革命最高指導者「制裁と脅迫の下では、アメリカとの交渉はありえない」
2010年08月19日付 Jam-e Jam 紙

イスラーム革命最高指導者のアーヤトッラー・ハーメネイー閣下は昨日夕方、体制の責任者・幹部らと面会し、そのなかで国内外の重要な事案に対してイランがとるべき方針を指示した上で、〔‥‥〕心を一つにして団結することの必要性をことさらに強調して、「〔革命体制の〕責任者たちの団結は、重要なイスラーム的義務であり、それを乱さんとすることはシャリーア〔=イスラーム法〕に反するものとみなされる」と述べた。

〔中略〕

 ハーメネイー閣下はまた、外国人どもが企てているさまざまな計画に関して説明するなかで、・経済的な圧力、・軍事的脅迫、・心理戦、・国内における政治的混乱や破壊行為の煽動〔※2009年の大統領選挙後の混乱を指す〕、について言及し、「アメリカはこうした企て、すなわち制裁や脅迫、〔対イラン制裁〕決議などを画策するのと平行して、〔イランと〕交渉の用意があるなどと吹聴している」と続けた。

 革命最高指導者はその上で、過去30年間にわたって、アメリカはこうした手法を用いてきたと指摘し、次のように述べた。
イランに対する30年来の制裁、歴代の米大統領による絶え間ない威嚇、イマーム・ホメイニーやイラン国民に対する執拗で毒気のあるプロパガンダ、そして過去数度にわたる、国内分子を通してのサボタージュや暴動〔の煽動〕。これらはいずれも、アメリカがイラン国民に対峙する際、使い古しの手法をいまだに用いていることを示している。

イラン国民が対決する場は、われわれの地域にとどまらないだろう

 ハーメネイー閣下は、アメリカが〔イランと〕交渉の用意があると表明していることについて、これまでの繰り返しにすぎないと指摘し、圧力と脅迫の下で交渉することはできないと退けた上で、以下のように述べた。
もちろん、我々は2つの問題、すなわちイラクに関するものと、アメリカ側が治安上の重要なテーマと述べているものに関して、アメリカと協議をおこなったことがある。しかしそこで分かったのは、アメリカは協議の席上で〔イラン側から出される〕論理的思考や合理的議論を前にして旗色が悪くなると、いつも力に物を言わせる態度に出て、一方的に協議を打ち切ってくる、ということだ。

 同師はさらに、こう強調した。
我々は明白な理由から、アメリカとの交渉を拒否してきた。なぜなら、脅迫と圧迫の下での交渉は、交渉とは言えないからだ。我が国の親愛なる体制責任者たちが、「われわれは話し合いを好む人間だが、しかし脅迫と制裁、力に物を言わせる態度のもとでの交渉を望むアメリカと交渉したいとは思わない」と述べているのも、まさにこれが理由なのである。

 ハーメネイー最高指導者はまた、次のように指摘した。
本来、もし彼らが超大国というボロののれんを下ろし、脅迫と制裁をやめ、交渉に対する自らの最終的な目標を〔自分勝手に〕思い描くようなマネを慎むのであれば、以前にも言ったとおり、われわれにも話し合いを行う用意がある。しかし実際のところ、彼らは〔問題解決のために〕話し合いを行うような人間ではなく、むしろ力に物を言わせることを好む連中なのだ。

 同師は演説の続きのなかで、次のように強調した。
他国に対して行っているのと同じように、イランに圧力をかけることなど出来はしないということを、アメリカは知るべきである。なぜなら、イランはいかなる種類の圧力にも屈することはないし、独自のやり方でその圧力をはねのけるであろうからだ。

 革命最高指導者は核問題についても、再度、燃料生産サイクル〔の開発〕はイラン国民の本来的な権利であるとして、こう続けた。
イラン国民と国の責任者たちは、この権利を手放すつもりはない。神の思し召しがあれば、われわれは国内に原子力発電所を複数建設し、そのための燃料を自国内で生産することで、自身が有するこの本来的権利をこれからも追求することになるだろう。

 同師はさらに、イランが必要とする核燃料の確保に関してアメリカが行っている一部の議論について、荒唐無稽だと指摘し、テヘランにある〔研究用〕原子炉向けの濃縮度20%の核燃料の提供をめぐって、諸外国が不誠実な対応をとっていることに言及した上で、こう付け加えた。
我々は世界で認められている商習慣に則って、およそ20年前、この原子炉用の燃料を購入した。しかし彼らは、我々がこの濃縮度20%の燃料を再び必要になったのを見るや、悪ふざけを始めた。もちろん、アメリカと西洋が犯したこの大きな誤りのツケは、彼ら自身に返っていくことになるであろう。

 同師は、濃縮度20%の燃料をめぐる西洋の戯れの結果、イランは同燃料の〔自主〕生産へと促され、またアメリカや〔ロシア・フランスといった〕その他の燃料生産国は信用できないということが〔世界に〕証明されたと指摘し、「この出来事によって、〔世界の〕全ての諸国民に、彼らは本当に信用できない国々であるということが明らかになったのだ」と強調した。

 アーヤトッラー・ハーメネイーは、アメリカによる軍事的脅迫に関しても、以下のように強調した。
このような愚かな行為〔=イランに対する軍事行動〕を、彼らが行うとは考えにくい。しかしもしそのような脅迫を実行に移したならば、イラン国民が〔敵と〕対決するフィールド(場、戦場)は、我々の地域〔=中東地域〕だけにとどまることはないだろう。むしろ、この対決はより広範なフィールドへと広がっていくだろう。

 革命最高指導者は、イランにおける人権侵害についてアメリカが否定的プロパガンダに勤しんでいることを一笑に付し、「連中はイラクやアフガニスタン、パレスチナで示してきたように、人間の命に何の価値も見出してはいない。にもかかわらず、厚顔無恥にも、イランの人権侵害について語っているのだ」と付け加えた。

〔後略〕

Tweet
シェア


関連記事(オバマ・アフマディーネジャード会談の可能性、高まる)
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:水谷陣也 )
( 記事ID:20032 )