クルドの有力2部族チュルク族とテメッリ族、歴史的和解
2010年09月29日付 Milliyet 紙


DTK(民主市民会議)議長であるアフメト・チュルク氏が族長を務める「チュルク」部族と26年にわたって敵対関係にあった「テメッリ」部族が、5000人が参加した食事会により和解に至った。儀式に参加した平和民主党(BDP)のセラハッティン・デミルタシュ党首は、「この和解がトルコ中に広まるよう、私たちは努力を続けます」と語った。

DTK議長アフメト・チュルク氏が族長を務める「チュルク部族」と「テメッリ部族」の敵対は1984年に始まった。地域の最有力部族のひとつメティナン族に属すテメッリ家の名士の一人ジェブライル・テメッリ氏とシェリフ・テメッリ氏が乗っていた自動車は、デリキ県ボズバユル村に行く際、身元不明の人物により自動銃で掃射された。事件でジェブライル・テメッリ氏は死亡、負傷したシェリフ・テメッリ氏は4本の指を失った。事件はテロ組織PKKが引き起こしたものだったが関わらず、テメッリ家は、彼らを扇動したのは、アフメト・チュルク氏が族長をつとめ、これまた地域の有力部族であるチュルク部族であると主張し、敵対関係に入った。マルディンだけでなく、ディヤルバクルとシャンルウルファにも影響力を持つチュルク部族の多数の者がPKKに参加した。これに対し、テメッリ家の者は(政府側の)守備兵になっていた。PKKに対し組織化されたトルコ軍の軍事作戦に参加したテメッリ部族の守備兵の数は約60人であったのが、近年では20人まで減っていた。

地域の二大部族の間にあった敵意は、マルディンとその周辺にまでネガティブな影響を及ぼしていた。その二部族間の対立は、シュルナク、マルディン、ディヤルバクルに影響力をもつ要人、そして他の部族のリーダーたちも間に入り、26年後についに、終止符が打たれることになった。

テメッリ家が和解を承認したことで、マルディンのデリキ郡から15メートル離れた人口250人45軒のボズバユル村で儀式が行われた。マルディンだけでなく、シャンルウルファとディヤルバクル、シュルナク地方からも二部族の関係者約五千人が和解のために村に押し寄せた。

大混雑となった和解食事会には、民主市民会議議長でチュルク部族長のアフメト・チュルク氏、BDP党首セラハッティン・デミルタシュ氏、BDPムシュ県選出議員スッル・サクク氏、スィイルト市長セリム・サダク氏、マルディンやディヤルバクル、シュルナクのBDP所属の市長たち、市議会議員、県議会議員、党の指導者ら、テメッリ部族長シェリフ・テメッリ氏とともに、部族の高位指導者たちが参加した。村を訪れた来客たちは15のテントによってもてなされ、クルド語で「和解にようこそ」と書かれたプラカードが彼らを出迎えた。


和解食事会に参加した五千人をもてなすため、村の女性全員が動員され、子ヤギ500匹が殺され、米5トン、パン5000個が料理に使われた。村の若者たちが並び、招待客にその料理を配った。

アフメト・チュルク氏とその同行者がもてなされたテントでは、招待客に何度もムッラ・コーヒーmırra kahvesi がふるまわれ、二部族のメンバーは26年ぶりにひとつの場に集まる幸福を味わった。

村ではコーランが読まれ、祈りが行われた。その後で、二部族間の和解に仲介の労をとったスィイルト市長セリム・サダク氏とフェティ・ギュムシュ弁護士、さらに地域の名士たちの前でチュルク部族族長のアフメト・チュルク氏とテメッリ部族族長のシェリフ・テメッリ氏がお互いに抱擁した後、手を天に向けてかかげ、今後は自分たちだけでなく両方の部族に属する者全員が仲間であるというメッセージを送った。

和解の儀式で最初にスピーチを行なったスィイルトの無所属市長セリム・サダク氏は、クルド人は平和に飢えた民族であると述べた。そして、「今日(9月29日)名誉ある和解を体験しています。まず最初に、私たちクルド人の間で平和を築く必要があります。トルコの人々は、我々にむかって、クルド人は「まず自分たちの中で和解をすべきだ」といっています。たしかに、私たちもそうしなければなりません。まず私たち自身の中で和解を実現させならなければいけないのです。今日は私たちは、まるで結婚式にいるようです。それは地域の二大部族が和解したからで、このことで私たちはとても幸せです」と語った。

BDP党首セラハッティン・デミルタシュ氏は、和解を承認した二部族に、党の名において感謝を述べた。デミルタシュ氏は、「2つの有力な部族の間で、本日(9月29日)和解が実現した。私たちにとって、これは誇りになるような出来事だ。私たちの同胞の絆を強めるという点からも非常に大切なことだ。この和解が国全体の平和に変わっていってほしいと思う。社会全体の平和へと繋がる道も、このような形をとるだろう。私たちは地域の全家族、そして全部族によびかけている。どの部族、どの「家」の間にも対立があってはならない。とくに「血の復習」の慣行は絶対に起こしてはいけない。今後、我々の義務は、対立をつづけている「家」や部族を和解させることにある。この和解が国中へ広がるよう、努力を続けていく」と述べた。

テメッリ部族のリーダー・シェリフ・テメッリ氏も、和解のために集まった全ての人に感謝を述べた。たま、アフメト・チュルク氏はこのような素晴らしい日を、自分たちにもたらしてくれた人々に深く感謝すると語った。テメッリ家が敵だったわけではないと語るアフメト・チュルク氏は、「テメッリ家と今後、仲間としての絆を気付くために、力を尽くします。クルド人とトルコ人も、この和解を手本にし、永続的な和解のために努力してほしいと思っています。私たちはトルコ人とクルド人の和解のために努力し続けます。クルド人とトルコ人の間に、必ずや平和が訪れることを信じています。私たちはいつも、人々の友好と団結を望んできました。今後この考えを変える気はありません」と話した。

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( 翻訳者:智原幸穂 )
( 記事ID:20275 )