İIHH財団ユルドゥルム理事長、イスラエルのテレビで語る
2010年06月27日付 Yeni Safak 紙

ガザ支援船の一隻であるマーヴィ・マルマラ号に対してイスラエル軍が5月31日に行い、トルコ人9名が死亡した軍事攻撃が、トルコ・イスラエル間の関係においてキャスト・レッド作戦(2008年から2009年にかけてのガザ紛争)以来最大で、2度目の緊張状態を生み出している中、支援船関係の主催団体の一つである(人権・自由・)人道支援財団(İHH)のビュレント・ユルドゥルム理事長は「誰も犠牲になるために船に乗り込んだのではない」と述べた。

イスラエルの民放チャンネル10にてインタビューを受けたユルドゥルム理事長は、イスラエルが公海にて武力介入したと述べ、以下のように発言した。「公海はあなたがた祖先の財産なのですか?なぜ船に乗るのですか?なぜ武器を用いているのですか?」また同理事長はガザへ再度支援船を送るために多くの要望を受けたと述べ、「われわれはこの危機が大きくなることを望んでいません」と話した。

イスラエルにチャンスを与え、このチャンスを活かしてくれることを望むと語るユルドゥルム理事長は、さもなければ新たな支援船を出発させると警告した。

イスラエルの民放チャンネル10のレポーターであるオシラド・コトラー氏は、ビュレント・ユルドゥルム理事長とイスタンブルのİHH本部にて先週の月曜日に対話し、この会見のオファーが以前トルコを訪問した際に知り合った公正発展党(AKP)関係者の仲介により、ユルドゥルム理事長自ら来たものであると述べた。

インタビューにてコトラー氏は、ユルドゥルム理事長が支援船側に挑発行為があったことを否定しており、同理事長が4年間ガザにて捕虜とされているギラード・シャリットイスラエル兵士の件に関しても仲介人になることを望んでいると強調した。

始めに「ガザへ再度支援船を送るとおっしゃいました。それはいつになるのでしょうか?」と質問したコトラー氏に対し、ユルドゥルム理事長は以下のように答えた。「この件に関してはわれわれに多くの要望があります。世界各地からです。また新しい船にて行きましょうと…。しかしわれわれはこの危機が大きくなることを望んでいません。われわれは人道支援団体です。封鎖が解除されることをただ望んでいます。なぜならこの封鎖は、国際法においれ禁止された措置だからです。」

イスラエル政府と世界に一つのチャンスを与えたいと話すユルドゥルム理事長は、イスラエル政府がこのチャンスをうまく活かしてくれなければ、次はさらに大きい船を用意すると発言し、「しかしそれはいますぐではありません」と述べた。

この発言を受けてチャンネル10のレポーターは、以下のように質問した。「また船を出航させることになれば、以前と同じように用意するのですか?攻撃されることを意図して出航するのですか?」ユルドゥルム理事長はこの質問に対して以下のように答えた。「誰も犠牲となるために船に乗り込んだのではありません。われわれもこのような結果は予期していませんでした。トルコ・イスラエル関係は悪くありません。」この間、支援船に乗っていた一部の人々の「犠牲となりたい」という英語での発言と「神は偉大なり」(と口にする)光景や、ユルドゥルム理事長が兵士たちを止めるための発言も画面に映し出された。ユルドゥルム理事長は映像が流れている間、「この発言は知っています」と発言した。

ユルドゥルム理事長に向けられた次の質問は以下のようなものであった。「あなたは船内の人々へ、兵士を止めるために可能なすべてのことをしてくださいと言いました。犠牲となった人たちに対し、責任を感じていますか?」この質問に対しユルドゥルムİHH理事長は「この質問はモサド(イスラエル諜報機関)からも問われました。論理は同じです。(私を)罠にかける質問です」と答え、以下のように続けた。

「すべてのムスリムは最終的にはいつか死ぬのであるならば、何かの犠牲となって死ぬことを望みます。ロドス島にいるわれわれの領事は、ユダヤ教徒たちをヒトラーから助けたときに家を爆破されました。きっと彼も身を捧げたのかもしれません…。スペインからユダヤ教徒たちを救出したときも、きっと多くの人々が犠牲となったのです…。」

ユルドゥルム理事長は船内にあったガスマスクや防弾チョッキ、レンジャーナイフなどについて「衝突に対する準備があったのですね…なんと予想されたのですか」という質問に対し、以下のように答えた。「あなたはわれわれに攻撃する権利があると言うのですか?兵士たちはまったく警告することなく接近してきたのです。3艘の潜水艦に40のゾディアック艇、4隻の巨大な戦艦、そして10機のヘリコプター…。一切警告はありませんでした…。そして爆弾を投下しました…。その次にはピストルを使って攻撃してきました。彼らが言うには、プラスティック製の弾丸だったようです…。最初の犠牲者はプラスティック製の弾丸にて命を失いました…。われわれもこれを受けて、自分たちを守る状況に追い込まれたのです。」

