ドイツで移民への知能試験論争
2010年06月29日付 Hurriyet 紙

ドイツでは、与党のドイツキリスト教民主同盟(CDU)の政治家であるピーター・トラップ氏が「移民へ知能試験を」と要求し、国内で新しい論争が始まった。連立を組んでいる自由民主党(FDP)と左翼党は、トラップ氏の提案に対し厳しい態度を示す一方、キリスト教民主統一党の姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)のバイエルン州政府内務大臣ヨアヒム・ヘルマン氏は、移民政策により厳しい対策を求めた。

ドイツキリスト教民主同盟のベルリン州政府内政担当報道官であるピーター・トラップ氏は、ドイツへやってきた移民に知能試験を受けさせることを求めた。

トラップ氏は、ビルド紙へ送った声明の中で、移民問題に関して、国に有益ないくつかの基準の設定が必要だとし、良い職業訓練と専門知識だけではなく知能の尺度も基準づけることが必要であるとした。そして、「私は移民に知能試験を実施することを支持している。この問題を、これ以上タブーにしてはいけない。」と述べた。

トラップ氏のこの提案に対し、キリスト教社会同盟のヨーロッパ政策専門家であるマルクス・フェーバー氏も、移民問題についてヨーロッパ全体で共通する実施方法が必要であると述べ、「家族の呼び寄せ」といった人道的理由は、移民のための唯一の理由とはできないだろうと主張した。

フェーバー氏はこの議論の中でカナダを例に挙げ、カナダが移民の子供たちにカナダ人の子供たちよりもより高い知能レベルを求めたことを指摘した。

与党の政治家であるトラップ氏とフェーバー氏のこの反外国人的な発言に対し、与党と野党からは厳しい反応があがった。ドイツ政府の報道官クリストフ・ステグマン氏は、外国人に対し知能試験の実施を求めるこの提案を「奇妙で不適切な」発言であると述べた。

■一部の政治たちの考えはそら恐ろしいものである

ベルリン市長クラウス・ウォーウェレイト氏は、一部の政治家たちが発表した考えに驚愕したと述べ、提案は「差別的」だと強調した。

自由民主党の内政専門官ハートフリッド・ウォルフ氏は、与党が移民政策に関してじっくり検討することは前向きな展開であるとして評価する一方、「知能試験」のような提案は間違いだと述べた。

■愚かな提案

ドイツ左翼党の中央執行委員会のメンバーであるアリ・アルダイラーミ氏は、キリスト教民主統一党の政治家であるトラップ氏の知能試験の要求を「愚かな提案」であるとし、この考え方にはファシスト的な観念が含まれていると述べた。

■知能試験は単独で有益となるものではない

一方、ドイツ・メルケル首相の党の姉妹政党であるキリスト教社会同盟のバイエルン州政府内務大臣ヨアヒム・ヘルマン氏は、トラップ氏の外国人に対する知能試験の提案を間接的に支持している。ヘルマン氏は「知能試験」の実施にはいくつか問題があるとしながらも、「我々は教育のない移民は必要としていない。このような状況では、知能試験は単独では役には立たない。もしドイツで普通の労働者が必要であるのならば、学者を招聘する意味はない。移民の基準は有益性にもとづくものでなくてはがならない。」と述べた。

ヘルマン氏は、家族の呼び寄せと人権を理由とする移民受け入れに対しては反対であるとし、この問題により厳しい対策が取られることを求めた。

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( 翻訳者:佐藤由惟 )
( 記事ID:19565 )