イラン、国際取引でのユーロ使用を制限:約450億ユーロの外貨準備をドルと金に転換へ
2010年05月31日付 Jam-e Jam 紙

【経済部:セイエド・アリー・ドゥースティー】中央銀行は国の外貨準備の構成を変える目的で、手許の貯えをドルに換える準備を始めている。

 本紙記者の報告によると、ギリシャとスペインの経済危機発生(それは今や、ヨーロッパの統一通貨ユーロ圏全体に広がることが予想されている)とともに始まった、ドルに対するユーロの顕著な下落を受け、多くの国々ではユーロの価値下落による損失を防ぐべく、外貨準備をユーロからドルに替え始めている。

 約2年前には、アメリカ発の経済危機が世界中に拡大したことにより、ドルの価値が下落し、対策として各国の中央銀行は外貨準備の一部をドルからユーロに換えた経緯がある。

 しかし今日、状況は反転した。イラン中央銀行も例外ではなく、現在ユーロが占めている外貨準備の主要な部分をドルに換える作業が進行中なのだ。

 このことに関し、信頼すべき筋がジャーメ・ジャム紙に語ったところによると、3段階に分けて〔外貨準備をユーロからドルに替える〕案が中央銀行外貨局によって策定・提案され、この案はすでに〔中央銀行のトップらによって〕承認されて、その第1段階は今月の初め〔=5月22日〕にも開始された模様だという。

 この計画では、今後4カ月間で徐々に、国が保有する約450億ユーロ分の外貨準備をドルに換えることが予定されている。第1段階では150億ユーロが現在ドルに両替中であり、今年のシャフリーヴァル月末〔9月下旬〕、つまり初秋までに目標の額すべてを両替する考えだ。

 中央銀行の外貨政策に通じている専門家たちは、世界のその他の専門家らと異口同音に、ヨーロッパの経済危機は拡大しており、ユーロの価値のさらなる下落とドル価値の上昇がもたらされるだろうとの見方を示している。

 こうしたことから、〔専門家らによって〕示された提案では、最大限のスピードで外貨準備として保有しているユーロを〔すべて〕ドルに変換することが強調されている。しかし市場の緊張を考えると、目標として設定された450億ユーロという数字が、最も論理的であるように思われる。

ユーロによる取引制限

 この報告によると、中央銀行は自身が保有する外貨準備のユーロを〔ドルに〕変換するだけでなく、ユーロでの国際取引を減少させるための対策も講じているところであるという。外貨を多く受け取っている国の各機関に対し、ユーロでの取引を制限するよう、〔中央銀行は〕強く勧告しているとされる。

 この点で最も明確な例としては、イラン石油の売却代金を受け取る際、ユーロで受け取る分をかなりな程度減らしたことが挙げられる。

 日本をはじめとするイラン石油の主要取引国に対して、このことが書面で通知されたとも言われており、もしこの措置が実行されれば、国の現在の固定・流動外貨資産おけるユーロの割合は〔大きく〕減少するはずだ。中央銀行が示した資料によると、現在外貨準備の約55%をユーロが構成しているが、この措置により、この割合は20%~25%に減少すると考えられている。

 中央銀行の専門家によれば、もし国が保有するユーロでの外貨準備を早急に〔他の通貨に〕変換しなければ、1ユーロ毎に35%の損失が国にもたらされるだろうという。というのも、ペルシア湾岸諸国をはじめ、世界各国の中央銀行も、現在自らが保有しているユーロを売却しているところであり、こうした大規模な売却がユーロの価値下落の一層の加速をもたらしているからである。

金の輸入

 国の外貨準備におけるユーロの割合の低下にともない、各国の中央銀行は自らの外貨準備の価値の変動を阻止するために、〔‥‥〕金塊の輸入を計画していると、イラン中央銀行の専門家らは指摘している。

 こうした措置の影響で、金の世界価格は今後数ヶ月間、高騰することが予想されている。このようなことから、金塊の輸入をイランも増やすべきだとの提案が中央銀行に提起されており、恐らくこのことに異論は出ないものと思われる。結果的に、国による金の輸入増加が速やかに図られるであろう。

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( 翻訳者:多田直輝 )
( 記事ID:19358 )