iPhone受信障害問題を救うのは、トルコ人科学者?―アップルとリキッドメタル社提携
2010年08月26日付 Milliyet 紙

アップル社は、携帯電話iPhone4のアンテナ部分をつかんだ時に生じる受信障害の問題を解決するために、トルコ人物理学者のアタカン・ペケル氏が13年に渡って研究した弾性金属を使用することを検討している。

iPhone4の受信障害は企業のブランドイメージに大きなダメージを与え、総額で1億7500万ドルもの追加コストを発生させた。アメリカの超大手コンピュータ会社アップル社は、そのための対策として、ボアジチ大学卒のトルコ人物理学者、アタカン・ペケル氏の「弾性金属」というテクノロジーに注目している。
アップル社は先週リキッドメタル社との契約にサインをし、一般向け電化製品でのこの金属の利用に関して合意し独占的な使用権を獲得した。iPhone4の新ヴァージョンやiPhone5のアンテナにこの金属を使うことが検討されている。また、iPadやMacbookなど別の商品でも同様に使用される可能性がある。
自身もMacの大ファンであり、パソコンはアップル製を選ぶというアタカン・ペケル氏は、弾性金属のオリジナルのフォーミュラを作り上げた一人として、アップル社がこれを採用することを光栄に思うと話した。

■特許料4000万ドル

弾性金属テクノロジーの発明者であるペケル氏は、13年間リキッドメタル社で働いていた。大学の修士課程在学中に会社に入り、製品開発に携わったあと、開発部門の副部長クラスまで上り詰めた。現在はワシントン州立大学で「先端物質学」の学部長を務めている。ペケル氏には「弾性金属」以外にも30近い特許があり、その多くは産業界で実用化されている。ここ5年の全特許料は4000万ドルを超えるという。

■チタンの10倍の柔らかさ

13年間この金属の研究をしてきたペケル氏は、「強化プラスチック」として知られるこの金属が、外見は他の金属とまったく変わらないが、非常に弾力性をもっていると説明する。チタンやステンレスなどの10倍の弾力性があり、非常に軽く、2倍の耐久性をもつ。一番の短所となるのは、使用範囲が限られているために価格が高いことだ。

■弾性金属は何の役に立つか?

iPhoneの次のモデルに使用される予定の新しい金属は、GSMアンテナの部分がふさがれた時にたわんで、アンテナが隠れてしまうのを防ぎ、電波の受信問題を防ぐことになる。

■オメガやヴァーチュで採用

ペケル氏が開発したこの金属は、高級製品などのほかNASAや軍事産業などでも使われている。オメガやタグホイヤーなどの有名時計や高級携帯電話ブランドであるヴァーチュに使用。また、自転車、ゴルフ、野球のバットなどでも使われている。その他の用途として、宇宙関連機材や徹甲弾などがある。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:20028 )