一触即発の危機ーBDP系vsMHP系の対立抗争エスカレート
2010年07月29日付 Milliyet 紙


ディヤルバクルや他のさまざまな県から集まった平和民主党(BDP)代表団はドルトゥヨル郡に入ることを禁止された。交渉が実を結ばなかったため、団員たちはディヤルバクルへと戻る決定をした。

党の代表団が帰途決定をしたにも関わらず、郡内での緊張状態は収まらなかった。民族主義者行動党系(MHP)の人々とクルド系の人々が構成する二つのグループの対面は力ずくで回避させられた。

アルプアルスラン・トゥルケシ公園で昼の時刻に集まった5百人規模の団体は、帰途の決定が下った後、フェトヒベイ通りでデモ行進し始めた。トルコ国旗を掲げ、手に石や棒を持ちながら行進する人々がイェシルバー街区メズバハネ区に向かう途中、東部・南東部出身の住民たちもそれに反対する行進を始めた。

両グループの対決は警察の介入によって回避させられた。BDPのハタイ県代表も両グループが接触することを避けるため尽力した。フェトヒベイ通りでグループと話をしたドルトゥヨル郡警察本部長ムスタファ・ヤヴズヨルジュは、「私はトルコ国旗を掲げる人へガス噴射による攻撃もしないし、警棒で打ちつけたりもしません。ここから行って下さい」と話したという。グループはこの会話の後、ヤヴズヨルジュと握手をし、解散するかのようにみせた。しかしながら、グループの幾人かの提案により一時、違う道で行進を開始した。警察のバリケードを抜けられないと知ると、グループは歩道で待機し始めた。このようにして、両グループの対決と予測された事件は免れた。

ディヤルバクルや他のさまざまな県から集まった平和民主党(BDP)代表団はドルトゥヨル郡入りを許可されなかった。高速道路に乗ってドルトゥヨルに向かった、隣のエルズィン郡近くにある巡礼滞在施設周辺にいたBDPの一団は警備隊によって停止させられた。これを受けてBDP議員アイラ・アカト・アタとイブラヒム・ビリンジは、関係者たちと話をし、許可が下りるよう求めた。しかしながら、知事が下した決定が不許可であることが明らかになると、 BDP一団は高速道路に止まり、待機を始めた。許可が下りないことに反発を示したビリンジ議員は、「ここから絶対に中に入ってみせます。このような妨害を受けようと、このことについて共同代表者たち、党幹部たちと話し合います。立ち入り許可が下りたら、何が起ころうと中に入ります」と述べた。

ドルトゥヨルへの立ち入りが許可されなかったため、一行はディヤルバクルへと戻る。

■ ハタイ県知事による「立ち入り不許可」説明

ハタイ県知事ジェラレッティン・レケスィズは、BDP代表団の郡の立ち入りに関し、書面による以下の説明を行った:

「さまざまな情報筋から得た知らせにより、BDP党首と同行の代表団が2010年7月29日ドルトゥヨル郡に入ろうとしていることが明らかになりました。この訪問が実現した場合、人々の生活秩序への重大な被害が予測されたため、5442号県行政法の11-Cと他の関連条項によって、代表団のドルトゥヨル郡通行を不許可とする決定を下しました。ドルトゥヨル郡の秩序のため、全ての人々に良識的な態度を取ることが求められています。今回のことで、統一と一体の精神が傷つけられ、同胞愛が壊されないためにも、全ての住民が言動、行動に、昨日よりも更なる注意が払われることをまさに望んでいます。」

■ 極めて高い警戒態勢

ハタイ県ドルトゥヨル郡での非常に高いレベルでの警戒態勢は、BDP党首らの訪問計画が知られたために、昨夜以降、二段階の引き上げがなされた。ここ2日間にわたってドルトゥヨルで任務を行う治安部隊に、周辺の県や郡、アンカラからも援助部隊が送られた。郡ではBDP代表団が集団行進やミーティングの(の実施を)要望するに伴い、町は緊張につつまれ、配置された警察官の数は3千人、軍警察の数は百人まで上がった。多数の装甲車も郡に配備された。

今朝から郡へのあらゆる出入り口が封じられ、特に東部と南東部の住民が暮らすイェシルバー街区メズブハネ区では、警察は広範囲にわたる警戒態勢を布いた。高速道路の出口や町の中心部では、多数の検問所が設けられた。車両は停止させられ、身分確認が求められた。トルコ国旗による装飾が目立つドルトゥヨル郡では、車にも国旗がかけられていたことが注意を引いた。

検問所ではナンバーのない車を運転する人物にも職務質問がなされ、車両が47(マルディン)ナンバーであることが明らかになった。事件と関連する攻撃を恐れ、ナンバーを取り外していたことが予想されるこの車の運転手は、車を新しく購入していたこと、引き渡す予定であると述べ、身分確認の後、解放された。

■ 集会許可申請はなかった

一方、BDPが郡に到着する前、ハタイ県知事ジェラレッティン・レケスィズは、昨日の夕刻、事件の被害にあった、仕事場を攻撃された中小業者を訪問した。人々の良識を訴えるレケスィズは、郡にあるBDPの事務所本部も訪れた。

