ガザ地区で大規模停電、ハマース政府は自治政府を非難
2010年08月08日付 al-Hayat 紙


■ 停電によりガザ住民は憤慨
■ ハマース政府はファイヤード自治政府を非難

2010年08月08日付『アル=ハヤート』(イギリス)HPアラブ世界面(東アラブ)

【ガザ:ファトヒー・サッバーフ(本紙)】

 昨日〔7日〕朝から、150万人を超えるガザ住民の約半数の世帯で停電が発生した。これは、ガザ地区で唯一の発電所が操業に必要な燃料を使い果たした結果、朝に稼働を停止したことを受けてのことである。停電は、ラマダーン月の訪れ〔8月11日前後〕を数日後に控え、先例のない熱波がガザ地区や中東地域を襲う中で発生した。例年のこの時期の年間平均と比べて、気温は6度上昇した。この約9カ月間停電が繰り返され電力不足が深刻化した結果、ガザ住民の怒りは頂点に達した。解任された〔ハマース〕内閣は、ラーマッラーのサラーム・ファイヤード政府が、ヨーロッパ連合(EU)によって提供されたこの発電所を稼働させるのに必要な資金を[ガザに]回すことを拒んでいると非難した。

 送電が8時間止まり、そして8時間つながり、そして再び止まるといった具合に、ガザ全域で停電は断続的に続いている。ガザの電力会社は、イスラエルからおよそ120メガワット、エジプトからは境界線近くのラファハ市専用に17メガワットの電力を購入している。その一方で、ガザ地区内で唯一の発電所はタービン1基のみを稼動させ30メガワットを発電している。この発電所は、必要な燃料が十分にあれば同時に4基のタービンを稼働する能力を有している。つまり、ガザ地区での電力需要は300メガワットであるにせよ、この発電所だけで100メガワット以上の発電が可能である。

 EUは毎月5000万シュケル(1300万米ドル相当)にのぼる燃料費を援助している。しかし、財務庁長官も務めるファイヤード首相は、この内約2000万シュケルを着服しているだけでなく、警察を派遣して残りの資金を取り立てようと固執している。ガザ政府のエネルギー・天然資源局のカナアーン・ウベイド副局長は、「今朝7時に発電機は停止した」と述べ、この責任がラーマッラー[パレスチナ自治政府の]の財務庁にあるとした。また同副局長は、「ガザ地区の電力会社は自治政府の財務庁に全収益を収めている。しかし、財務庁は発電所に送られる燃料を徐々に削減している」とも語り、ガザ地区の発電所に届けられた最後の燃料が「〔本来の〕2500立米のうちのおよそ800立米」であったと指摘した。

 電力会社は「ガザの発電所が電力網への送電を停止した後は、残っている電気を緊急プログラムを通じて供給していくつもりだ。それはこの残された電力を活用することで、全ての地域に送電を行き渡らせるためである」と述べた。また「発電所が停止した後は、各地域に6時間送電可能であるが、その後の12時間は停電状態となる」として「関係方面によって発電所が再稼動されるまで、こうした方法で送電を続けるつもりだ」と語った。

 また同社は、声明の中で「この発電所の完全停止は、電気の使用不能の割合を高め、現状よりも60%近くこれを深刻化させる危険なものである。特に気温上昇を目の当たりにし、電力消費が増えることはあっても減ることはないラマダーン月が訪れ電力需要が増加することから、この発電所の完全に停止すれば、公的・人道的なサービスがすべて停止してしまう恐れがある」と警告した。

(後略)

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( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:19955 )