Sami Kohenコラム:北キプロス大統領選挙結果がもたらすもの
2010年04月20日付 Milliyet 紙

北キプロス・トルコ共和国の大統領選挙でデルヴィシュ・エルオールが勝利したことで、国民がメフメト・アリ・タラト(現大統領)任期時に見受けられた政策について根本的な変化を望んだことを示した。この状況で一番最初に想起されることは、エルオール新大統領が何を、どれくらい変えるかである。問いに答える前にこの選挙がどのような理由によってこのような結果をもたらしたのかを調べる必要がある。

エルオール新大統領が党首であった国民統一党(UBP)は昨年(2009年)行われた議会選挙でも大きな投票差で勝利した。選挙活動中に争点となった問題は、経済、汚職、与党となった共和主義トルコ党(CTP)の失政についてであった。当然、タラト氏のキプロス問題解決に関する政策についても議論された。今回の選挙活動の焦点は、タラト氏のキプロス問題解決に関する態度と交渉の失敗であった。

前回の記事でも明らかにしたように、今回の選挙における選択は、次の二つの主要な考え、または見解のいずれかであった。一つはタラト氏が主張する連邦を基本とする「(キプロス)統合」の考え、もう一方はエルオールがこだわった「二つの国家の存在」という解決方法であった…。

■ アンカラなしではいけない

エルオールの勝利は、一見すると、二番目の解決方法が支持されていることを表している。この事態も議論に終始することにたいする国民自身の飽きによるもののようだ。しかしエルオールが50.38%の得票率で選ばれたことと、国民の中で彼を支持しない多くの幅広い層が存在することも忘れてはいけない。この点からエルオールが交渉の座につくとき、「国民の意思」のこうした側面も見失ってはいけない。

疑いなく、エルオールが任務にとりかかる際、注目すべきはアンカラの振る舞いである。氏は、経験豊かな政治家としてトルコの支持を得ずして、政治で基本的ないかなる変革もできないことをよく知っている。実際、当選後の最初の演説で、トルコと強いつながりを持つこと、初仕事でアンカラを訪れることを明らかにした。エルオールは、タラト(現大統領)とフリストフィヤス(キプロス共和国大統領)間での交渉の経過を継続すること、自身が交渉を放棄しないことも口にした。しかし、今後の交渉で新しい方針をもって継続することにこだわるという姿勢もあらわした。この意味は次のようである。エルオールは交渉については「継続」、しかし同時に「最初から」と述べている。実際昨日(19日)の声明で、現在に至るまでのタラトーフリストフアス両氏の対話での議題を「再検証する」つもりであるとした。

■ 現段階からの継続

エルオール新大統領が交渉の席につくや否やフリストフヤス(キプロス共和国大統領)に対しこのような態度で臨むと、おそらく交渉はそう長くは続かないであろう。こうなると、この交渉を重視する国連からEU、アメリカ合衆国からロシアに至るまでのあらゆる力が圧力をかけることになるし、最終的に、キプロスは今以上に孤立化することになる…。もちろんここではトルコがとる態度重要となる。トルコ政府は現在までタラト氏を支持しており、(キプロス)両者間の交渉で扱われた重要議題を基本的に認めていた。

昨日(4月19日)ギュル大統領、エルドアン首相、主にダヴトオール外務大臣がエルオール新大統領に送った祝福のメッセージの中での表現は、トルコ政府が基本姿勢を堅持していることを表している。ダヴトオール外務大臣による祝福のメッセージの中で、交渉は「現段階から継続する」必要があるとし、「タラトの方針が継続されること」を願うという内容であった。

エルオール新大統領は、このメッセージを、—アンカラで本人直に行われるであろう提案を—斟酌するものと思われる。そうでないと、アンカラをものすごく困難な状況に、また(北)キプロス国民を窮状に陥らせることになるので、本人もおそらく望まないであろう。

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( 翻訳者:池田峻也 )
( 記事ID:18928 )