Sami Kohenコラム:イランとの合意の後に来るものは・・・
2010年05月19日付 Milliyet 紙

トルコの外交は、イランとの核開発をめぐる合意が実現したことにより、誇りと喜びをかみしめている。このことは昨日、イスタンブルでアフメト・ダヴトオール外相がコラムニストらに伝えた言葉から十分に感じ取ることができる。
外相と隣にいた参謀らのこの興奮と喜びはもちろん的外れではない。本当にトルコの外交はこの出来事により世界規模での成功のパフォーマンスを披露した。ブラジルをも取り込み、何ヶ月もの間続いた対立を解決すべく合意文書を、イランに署名させたのだ・・・
ここまで来るためにいろいろな立場の国々を説得し、文書の内容に関し真剣な交渉を進めることは容易ではなかった。テヘランで計18時間にも及ぶ話し合いで、眠らないことに慣れているダヴトオール外相も、今回はたとえば夕食さえも取らずに働き続けたのだ!

■疑惑は続いている

これほどの努力の後一つの結果に辿り着いたことは、もちろんトルコにとって外交上の成功である。しかしこれは、調印された合意文書により始まった新しいプロセスが、最後まで成功に終わるのを保障するものではない。この種の合意において関係国すべてを満足させ、文書に盛り込まれている義務が果たされるようにすることもまた、とても難しいのである。
実際、すぐに反発がおこり、この問題がいかに困難であるかを示し始めている・・・
西洋諸国とロシアからもたらされた反発には、懐疑と不信の念が満ちているのがわかる。ホワイトハウスの発表はトルコで取引されるウランの他に、イラン自らがウラン濃縮プログラム計画を続けるという決定をしたと言及している。そしてアメリカはこの状況の中で、国連安全保障理事会から制裁決定を引き出すための努力を続けるというメッセージを発している。実際、昨夕アメリカは理事会に提出した提案に関しロシア、中国と合意したと発表された。
ロシアのメドヴェージェフ大統領とイワノフ副首相は声明で、モスクワも同じ方針であると述べている。これと似た反発が欧州諸国でも起きている。
アメリカのメディアを見てみると、この合意はワシントンにとって「予期せぬ展開」であったらしい。ニューヨーク・タイムズによれば、この出来事(イランとの核開発をめぐる合意)は、アメリカのイランに対する戦略と制裁に関し、ここ最近確実なものとなりつつあったコンセンサスを危険に陥れようとしている・・・
ダヴトオール外相のこうした反発に対する議論は次のように要約することができる。

西洋諸国で、この合意が驚きをもって迎えられたことには、躊躇を覚える。なぜならトルコはイランとの話し合いを続ける中で、以前に関係機関と国々が実現しようとしていた合意を基礎としたのだ。それゆえ取引されるウランの量が1200キログラムと決められたことは(および今回の合意の他の項目も)、アメリカを始めとして国際機関が以前話し合いを続けていた条件に完全に合致している・・・

トルコは話し合いのプロセスの中でも、アメリカを含めた他の国々と機関に説明した。しかしこれらの国々は、トルコがこのことを成功させることができるとは考えていなかったのだろう・・・トルコに保管されることになる1200キログラムのウラン以外、イランが自らウラン濃縮プログラムを実行することは、また別の話である。テヘランでの合意は、この件に関する新しい試みを妨げることにはならない。しかし、この合意にもかかわらずもし制裁に関する話が安全保障理事会で取り上げられるなら、合意がイランにより延期されかねない。これは重要なチャンスを逃すかもしれないのだ。
これにも関わらずダヴトオール外相は、この最初の反発はしばらくすれば収拾され、合意が実現されるという希望を持っている。彼の言葉によると、「過去に多くのチャンスを逃してきたかもしれない。しかし今回のチャンスを逃すことはあってはならない。今こそ、すべての関係国は責任をもって、最後の成功を築く時なのだ」

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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:19175 )