Sami Kohen コラム:賛成派勝利を世界は歓迎、しかし・・・
2010年09月14日付 Milliyet 紙

民主主義国家において合法的な手続きにのっとって行われる国民投票は、一般に国際社会ではあまり大きな関心を集めることはない。
しかしトルコで憲法改正のために実施された国民投票は、世界で大きな注目を集めた。
これは、「伸張する勢力」として、西洋であれ東洋であれ、トルコでの出来事が世界の関心を引いたことを示している。
国民投票をトルコの民主的発展の観点から重視する者ももちろんいる。しかし概して世界の関心の本当の理由は、この国民投票が現政権、特にエルドアン首相の政治力を試したものだからである。
民主化プロセスといった観点から国民投票の結果は、総じて世界では肯定的に受け止められている。EUやアメリカの反応はそれを示している。
EUを代表して談話を発表した欧州委員会のステファン・フレ委員は、国民投票の結果を、EU基準のクリアに向けた重要な一歩と評した。しかしフレの談話によれば、欧州委員会はこの進展に満足しているものの、国民投票で承認された憲法改正の適用を「至近距離で見守るつもりだ」という。フレは同時に、エルドアン政権は新憲法のために新たな段階を踏み、野党や市民団体と対話や協議を行う必要があると述べている。要するにEUと欧州議会の関係者の双方は、国民投票を肯定的に受け止めているが、今回承認された改正では十分でなく、改革がさらに進められることを期待するとのメッセージを発している。

■政治力が試された

国民投票の結果をより広い見地から捉える人々、つまりこれを政権にとっての信任投票と見なす人々もまた、概して結果に満足している。世界のアナリストたちが今回の国民投票を「(総)選挙前の力試し」として見なそうとするのは、実際は国民投票キャンペーンがまさしく選挙の様相を呈していたからだ。
実際昨日(13日)は、世界の主要紙のほぼ全てが、エルドアン首相は獲得した58%の「賛成」によって今やより強固な政治力を手にしたと指摘している。
アナリストたちは、このためエルドアン首相や公正発展党が来年(2011年)3期目の政権を獲得するための道が開かれることになると考え、このことからトルコでは政治的安定が継続するだろうとの結論を下している。
アメリカでは特に政権周辺が、この観点で国民投票の結果に満足しているとされている。オバマ大統領は、エルドアン首相への祝福のメッセージの中で、「トルコの民主主義の高まり」を強調しているが、アメリカ政府にとって政権安定という要素が、アメリカの国益の観点から非常に重要であることは間違いない。特にアメリカ議会でエルドアン首相が最近進めている外交路線への対抗姿勢が見られるとしても、アメリカはトルコでの安定の継続と現政権との関係維持を選ぶと見られている。

■どちらの道を選ぶのか

確かに世界は国民投票の結果に概して満足だ。しかし2つの点で問題や戸惑いがある。
一つ目は内政上の問題である。エルドアン首相は強めた政治力をどう利用するのか。民主主義を本当に前進させようとするつもりなのだろうか、そのために野党や異なる考えを持つ人々と建設的な対話を重ねて合意しようと努力するつもりなのか。EUはそれを見守るつもりだと言っている。
二つ目は外交上の問題である。エルドアン首相は刷新した政治力をどう利用するのか。以前に宣言した「さまざまな融和路線(民主的解決路線)」を継続する勇気を示すつもりなのか。最近激しく揺らいでいる諸関係を、正常化しようとするのか、それとも態度を硬化させるつもりなのだろうか?
首相は「賛成」を勝ち得た今、それぞれ二つの分野でこのような決定的な岐路に立っている。

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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:20166 )