デニズフェネリ裁判で2つの重要な進展
2010年03月27日付 Radikal 紙


ドイツ史上最大の寄付金スキャンダルとされるデニズフェネリ協会スキャンダルの捜査の第2段階が完了した。起訴状は裁判所に提出され、受理された。裁判所は裁判開始のためにトルコに要請している「法的協力」の到着を待っている。検察官はデニズフェネリ協会のトルコ側の組織を捜査し、寄付金を使ってテレビ局・ユーロ7のものとなった船「バルチック・クリスティナ」号がヨーロッパ2国間で運行していることを突き止めた。ユーロ7からイスタンブルに本社をおく会社に貸与された「パナマ船籍」のこの船は、船名を変えて地中海での貿易に使われている。

ジュムフリエト紙のアイクト・キュチュッカヤ記者署名入りの記事によると、トルコのテレビ局であるKanal 7 の会計士フィルデヴスィ・エルミシュが「ユーロ7のために寄付金で購入した」と自供していた「船」が実際に地中海で運行していることが明らかになった。現在はパナマ船籍となっている同船はユーロ7によってイスタンブルに本社をおく、ある会社に貸与されたという。

Kanal 7の会計士フィルデヴスィ・エルミシュ氏は、デニズフェネリ協会の不正な利益についての証言をおこなっているが、彼が「ユーロ7のために寄付金で購入した」と供述した「船」(バルチック・クリスティナ号)の所在が確認された。同船は、トルコの検察官によってヨーロッパの2国間で運行していることを突き止められ、現在は「パナマ船籍」である。地中海での貿易に使用されている同船はユーロ7によってイスタンブルに本社をおく会社に貸与されていることが明らかになった。

トルコ側の検察官たちは船の履歴を調査し、同船が購入された時期にユーロ7に借款を行ったワクフ銀行フランクフルト支店に対し質問状を送った。しかし、未だに回答を得られていない。トルコの検察官たちはユーロ7が借款のために銀行に担保として提示したヴァイス・ハンデレス有限会社に属する不動産に関しても質問を行ったが、この質問にもまだ返答はきていない。この質問への返答は検察にとって極めて重要性である。なぜならトルコ検察は借款を受領したユーロ7社、デニズ・フェネリ協会の寄付金が流れていったことが確認されている会社のうちの1社であるヴァイス・ハンデレス有限会社の執行部に同一人物がいることがわかっているからである。

■タシュカンとエルミシュが供述

デニズフェネリ協会のメフメト・タシュカン前会長と、同協会及びユーロ7の会計士フィルデヴスィ・エルミシュはデニズフェネリ捜査において重要な位置を占める船の事件に関して重要な供述をしていた。その供述の概要は以下の通り。

メフメト・タシュカン
「120万ユーロの資金はワクフ銀行により、使用目的を特定しない形でユーロ7に与えられた。しかしワクフ銀行はこの金の使途を知っていた。ワクフ銀行からみて、担保として船だけでは不十分だったため、ヴァイス・ハンデレス社の不動産からも担保が与えられた。デニズフェネリの口座からも金が供出されたと私は考えている。この金額がどのくらいであるのか、会計に関与していないため私は知らない。トルコのムスタファ・チェリキ、イスマイル・カラハン、ゼキリヤ・カラマン(ドイツがトルコにおける真犯人だとしているKanal 7の重役たち)は船の貸与に関して決定をした。」

フィルデヴスィ・エルミシュ
「この船の資金の100%がデニズフェネリの金から支払われたことを確信している。外部に対しこれを隠ぺいするため、船の購入直後にワクフ銀行からユーロ7有限会社の名で100万ユーロを借りた。メフメト・ギュルハンは、この手続きを公式の会計に「船の売買のため100万ユーロの借款が行われ、それでも足りない金はあたかもトルコから来たかのように」処理するよう指示を下した。この借款がフランクフルト・ワクフ銀行からユーロ7の口座に移された後、私は、この金を20万ユーロずつ2回に分けてトルコで新たに作られたハリチ 海運会社に送金した。この金がその後なんのために、どこに使われたかは分からない。」

■4時間の取り調べ

よく知られているように、アンカラの共和国検察庁は、元ワクフ銀行フランクフルト支店長メティン・オゼッチから4時間にわたって証言をとった。オゼッチは、デニズフェネリ協会に関する取り調べ開始後トルコに転勤した。トルコ検察はオゼッチに、ドイツからアンカラ共和国検察庁に伝えられた借款の協定に関する詳細な質問を向けた。オゼッチから、彼が支店長だった時期にデニズフェネリ協会と関係する諸会社に与えられた借款についての詳細な情報を得た。オゼッチにはトルコへの送金に関する質問も向けられた。

