国連報告「イラクで今年に入って7000人が死傷」、収容所での人権侵害にも懸念
2010年05月31日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■ 国連:2010年に7000人のイラク人が死傷

2010年05月31日付『サバーフ・ジャディード』(イラク)HP

【バグダード:『シュメール・ニューズ』】

 在イラク国連代表部は、イラクでは2010年初めから暴力行為で7000人以上が死傷したと発表した。同時に、秘密収容所で拷問が行われていることを示す報告書に関して懸念を表明した。

 アド・メルケルト在イラク国連代表は5月25日に国連安保理へ提出したイラク最新情勢の調査報告書の中で、「イラクの治安は難しい状況にあり、この国では2010年初めから5月現在まで各地で起きた暴力行為により2000人以上が死亡、5000人が負傷した」と述べ、「暴力行為を起こした者たちを非難し孤立させ、対話と権力分担プロセスへと道を整える政治的な環境を創り出す」必要性を強調した。

 イラクでは2010年1月から5月現在までに数々の暴力行為が起きており、最も目立った事件としては1月25日に首都バグダードで起きた複数のホテルへの攻撃、翌日にバグダード市内にある犯罪証拠センターを標的とした自爆攻撃、3月7日にバグダード各地で複数のビルを標的とした激しい攻撃、先月4月にバグダードでイラン、エジプト、ドイツの大使館を標的とした自爆攻撃やバグダードの複数のビルの爆破が起きており、5月10日にはバグダード、ワースィト、アンバール、モスル、バスラ、バベルの各県が激しい自爆攻撃に晒された。ハーリス郡では流血の爆破事件が2回発生し、1回目は3月末に、もう1回は5月に発生した。5月14日にはタルアファル郡で自爆攻撃が起き、数十人が死傷した。

 報告書の中でメルケルト国連事務総長特使は、「在イラク国連代表部は秘密収容所での虐待や拷問を示す複数の報告について懸念している」ことを表明し、「暴力の波が続いているため、更なる人権侵害を回避すべく、効力を持つ治安部隊の存在や断固とした法の適用が必要とされている」との見解を述べた。

 イラクにおける囚人の人権侵害の問題は、4月19日付『ロスアンジェルス・タイムズ』紙がムサンナー県の秘密収容所におけるイラク人囚人の人権侵害を暴露したことによって再び顕在化している。同紙の報道によれば、この収容所には430人以上の囚人が収容されていた。その後4月初めに別の拘留センターへ移送されたが、彼らの居場所を誰も知らず、数ヶ月間にもわたって家族も弁護士も連絡を許されておらず、彼らについての公的資料も拘留番号も事件番号も発行されていない。拘束者らの話では、拘留センターでは拷問室に近い部屋から司法捜査官が問題に関して検討を行っていたという。

(後略)

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:19299 )