「2000人に及ぶ覚せい剤密輸業者が釈放されている」:麻薬対策警察長官が抗議
2010年05月10日付 Jam-e Jam 紙

【ナーセル・サブーリー:事件部主筆】イスラーム共和国治安維持軍の麻薬対策警察長官は、合成麻薬密輸業者の逮捕に関する現在の国の法律の抜け穴について、厳しく批判した上で、「過去45日間で、合成麻薬に関連して2074名が逮捕されたが、後日釈放されてしまった」と述べた。

 イスラーム共和国治安維持軍の麻薬対策警察長官は記者会見のなかで、この苦い現実を指摘する一方、今年に入り、1キロあたりの合成麻薬の価格が1億2000万トマーン(約1200万円)から1億トマーン(約1000万円)に下落していることを明らかにした。

 この憂慮すべき情報に関し、司法・立法・行政すべての国の当局者らは大いに関心を払い、合成麻薬に対する適正な処罰と抑止に関する法律を可決・施行することが必要だろう。

 麻薬対策本部のターハー・ターヘリー事務局長代理も、ホセインザーデ司令官のこのような発言を認めている。

 ターヘリー氏は昨日、麻薬対策包括法の審議が遅々として進んでいないことを批判し、「この法案の可決の遅れは、特に合成麻薬に関し、犯罪者に付け入るスキを与え、イランの国際的イメージを傷つける結果を招いている」と指摘する。

 同氏はメフル通信とのインタビューのなかで、さらにこう加えた。「現行法は新たな種類の麻薬について、ある重大な欠陥を抱えている。この法律は公益判別評議会が決めたものであり、そのため麻薬対策本部が考える改正案も再度、同評議会で審議される予定になっていた」。

 麻薬対策本部事務局長代理はその上で、「この法案の可決に向けた審議手続きは極めて遅い。実際、先週になってやっと、向精神薬に関する一条項が公益判別評議会で審議されたという有様だ。麻薬対策本部もこのことについて、〔同評議会に対し〕抗議を申し入れている」と述べた。

 同氏はさらに、「麻薬対策本部が公益判別評議会に対して期待しているのは、国の安全に直結し、また社会の安全や発展のプロセス、そして国の社会生活に影響を及ぼす麻薬問題に対しては、他の法案と同様〔のスピードで〕、審議していただきたいということである」とも語った。

 イスラーム共和国治安維持軍の麻薬対策警察長官、及び国家麻薬対策本部事務局長代理の二人の指摘がメディアを飾るなか、治安維持軍はテヘラン各地で麻薬密売業者の摘発に乗り出すなど、社会的安全計画を実行することで、市民の不安にしっかりと答えていく姿勢を示している。

 しかし現実問題としては、覚せい剤その他、若者を標的とする各種麻薬の密造・密売業者に対する抑止的な罰則を盛り込んだ、包括的かつ完全な法律が提供されるまで、いかなる努力も徒労に終わり、毎日のようにこの種の犯罪者たちが増加していく様を目にすることになるだろう。昨年、麻薬密売業者1万8000人が逮捕され、また過去45日間で約3000人がお縄となったが、この数字は年末まで上昇の一途を辿ることは間違いない。

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( 翻訳者:種谷悠樹 )
( 記事ID:19137 )