同知事は焼かれた事務所には上らず、その建物の側まで行き、BDPドルトゥヨル郡党代表ハリル・バイバルズと面会し、「お気の毒さまです」と言葉をかけ、以下のように続けた:「この困難な日々を、相互援助の気持ちと過去において私たちが培ってきた共存の文化、同胞の文化、私たちが有している経験、術、歴史的経験に依拠しながら、すぐに乗り越えましょう。社会のこの傷を皆で一緒に癒していきましょう」と述べた。

この訪問の間、BDP代表団の郡立ち入りに関する記者たちの質問に対し、レケスィズ知事は、「私たちの県に入るため、どのような申し込みもありませんでした。私たちも報道によって知りました。しかしながらお分かりのように、もし集会が行われるなら、集会・行進法に基づいた申請を行い、許可をえることが必要になります」と説明した。

■ BDP代表団にオスマニイェで呼びかけ

ディヤルバクルを発ったBDP党首セラハッティン・デミルタシュ、副党首のギュルタン・クシャナク、アイラ・アカト・アタ会派副代表、ディヤルバクル県代表ネジャド・ヤルク、数人の党執行部と党関係者の乗った50台のBDP 一団は、オスマニイェのバフチェ郡境界で停止させられた。ここで車にいた人々は身分確認をされた。確認後、車の通行が許可された。しかしながら、約3キロいった後、今度はドゥズィチ郡との境界で一団はもう一度、停止させられた。またしても身分確認が行われ、その後、進路を再開した。

ディヤルバクルからのBDP代表団たちがドルトゥヨルに向かう一方で、メルスィンからもBDP40台の一団がドルトゥヨルに向けて出発した。アダナからも、団体とはならない形で、BDP党員たちがディヤルバクルの代表団と合流するために出発した。

■ BDP党員たちが来る前に緊張状態が高まった

ドルトゥヨル郡では12時頃、警察署に近い場所で中小業者と若者たちが集まり始めた。これを受けて、郡長ハイリ・サンドゥクチュは側に行き、BDP党員たちの郡立ち入りに許可が出ないことを知らせ、解散するよう命じた。集団がおよそ5百人に上ると、再び警備員によって注意が喚起された。

ディヤルバクルや他のさまざまな県から集まったBDP代表団がハタイ県ドルトゥヨル郡に到達する前に、郡に住む人々の一団が、東部出身の住民が暮らす街区へ向かおうとして、緊張が最高潮に達した。アルプアスラン・トゥルケシ公園に集まった5百人の集団はテロに強く反対するスローガンを掲げた。

警察が広範な警戒態勢を布く中、デモへ参加した人たちは、イェシルバー街区に向かって行進を始めた。メガフォンで人々を注意する警察署長は、「国家に歯向かわないように。彼ら(あなた方が反対している人たち)が与えた被害以上のものを、あなたたちは私たちに与えています。もし解散しないのであれば、機動隊の介入が入ります。そうしたくありません、どうか解散して下さい。保障します、彼らはここには来ません」と説明した。

この呼びかけにもかかわらず、人々は行進を続けた。機動隊によって妨害されたグループは、独立行進曲を歌った。その後、兵役の際兵舎で兵士教育の際に唱えた言葉、「全てのトルコ人は軍人として生まれる」、「祖国はおまえに委ねられている、自分の命を捧げよう」というスローガンに掲げた。手に国旗を持ちドゥアーを唱える集団は、バリケードを越えられないと、道路に座り込み、待機を始めた。

朝の時間帯に郡の中心部を覆っていた静寂は、昼頃になると緊張状態へ転じる一方で、普段と変わりない生活も続けられた。営業、始業がおこなわれた郡中心部では、ただ機動隊の車と装甲車のみが普段とは異なる様相を示していた。家と仕事場での国旗は今日も掲げられたままであった。


■ BDP代表団、ドルトゥヨルの入り口で

BDP代表団は午後1時頃、ドルトゥヨル郡の入り口に着いた時、郡への立ち入り禁止を言い渡された。BDP指導者たちと郡の関係者たちの間で時折、激しい口論が起こった。

ハタイ知事ジェラレッティン・レケスィズはBDP代表団の郡立ち入りに関し、文書による以下の説明を行った:

「さまざまな情報筋から得た知らせにより、BDP党首と同行の代表団が2010年7月29日ドルトゥヨル郡に入ろうとしていることが明らかになりました。この訪問が実現した場合、人々の生活秩序への重大な被害が予測されたため、5442号県行政法の11-Cと他の関連条項によって、代表団のドルトゥヨル郡通行を不許可とする決定を下しました。ドルトゥヨル郡の秩序のため、全ての人々に良識的な態度を取ることが求められています。今回のことで、統一と一体の精神が傷つけられ、同胞愛が壊されないためにも、全ての住民が言動、行動に、昨日よりなお一層の注意が払われることをまさに望んでいます。」

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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:19813 )