米「アルメニア虐殺」決議案に関し、ダヴトオール外相会見
2010年03月05日付 Hurriyet 紙

アフメト・ダヴトオール外相は、アメリカ合衆国下院外交委員会での決議に関する記者会見を行い、そこで問われた最も重要な質問に対し、「いいえ、そのようなことはない」との完全否定を避けた。

ダヴトオール外相に対し記者会見である新聞記者が、「法案が可決されるとアメリカ合衆国との関係において、協定などが取り消される可能性があると言われています。この文脈で今後インジルリキ(米軍基地)に関する議論、アフガニスタンからの撤兵といったことが問題となりますか?」との質問を向けた。

ダヴトオール外相はこの質問に「ノー」とは言わず、次のように答えた。
「我が国の大使の召還後この問題に着手する。閣議でも話しあう。大統領、首相、野党と協議することもありうる。これは私たちにとって国家の体面に関わる問題である。なぜなら相違点をなくし、野党と共通の視点でこの問題に対処するつもりだからだ」

ダヴトオール外相は、明日(6日)のナームク・タン在米トルコ大使のトルコ帰国が待たれていることを明らかにし、今後どうするかを議論するにはまだ早いと述べた。

この返答はいわゆるアルメニア法案の委員会通過に対し、トルコがインジルリキ基地の閉鎖も含む非常に厳しい措置をとるとのメッセージを発したと解釈された。

■協定停滞の可能性
ダヴトオール外相は、この決定がアルメニアとの間で行われている国交正常化プロセスを停滞させるリスクも内包していると述べた。

ダヴトオール外相は記者会見でなされた質問に対し、「相互の取り組みにより、この正常化プロセス継続のためにできる限りのことをする。昨日の決議はこのプロセスを減速させるどころか停滞させるリスクも内包している」と述べた。

ダヴトオール外相はトルコが協定承認のプロセスを減速させるだろうという仮定は正しくないと強調し、協定承認は全面的にトルコ大国民議会(TBMM)の判断するものであり、これがテクニカルな問題である限り、政治的ムードとも関係する問題であると説明した。

■「こちらに来て向い合って話しあおう」
ダヴトオール外相は1915年に起こったことはアルメニア人だけに関係しているのではないと述べ、当時の多くの人々が共通の痛みを共有したと述べた。

ダヴトオール外相は「私はここからアルメニア人に呼びかけている。こちらに来て向きあい、起こったことについて話しましょう。歴史の執筆を第3国の手に委ねてはならない」と話した。

同外相は下院委員会での議論について、「まじめなものではなくコミカルなもの」だと述べた。

■エルドアン首相:決議は政治的なもの
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相も公正発展党(AKP)の中央決定執行委員会(MKYK)で話し、アメリカ合衆国下院外交委員会での承認は「コメディ」であると述べた。

NTVニュースが明らかにしたことによると、エルドアン首相は出された結論について、「これは政治的な決定である」と述べた。

■法案通過
アメリカ合衆国下院外交委員会は約5時間に渡って昨夜遅く終わった投票の結果、オバマ政権の土壇場の妨害にもかかわらず、いわゆる「虐殺」法案を22票対23票で可決した。

委員会で可決されたこの法案では、アメリカ合衆国大統領が毎年4月24日にアメリカ国民に対し「いわゆる虐殺の際命を失った150万人のアルメニア人を追悼するよう呼び掛ける」ことが求められている。

法案が委員会で可決されたということは、法制化されたということではない。可決された法案が今後下院本会議へ提出されることが待たれている。本会議での議題となるか否かはまだ定かではない。

■ジェフリー米大使:委員会はこのような決議をすべきではなかった
この結果を受け、トルコはナームク・タン在米大使を協議のためアンカラに召還する一方、ジェームズ・F・ジェフリー在トルコ・アメリカ大使に対しては、遺憾の意を示すため外務省に呼んだ。

ジェフリー大使は外務省を出る際新聞記者に話し、委員会でこのような決議がなされたことに対し自分たちは反対したと述べた。

トルコは、法案通過の場合、これがトルコ・アメリカ関係にもアルメニアとの間で実施されている正常化プロセスにもマイナスの影響を与えうると警告した。

トルコとアルメニアは昨年10月、2国間の外交関係構築と国境開放を目指す協定に署名していた。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:18621 )