ヨルダンで今年5件目の名誉殺人
2010年07月25日付 al-Hayat 紙

■ヨルダンで今年5件目の名誉殺人―30発の銃弾を浴びたラワーンさん、2重の犠牲に

2010年07月25日付『アル=ハヤート』(イギリス)HP1面

【アンマン:ナビール・ギーシャーン】

昨日ラワーンさん(16歳)が父方のおじに殺害されたことで、今年に入ってからヨルダンで起きた名誉殺人の件数は5件に増えた。ひと月半前に強姦の被害にあったこの少女は、2重の被害を受ける結果になった。

医療関係者によれば、性的暴行の被害にあったラワーンさんは、父方のいとこと結婚させられた。ところが父親の兄弟の一人が昨晩、死海沿岸ヨルダン渓谷に位置するデールアラーにある彼女の自宅を襲撃し、カラシニコフ銃30発以上を発射して彼女を殺害したのである。

重犯罪裁判所のアリー・アブーゼイド検察官は、43歳の犯人を審理のために15日間、ジュウェイダ拘置所(矯正・訓練センター)に勾留すると決定し、「殺人罪」を適用するとした。

ラワーンさんはこの2年間で性的暴行の被害にあったために[家族の]名誉を口実に殺された2人目の犠牲者で、昨年にはアビールさんが同様の理由で殺されている。いずれの場合も殺害者は父親でも兄弟でもなく、父方のおじであり、ラワーンさんの場合、父親も夫もおじの手による彼女の殺害を是認していない。捜査関係者によれば、これまでのケース同様、今回の被害者の父親も夫も殺害者の極刑を望んでおり、[ラワーンさんの死に対する懲罰を求める]“個人の権利”を放棄する気はないとのことだ。

治安措置が敷かれる中、法廷に立った犯人は、何者かに性的暴行を受けた姪を殺害したと検察官に対して認めた。事件はいまだ法廷で審理中である。

司法関係者によれば、取り調べの過程で犯人は「性的暴行を受けて以来、姪の行動に疑いを抱くようになったために殺害した」と語った。犯人は性的暴行はめいの合意の上で行われたと考えているようだ。そして犯人は被害者の家を「見張り」、夫が朝食を買いに出かけるのを待ってから、いきなり彼女に発砲、その後凶器を持って警察に出頭するにいたったのである。

名誉を守るとの口実による犯罪はヨルダンで繰り返されている現象で、女性団体や人権団体は数年前から、名誉殺人および[加害者への懲罰を求める被害者家族の]“個人の権利”が放棄された場合の減刑措置を廃止すべく、地元の刑法を改正しようと厳しい闘いを繰り広げている。だがその努力はヨルダン議会の議員多数の反対にあっている。

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( 翻訳者:アラブ・メディア研究授業 )
( 記事ID:19790 )