ヒジラン・シェネルは、巡礼と小巡礼のガイドを10年にわたって務めた後にサウジアラビアから帰国し、アラブの女性たちについて語った。トルコ人男性と結婚しているシェネルは、トルコへ本帰国し、サウジアラビアの女性であるイクラムさんの人生や、サウジアラビアの男性たちのトルコ人女性に対する見方を描き出した。「もはやサウジアラビアにもどることは非常に難しい」と話すシェネルの著書は、大きな議論を呼ぶだろう。
ヒジラン・シェネル(33歳)が、初めて小巡礼に行ったのは16歳のときであった。その翌年再び巡礼地を訪れ、そのさらに2年後にメディナ・イスラム大学の学生であった一人のトルコ人と結婚した。夫と同じように巡礼や小巡礼地のガイドをした。10年間サウジアラビアで暮らした。シェネルがイェンダ出版社から出版した『イクラム』というタイトルの著書では、登場人物の名前などは変えているものの、出来事はすべて真実である。
■サウジアラビアではお酒は記録的なレベル
「イスラムをサウジアラビアにおける状況の中で知ったなら、私は棄教したでしょう。イスラムが平和や慈悲を重んじる宗教であることはわかっています。聖コーランも、その意味を考えながら最初から最後まで精読しました。コーランの節では、全能なる神アッラーが預言者に授けた、最後の審判の章における第21節にて『お前は教えのみを伝える者である。お前は決して独裁者ではないのだ！』と宣っています。イスラムとはこのことなのです。預言者の教友たちに対する態度からも、このことはわかります。例えばお酒についての節。お酒は5段階で禁止されました。預言者はいかなる時も『あなたはなぜお酒を飲むのか？』とは言いませんでした。『この中にお酒を飲む人るとすれば、その人はもはや（教えを守ることを）断念したということでしょう。違いますか？』と預言者は質問しました。サウジアラビアでは強制的に圧力をかけて行われている多くのことが、ひそかに隠れたところで行われています。例えば、お酒の消費量が記録的なレベルであることは誰もが知っていることです」
■巡礼に行くトルコ人たちは(一夫多妻制における)側室にされる
「巡礼地観光や巡礼に行くトルコ人の若い女性たちを気に入り、婚姻を迫るサウジアラビアの男性は多いです。トルコ人の若い女性たちは色白で美しく、多才であるため好まれます。裕福なアラブの若い女性は、使用人たちに囲まれて育ったために掃除や整理整頓、料理の仕方を知りません。アラブ人の男性は、(アラブ人の女性たちと)異なる点を探し求めています。トルコ人の若い女性たちは、同時にムスリムであるために引っ張りだこなのです。巡礼や小巡礼光のときには、アラブ人の男性たちはトルコ人の若い女性たちをとてもうっとりしながら眺めます。メディナで、年老いた男性に何キロもの金を渡されて結婚したトルコ人の女性を見たことがあります。シャイフが望めば、30人から40人の若い女性たちが用意されます。まさにショーが行われるのです。シャイフが女性たちの誰かを気に入れば、ミフル(頭金)という名で何キロもの金が渡され、彼女は買われるのです。とても美しいトルコ人の女性たちが、60歳から70歳のサウジアラビアの男性たちとこのように結婚しているのです。女性は2番目、3番目、または4番目の妻となること、つまり側室の立場を受け入れるのです。私にも側室への誘いが来ました」
■この本を書いたあとではサウジアラビアに入国することは出来ません
「イクラムさんとは2001年にアタテュルク空港で知り合いました。荷物を待つ旅行者たちの中にいた一人の女性が、スカーフとアバイェと呼ばれるコートをイライラした様子で脱いで投げ捨てたあと、『もううんざり！』と叫びました。その苦難に満ちた人生を描きたいと思いました。イクラムさんは、裕福で有名な一家の娘です。母親はトルコ人です。父親はジッダ(サウジアラビアの都市)で最も有名な医者の一人です」
■イクラムさんのために書きました
「イクラムさんは最初の夫であるファイサルさんと、姑や義理の妹による暴力が原因で離婚しました。イクラムさんの姉であるリナさんが病院で出産後に亡くなった40日後、義理の兄で横暴なムフシンさんがイクラムさんに結婚を迫ったそうです。お姉さんと同じように、ひどい暴力を受けたようです。9人の子どもを持つ母となったそうです。この本は、イクラムさんのような何万人もの犠牲となっているサウジアラビアの女性たちのために書きました。この本が市場に出回った後、サウジアラビアに入国することはおそらく出来ません」
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（ 翻訳者:指宿美穂 ）
（ 記事ID:19591 )