■ドイツで2度目の裁判

ヒュッリイェト紙のアリ・ヴァルル記者の記事によると、ドイツ史上最大の寄付金スキャンダルとして記録されるデニズフェネリ協会のスキャンダルにおける捜査の第2段階が完了した。作成された起訴状は裁判所に提出され、受理された。デニズフェネリ事件の第1波で、ドイツのデニズフェネリの元会長であるメフメト・ギュルハンとメフメト・タシュカン、および同会計士のフィルデヴスィ・エルミシュが裁判にかけられて有罪となる一方、第2波ではラジオ・テレビ高等機構(RTÜK )の元理事長であり現在も委員であるザヒド・アクマン、Kanal 7理事長ゼケリヤ・カラマン、理事のイスマイル・カラハン、フラン・カプヨルダシュらに捜査が向けられている。Kanal7理事のムスタファ・チェリキの案件は別審査となった。チェリキへは別途、取調べが行われる。

■10年以下の懲役

フランクフルト検察局がゼケリヤ・カラマン、ザヒド・アクマン、イスマイル・カラハン、ハルン・カプヨルダシュについて作成した起訴状は58ページに及ぶ。起訴状の最初の容疑者はゼケリヤ・カラマン、第2の容疑者はザヒド・アクマン、第3の容疑者はイスマイル・カラハンであり、ハルン・カプヨルダシュは同起訴状における第4の容疑者となっている。フランクフルトで2人の検察官が共同で作成し、2009年8月20日に完了した 6310 Js 210107/08号起訴状によると、容疑者たちは詐欺罪について定めたドイツ刑法第263条第1項および第3項、複数人による犯罪への加担について定めた刑法第25条第2項によって裁かれる。アクマン、カラマン、カラハン、カプヨルダシュらは自分と第三者に違法な方法で利益を確保する目的で虚偽の請求書を作成したこと、虚偽の寄付金の領収書を作成したこと、違法な会計処理を行い、またそれを続けたこと、第三者に対しこの方法で損害を与えたことについて罪を問われている。ドイツ刑法第263条はこの種の犯罪を犯した者に得られた利益と与えられた損害の物質的大きさによって6ヶ月以上10年以下の懲役を科している。
■協力を待っている

フランクフルト検察局報道官ドリス・メーラー・ショイ氏は、裁判の開始時期に関する質問には答えることができないとし、ドイツでの捜査が終わったことを明らかにした。メーラー・ショイ氏は新たな1歩を踏み出すためにトルコに要請している法的協力の到着を待っていると述べた。同氏は、トルコからいつ協力がくるのかという問いには(どうしよもない、というように)両腕を開いて「わからない。一刻も早い到着を望んでいる」と述べるにとどまった。

■アクマンに3つの捜査

RTÜKの元理事長ザヒド・アクマンについて、完成したデニズフェネリ起訴状以外に2つの異なる罪に関して捜査がなお行われている。アクマンは、デニズフェネリでの連絡役となったこと、寄付金を受け取ったこと、寄付金で会社を設立したことについて罪に問われる一方、さらに執行役員を務めたオッフェンバッハ &フランクフルト 建設協同組合(OFWG)の不正行為についても捜査を向けられている。検察はこの問題に関する最初の捜査で不起訴の決定を下した。検察の決定に協同組合の被害者は反対したため、捜査が再開された。アクマンは、さらに公式書類で不正な改変を行い利益を得ていたとして捜査が行われた。

■懲役刑に

ドイツで2002年から2007年の間にデニズフェネリ協会がヨーロッパに暮らすトルコ人たちから、公式にはわかっている分だけでも、合計4200万ユーロの金が集められた。貧困層や孤児、助けを必要とする人々に金銭的、物質的援助を行うという約束で集められた金はその後目的外で使われた。ドイツで2007年に発覚したデニズフェネリ協会のスキャンダルで元理事長のメフメト・ギュルハンとメフメト・タシュカン、デニズフェネリ協会の違法な会計処理を行ったフィルデヴスィ・エルミシュに懲役刑が科された。フランクフルト第26第一審刑事裁判所が2008年11月17日に出した決定ではメフメト・ギュルハンに5年10ヶ月、メフメト・タシュカンに2年9ヶ月、フィルデヴスィ・エルミシュに1年10ヶ月の懲役刑が科された。合計10年5ヶ月の懲役刑が下された3人の容疑者のうちフィルデヴスィ・エルミシュとメフメト・タシュカンの懲役の刑期を終えたが、メフメト・ギュルハンはまだ服役中である。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:18780 )