トルコはイランに巻き込まれた?―濃縮ウラン移送合意を巡る評価
2010年05月20日付 Milliyet 紙

各紙は、移送合意にも関らず、イラン制裁に関する決議案が再び安全保障理事会に提出されたことが、トルコとブラジルで失望を生んでいると報道した。

イランの核計画を起因とした、濃縮ウラン生産問題解決のために結ばれたトルコとブラジルの主導による合意の後に、アメリカが新しい制裁決議案を国連安全保障理事会(以下、安保理)に提出したことは、各国メディアで波紋をよんだ。この提案はトルコとブラジルを失望させ、イランがこの2カ国を利用したという評価がなされた。

ニューヨーク・タイムズ(アメリカ):以下、冒頭部分:「ブラジルとトルコは国際的な場で大役を担うことを望んでいる。同時に、イランと衝突することも避けている。我々はこの意向に敬意を表明する。しかしながら、ほとんどの他の国家のように(この2カ国も)イランが行うゲームに巻き込まれてしまった。」

ウォール・ストリート・ジャーナル(アメリカ):ヒラリー・クリントン国務長官が中国とロシアに制裁に関して説得を行ったことで、「イラン問題での敗北を免れた」と伝えた。安保理でトルコとブラジルが新しい制裁決議案に賛成しないと予想され、このことは制裁案の承認自体の妨げとはならないが、全会一致の決定がなされないことでさえ、イランの単独勝利を意味すると評価した。

ワシントン・ポスト(アメリカ):「ブラジルとトルコはクリントン長官の声明にひどく気分を害した。両国の反発は、提案の満場一致での承認を難しくした。」同紙は、テヘラン大学北アメリカ研究科長モハンメド・マランディが「アメリカはトルコとブラジルに平手打ちを与え、その後、その顔に唾を吐いた」という表現を行ったことにも言及した。

ガーディアン(イギリス):「制裁決議は、大国の力による、他の諸国家の話し合いの努力に対する、外交的な圧力として解釈することができる。しかしながら、この新しい、多極性に富んだ世界においてバラク・オバマ大統領にはこれを行う余裕はないであろう。トルコは中東外交において、その勢力を強めている」と書いた。同紙は、トルコとブラジルが制裁提案によって失望したという表現を用いた。

フィナンシャル・タイムズ(英国):「クリントン長官はトルコ-ブラジル合意を攻撃している」とし、長官の発言である「トルコ-ブラジル合意への批判は、世界の既存および新興勢力間の緊張状態を示すものとなっている」を伝えた。

ルモンド(フランス):冒頭部で、合意によって、「トルコとブラジルは国連安保理の常任理事国に、2010年、大国の思いのままに秩序形成を認めないというメッセージを送った」という見方を掲載した。

■ 提案内容

国連安保理に提出された提案は、イランの核計画、武器を直接の対象としている。10ページの提案の中で重要な鍵となる箇所を、以下にいくつか引用する:
―イランのウラニウム生成、濃縮化、再生産、核原料と技術開発及びその利用、重水施設と核兵器を運搬可能とする弾道ミサイル技術に関する国外の協力は禁止される。
―イランに戦車、戦闘機、ミサイルシステムのような8つのカテゴリーに含まれる重兵器の販売を禁止する。
―他国が、イランにこれらの兵器に関する技術指導を提供すること、物質的援助を行うことは禁止される。
―核兵器を運搬可能とする弾道ミサイルに関しイランが行う活動は、全て違法と見なされる。
―違法な荷を輸送していることが疑われた船は臨検される。
―イランの核運動への寄与が想定される経済活動は停止される。

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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:19180 )