エルドアン首相、新しい時代を開いたギリシャ訪問
2010年05月15日付 Milliyet 紙


レジェプ・タイイプ・エルドアン首相が10人の大臣とともに行ったアテネ訪問は、エーゲ海両岸の関係について新たなページを開いた。深刻な経済危機のため困難な日々を過ごすギリシャの防衛費削減を目指すためにも決定的に重要な訪問の初日に、エルドアンは「決意を持っていれば乗り越えられない障害は何もない。もちろんこれらの前進の妨害を望む者たちも出てくるかもしれない。しかし私たち政治家が危険を冒すことを知っていればこれらをも乗り越える」と述べた。

エルドアン首相は昨日12時アテネに到着し、最初にカロロス・パプーリアス・ギリシャ大統領と会見した。訪問を「歴史的なもの」としたエルドアン首相は、「これは違った結末となるだろう」と話した。30分に及ぶ会見の後、エルドアン首相は隣接した首相府の建物に歩いて向かい、ヨルゴス・パパンドレウ首相と対面した。パパンドレウ首相はエルドアン首相を首相府の玄関で迎えた。その後2国の首脳は新聞記者の前に姿を現した。

■ 「大統領はとても若い」

パパンドレウ首相がパプーリアス大統領との会見について尋ると、エルドアン首相は「素晴らしい会見を行った。あなた方の大統領はとても若い。この訪問が歴史的なものであるという認識を大統領と共有した」と話した。パパンドレウ首相もパプーリアス大統領はスポーツを行っており非常にエネルギッシュであると答えた。

エルドアン首相が22項目の合意を強調すると、パパンドレウ首相も「これだけでもこの訪問を歴史的なものとするに足る。より新しく、大きなステップを踏み出すと確信している」と説明した。この発言に対するエルドアン首相の返答も「(ステップを)踏み出そう」というものであった。2人の首相の会見は約 1時間半続いた。

■ パンガロス副首相の「告白」

この訪問で、10人のトルコの大臣とギリシャの大臣たちがそれぞれの担当に関する協力と関係強化について会談を行う一方、両国間の「高等戦略協力評議会(YSİK)」も(話し合いが行われ)機能し始めた。YSİKの関連で行われたワークフォーラムでは「興味深い告白」があった。テオドロス・パンガロス・ギリシャ副首相は、トルコの訪問がギリシャ国内の困難な経済危機の時期と重なったことに注意を向け、「ギリシャは大きな嵐の直中にいる」と話した。

パンガロス副首相は両国間の脅威の認識が防衛支出を増加させていることにも注意を喚起し、「必要のない武器を購入する時きまり悪さを感じている。これらは現実の脅威ではなく、政治的に解決できるとみている」と述べた。両国の大臣たちがそれぞれ署名した22の協定によってトルコとギリシャが中国人旅行者のために「共通の目的地」としてまとめられること、教科書から敵対感情を駆り立てうる表現を取り除くといった問題が約束された。

■ 危険を冒すメッセージ

会談の後両国の首相と代表団はトルコ・ギリシャ高等レベル協力評議会についてのの会合に移った。そこでスピーチを行ったエルドアン首相は、政治家が危険を冒すことで諸問題を乗り越えるというメッセージを発する一方、次のように述べた
「決意を持っていれば乗り越えられない障害は何もない。もちろんこれらの前進の妨害を望む者たちも出てくるかもしれない。しかし私たち政治家が危険を冒すことを知っていればこれらをも乗り越える。」

■ 「忍耐の後には幸福が」

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、ギリシャ国営テレビNETに行った演説で、ギリシャ政府に対し、経済危機克服の道を耐え切るようにと願った。エルドアン首相はギリシャ国民に「我々の目的はあなた方に連携を示すことであり、この目的のため私と大臣たちはあなた方の国を訪問している」と述べ、「このプロセスにおいて互いに手助けしなければならない。ギリシャが再び立ち上がることを信じているが、これには忍耐が必要である。忘れてはならないことは、忍耐の後には幸福が待っているということである」というメッセージを述べた。エルドアン首相はエーゲ海で緊張が起こらないよう両国の戦闘機が武装を解いて飛ぶことが必要であると述べ、次のように続けた。

「飛行機がミサイルを搭載せずに飛行すればそれは戦闘機ではなく平和の飛行機となる。これで両国の防衛費も削減される。武器、武器、武器…これが何になるのか?私が政権についた当時予算に占める防衛費の割合は第1位だったが、今は1位ではない。このことをギリシャはよく考える必要がある。現在わが国の予算における支出第1位は教育、第2位は厚生である。もはやこれらの問題に重きを置いている。」

■両国間で22の合意に署名

-トルコ・ギリシャ間の高等レベル協力評議会設立に向けた共同政治声明。
-両国の外務大臣間での定期的な政治協議実現に関する協定。
-パザルクレ・カスタニエス国境門の障害除去に関する共同声明。
-両国政府間の大使館・領事館で勤務する職責者の近親者が(滞在国で)就業することに関する合意。
-両国間で経済分野と民間部門間での協力進展に関する共同声明。
-トルコ規格協会(TSE)・ギリシャ規格機構(ELOT)間の技術協力部門における覚書。
-トルコ投資支援・紹介機関とギリシャ投資機関INVEST in Greece間の投資に関する協力強化に関する覚書。
-両国政府間での林業者間の覚書。
-両国環境大臣間のエネルギー分野での協力に関する覚書。
-両国教育大臣間の共同声明。
-科学技術関係のトルコの省とギリシャの教育・生涯教育・宗務省間でのトルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK)とギリシャ共和国教育・生涯教育・宗務省の研究・技術関係事務レベルでの協力覚書。
-両国間の鉄道交通と共同一貫輸送の発展に関する意思表明。
-トルコ交通大臣とギリシャ基礎交通・ネットワーク大臣間での幹線道路輸送分野における協力強化に関する共同声明。
-両国間での情報通信技術と郵便分野における共同声明。
-不法移民、亡命者、組織犯罪、麻薬密輸業者および民間防衛に関する共同声明。
-特別パスポート(所持者)のビザ免除に関する共同声明。
-両国の文科大臣間の文化分野での協力に関する共同声明。
-両国の観光大臣の観光分野での協力に関する共同声明。
-アナトリア通信とアテネニュース-マケドニアプレス(ANA-MPA)間の協力協定。
-トルコ銀行協会とギリシャ銀行協会間の協力に関する覚書。(トルコ共和国政府とギリシャ共和国政府間の共同宣言)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:19127 )