府はまず国民投票への覚悟をしなければならないだろう。

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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:18511 )