北キプロスへ水供給パイプライン、着工へ
2010年07月20日付 Radikal 紙


トルコから北キプロス・トルコ共和国に向けて、パイプラインを使って年間7500万立方メートルの水の供給を計画しているプロジェクトが着工される。

「北キプロス・トルコ共和国(KKTC、以下北キプロス)の水への需要を満たすことに関する政府間枠組合意」は、7月20日の平和・解放記念日の祝典の一環で本日(20日)の調印式において調印される。北キプロスのデルヴィシュ・エルオール大統領が主賓として参加した調印式では、北キプロスのイルセン・キュチュク首相とトルコのジェミル・チチェキ国務大臣兼副首相が合意に調印した。

調印式ではプロジェクトに関して参加者らにトルコ共和国援護委員会のベキル・カラドゥマン顧問が説明を行った。これによると、メルスィン県アナムル郡にあるドラゴン川に建設予定のアラキョプリュ・ダムから北キプロスに向けてパイプラインを使って年間7500万立方メートルの水を運搬することになっている。3段階を経て完了予定のプロジェクトの第一歩であるアラキョプリュ・ダムが入札にかけられると、このダムから放出される水はギルネ近郊のゲチトキョイ・ダムに供給されることになっている。このプロジェクトは4年で完了することが目標とされており、その約4.5億ドル(約392億円)に上る総工費はトルコ共和国が負担する。

調印式後に演説を行った北キプロスのデルヴィシュ・エルオ-ル大統領は、自身が政治活動を始めて以来北キプロスへの水供給プロジェクトが議論されており、首相時代にもトルコ共和国の首相たちとこの件に関して議論したと説明した。エルオール大統領はプロジェクトが入札段階に入ったことの重要性に言及し、トルコ与党の公正発展党に謝辞を述べた。エルオール大統領はプロジェクトの基礎が準備されて入札にかける段階に来たことが、プロジェクトが4年以内に完了することの判断基準になっていると述べ、「北キプロスにとって2つの戦略的に重要なプロジェクトがある。1つは水、もう1つは電気だ」と語った。
エルオール大統領は、電気に関して北キプロスは現在自力で賄っているものの、発展途上にある観光業や経済活動のことを考慮すると近いうちに海底から送電してもらう必要性が出てくるだろうと強調した。エルオール大統領はトルコからの送電や水の供給のおかげで、北キプロスがすぐにでも発展した国になるだろうと述べ、トルコに謝辞を述べた。

■ キュチュク首相:送られてくる水によって北キプロスは新たな様相を呈するだろう
イルセン・キュチュク北キプロス首相は、「我々は約50年来の切望を実現した」と述べた上で演説を始め、(1974年)7月20日にトルコ軍がキプロスに進駐してムジャーヒド(戦士)と合流し、このことは平和作戦と呼ばれたと説明し、そして今平和の水が北キプロスに供給されるために初めての調印を行ったのだと述べた。キュチュク首相は7500万立方メートルの水の一部を使って、灌漑用の水として使用するつもりだと述べ、その水によって北キプロスは新たな様相を呈するだろうと語った。
キュチュク首相は、その水はキプロス島北部やトルコ系キプロス人にとってのみならずキプロス全体にとっても有益だと強調し、ギリシャ系の人々も様々な方法でこの水の恩恵に与るだろうと説明した。キュチュク首相は「キプロス島では気候の変化が起こるだろう」と述べ、トルコに謝辞を述べた。

■ チチェキ副首相:このプロジェクトは水のように大切なものとなる
ジェミル・チチェキ国務大臣兼副首相も「勝利に終わった平和作戦の記念日に意義深い式典を開催している」と述べ、政治家人生の中で無数の文書に署名を行ってきたが、今日(20日)行った調印の全てに価値があると誇り高く強調した。チチェキ副首相はトルコ国軍が(キプロス共和国の独立に関する一連の)合意に依拠した権利を行使して(1974年)7月20日に行った作戦が文字通りキプロス島に平和をもたらしたことに言及し、「我々が行った署名は平和の水プロジェクトだ。『水のように大切なものになれ』という願いが込められている。我々が信じていることは、水のように大切なものになるこのプロジェクトは北キプロス・トルコ共和国の同胞たちにとって、そしてもし恒久の平和が保障されるならばキプロス島民全員にとって重要な源になるだろう」と述べた。チチェキ副首相はトルコ政府全体の望みであるこのプロジェクトを実施することは自らに課せられた運命であると述べ、間もなく貯水池の栓が開放されてキプロス島に水を供給する可能性を掴むことを望んだ。チチェキ副首相は、水が全世界において、特に中東地域において重要かつ戦略的な必需品であることに言及し、トルコとしては対キプロス関係で望ましいと思うことを行う努力をしており、両者の関係が利益関係ではないと強調した。

チチェキ副首相はトルコ―北キプロス関係が「経済的に発展することを切に願って構築した関係ではない」と述べ、「我々は同胞関係にあり、深い関係性を持つ。水のように大切な関係である」と述べた。チチェキ首相はプロジェクトに4.5億ドル(約392億円)かかるだろうと明かし、総工費1.5億ドル(約130億円)のエネルギープロジェクトとともに水も供給されることで、この貯水池が文明の貯水池になるだろうと述べた。チチェキ副首相は、秋にもプロジェクトの基礎が構築されることを望んだ。

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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:19733 )