イラン核開発をめぐるイラン・トルコ・ブラジル合意に、米国反発
2010年05月18日付 Hurriyet 紙

アメリカ合衆国、欧州とロシアは、保有する核燃料の約半分をトルコに移送する決定をしたというイランの声明に対して非常に懐疑的に反応し、新たな制裁の実施に向けた努力を続けると述べた。

さらに複数の国の関係者らは、トルコとブラジルによって進められた話し合いの結果として得られたこの合意が、制裁プロセスを妨害する上で、非常に時機を得た企てだと述べた。

その合意の条件は、(2009年)10月に成立するはずだったもののイランが拒否したために実現しなかった合意に非常に似ている。アメリカ政府は、(2009年)10月には、この種の合意により前向きだった。というのもこの合意は、テヘラン政府が核兵器を製造するのに十分な燃料を獲得するのを妨げることになる一方で、交渉のための時間を確保することになったからだ。

一方でトルコとブラジルの主導で得られたこの新たな合意をアメリカが拒絶することは、バラク・オバマ大統領が実現可能な合意を妨害したとみなされる理由になりうる。さらに今回の(3国の)合意は、イランへの圧力を増大させる目的で一致した脆弱な国際的な了解が、経済的な利益を理由に制裁に反対するブラジルやトルコにより、いかに簡単に崩壊させられるかをも示している。

■ 根本的な問題に触れていない

署名された合意は、制裁の根本的な原因を作り出した問題、すなわちイランの核濃縮中止、または、イランに対し、国際機関査察官の核兵器製造疑惑に関する問いに答えさせるという要求を含んでいない。イラン問題に深くかかわるアメリカ政府のある高官は、署名された合意が「イランの核濃縮プログラムに関する根本的問題の解決策を含んでいない」と述べている。

ロシアのセルゲイ・イワノフ副首相もワシントンで行った会見で似たような疑問符を投げかけた。イワノフ副首相は制裁に関する決議が「近い将来に採決される」とみていると述べ、今回達せられた合意が制裁プロセスと「密接に関わるもの」ではないと強調した。

■ ワシントンの反発

ホワイトハウスの関係者らが、トルコとブラジルの首脳に反発していることははっきり見て取れる。4月にワシントンで開かれた核保安サミットでオバマ大統領は、トルコとブラジルの首脳と会談し、イランに対し国連の要求から逃れる口実を与えないよう要請した。ある高官は、この会議の後オバマ大統領が書いた詳細な書簡によって、大統領が感じた懸念について(トルコとブラジルに)説明されていたと述べた。しかしこれらの手紙も結論に影響を与えたとは思われない。

多くの評論家は、この合意は、交渉決裂の責任を西側諸国に押し付け、数週間以内に決定されると予想される制裁プロセスを妨害することを意図していると述べている。カイロにあるアル・アハラム政治戦略研究所の国際関係専門家エマド・ガド氏は、「イランが、合意したがその後、拒否した合意の例はいくつもある。イランはまず緊張を高め、その後、合意を受け入れるという戦略をとる」と述べた。

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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:19163 )