■ 「公海はあなたがた祖先の財産なのですか?」

チャンネル10のレポーターによる「船に兵士を一人たりとも入れるなと言ったそうですね…。この船内にいた人々に戦いを呼びかけたのですね」という質問に対し、ユルドゥルム理事長の答えは以下のようなものであった。

「われわれは一人たりとも兵士を船に入れてはいけないと言いました。なぜなら彼らに船に侵入する権利はないからです。われわれが何を考えていたかご存知ですか…。武器を使うことなど考えてもいませんでした。(イスラエル側は)なぜ武器を使う必要があるでしょう。なぜこの船に侵入するのでしょうか?公海はあなたがた祖先の財産なのですか…?」

この質問ではチャンネル10のレポーターであるコトラー氏とユルドゥルム理事長との間で口論も起きた。コトラー氏の「兵士たちは最初の段階でカラーボールを使った」という発言を受けたユルドゥルム理事長は以下のように述べた。「嘘をついています…カラーボールではありません…映像があります…あなたがたを騙しているのです…」そしてコトラー氏の批判に対しても「あなたがたのカラーボールは人を殺害しているのです…つまりそれほどの威力があるのでしょう」と話した。

「兵士たちは人を殺すために船に乗り込んだのではなく、彼らがそれを望んだのならば、もっとうまくできたでしょうに」と述べたチャンネル10のレポーターに対し、ユルドゥルム理事長は「いいえ、そうではありません…(イスラエル軍は)船団の半分を連行したのです」と答えた。

ユルドゥルム理事長は、コトラー氏が示した船内にて見つかったナイフや同様の道具類の映像に対しても、「それらはキッチンにあったものです…これらも彼らが自分たちで置いたものです」と答えた。これに対するコトラー氏の、「つまりこれらのナイフは、死になさいとわれわれが置いたということですか?」という発言を受けたユルドゥルム理事長は、「つまりあなたがたは、死にたいと思うすべての人を殺害する権利を持っているのですか?このような考えをもって、イスラエル市民たちに危害を与えているのですね…(そうやって)イスラエルを孤立させているのですね」と述べた。

オシラト・コトラー氏が別の質問にて、İHHは「国際的なジハード組織」であると述べ、支援船にはアルカイダとの関係があることを明らかにした改革組織の関係者が3名いると主張した。ユルドゥルム理事長はコトラー氏の主張に対し、以下のように答えた。「ああ、なんてばからしい…答える必要すらありません。トルコには法律があります。そのような関係があれば、われわれを40回にわたって投獄していることでしょう。ご心配なさらずに。」またユルドゥルム理事長は、これらすべてが単にイスラエルのプロパガンダであり、船に乗っていたすべての人々がトルコの税関を通過したと述べ、以下のように発言した。「つまりそういうふうに捕らえていたなら…モサド、そうイスラエル諜報機関はこれほど愚かなのですか?」

チャンネル10のレポーターは、このような質問もした。「もし今われわれが人道という観点から話しているならば、ハマスはギラード・シャリットに対する国際赤十字団体の代表者たちの訪問を許可するといった行為を行わないものでしょうか?」これに対してユルドゥルム理事長は以下のように答えた。「われわれは現在新たなプロジェクトを始めようとしています。イスラエルにおける1万1千人の(パレスチナ人)捕虜たちのために、新たな委員会を組織します。ギラード・シャリットに関しても(われわれに)要望をおっしゃってください。努力しましょう、話しましょう、そしてあなたがたの許を伺いましょう。」

■ 「人道という名の下にこのような争いは望んでいません」

ユルドゥルム理事長は発言の最後に、以下のような言葉を付け加えた。「この問題は解決しなければなりません…しかし問題はこのように…あなたがた (イスラエル)は常に争うことに肯定的です。しかし次のことをわかってください。もはやトルコも世界も争いを怖れてなどいません。しかしながら人道という名の下に、このような争いは望んでいないのです。」

チャンネル10のレポーターは、約2時間半もインタビューが続いたとし、「誰も納得していないこと」を強調しつつユルドゥルム理事長がこの後彼自身をお茶に誘ったことや、ここで会話を続けている際に、「どちらの側も間違いを犯しました。もう衝突することはやめましょう」と述べた、と伝えた。

チャンネル10のニュースでは、ユルドゥルム理事長がレジェプ・タイイプ・エルドアン首相と20年来の関係を持っており、親しい友人であるとして、エルドアン首相の政党(である公正発展党)が「トルコ・イスラエル関係の緩和を望んでいること」も伝えた。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:19530 )