レバノン議会でパレスチナ難民の労働に関する法案可決
2010年08月19日付 al-Hayat紙

■ パレスチナ側、人権に関する法案可決に微妙な反応:「今回の法律は最低限の要求も満たしておらず、差別が撤廃されていない」

2010年08月19日付『アル=ハヤート』紙(イギリス)HPアラブ国際面

【ベイルート:本紙】

レバノン国民議会は国内のパレスチナ難民に社会権や人道的権利を与える法案を可決した。しかし[不動産の]所有権は与えられず、難民らの間では歓迎する動きもあれば不満も表明され、様々な反応が見られた。国際労働機関(ILO)と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) は「この新しい権利がレバノン労働省の主導のもとで実際に適用される」ことを期待している。

ILOのナダー・アル=ナーシフ・アラブ地域総局長は、「レバノンの議員たちが国際的権利である労働権を認めたのは、社会的公正と全ての人に働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を与える義務を果たすレバノンの姿勢が確認されたという点で重要な成果だ」と述べた。

またUNRWAレバノン事務所のサルヴァトーレ・ロンバルド事務局長は「今回の法改正は正しい方向へ進む重要な一歩だ。一昨日の議論によって生まれた前向きな反応は必ず、UNRWAがレバノン国内のパレスチナ難民に対して、パレスチナ人とレバノン人のどちらにとっても利益になる最良の奉仕を行ってゆく姿勢を強化することになるだろう」と述べた。

ILOとUNRWAの双方は、「国際社会とレバノン当局が今後も続く様々の課題に立ち向かい、パレスチナ人が尊厳ある生活を送り、労働することができるようになるため、引き続き必要な支援を行うよう」呼びかけた。

(中略)

レバノン駐在のハマース政治局幹部アリー・バラカ氏は、「国民議会が可決したパレスチナ難民に関する労働法は不十分で、レバノン国内のパレスチナ人民の要求を満たしていない」との見解を示し、議会の各会派と各政党に「パレスチナ難民の全職種への就労を許可する措置を講ずること」を求めた。

またバラカ氏は、「レバノン国内のパレスチナ難民は市民権や人権を獲得していない」と述べ、「これらの最も基本的な権利を奪っている問題点を是正するよう」求めた。

「サービト帰還権実現機構」は同法について「レバノン国内のパレスチナ難民の願望に応えておらず、不十分なものだ」とし、「レバノンの一部の政治家が主張しているように難民の不動産所有権と帰化の間に何らかの関係があるということはない 」と指摘した。一方「シャーヒド人権協会 」はパレスチナ人にいくつかの職種における就労許可の獲得や、退職手当や労働災害に関する社会保障の適用が認められたことを歓迎し、「他の権利についても法律を制定できるようより一層尽力すること」を求めた。

「シャーヒド協会」は今回の法律に関して、「レバノンのパレスチナ難民が要求している最低限のレベルに達するか達しないかというところであり、60年以上レバノンに在住しているパレスチナ人を外国人とみなすという点で今なお差別的な内容を含んでいる。パレスチナ人は労働許可を得なければならず、許可が下りても一定期間毎に更新しなければならないとされている。また今回の法律をめぐる全ての不明な点を明らかにするためには、実施に向けた政令の制定が必要である」と述べている。

同団体は、ワリード・ジュンブラート議員率いる会派「民主会合」が掲げた不動産所有権に関する法律を含む4つの提案や、「3月14日勢力」の提案、またパレスチナ人の医師、薬剤師、法律家、技師などの自営業への就労を許可する案が今後どのような取り扱いを受けることになるのか、問いを発している。

ILOとUNRWAはレバノン議会での今回の動きを歓迎し、共同声明の中で「労働法及び社会保障法における今回の改正は、多くの前向きな結果をもたらすものだ。特に、同等待遇を受けるための条件が廃止され、登録されたパレスチナ難民の就労許可獲得を妨げていた障碍が除去されたことは評価できる。またとりわけ重要なのは、登録されたパレスチナ難民が、雇用主が代わりに負担するレバノン社会保障基金を通じて退職手当を受けられるようになるということだ」との見解を示した。

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(翻訳者:中島希)
(記事ID:19997)