アリーアクバル・ヴェラーヤティー「イスラームへの恐怖感情は反イスラーム主義の始まり」
2010年09月17日付 Mardomsalari 紙

最高指導者国際問題担当上級顧問のヴェラーヤティー氏は、「敵はイスラーム教徒間の対立を煽ったが、そこからなんら成果を挙げることができなかった。そこで彼らは、イスラーム教徒に対する十字軍主義的な偏見を、キリスト教世界で扇動しようと考えている。そうすることで、彼らはアメリカやNATOによる侵略を宗教的に正当化しようとしているのだ」と語った。

 アリーアクバル・ヴェラーヤティー氏はあるインタビューのなかで、9・11以降、反イスラーム主義がいかなる戦術を採用し、またアメリカがその後イスラーム世界に対してどのような戦略を追求しているのかについて検討した上で、次のように述べた。
アメリカの戦略——そこではシオニストたちが裏側で間違いなく主要や役割を演じている——とは、数年前、つまりソビエト崩壊後にサミュエル・ハンチントンが『文明の衝突』論のなかで提起した理論を、ある意味で実現させることである。当初論文というかたちで提起され、その後に本として出されたこの理論のなかで、ハンチントンは、ソビエト連邦と共産主義の崩壊後の今日、西側世界はイスラーム世界と儒教世界に直面していると指摘している。つまり、西洋文明は今後、イスラーム文明および中国文明と衝突する、というのである。

 同氏はさらに、「〔‥‥〕彼らはこれをもとに、徐々にこの理論を実現するための行動を起こしてきた。これをどのように実現するかについても、複数の戦術を用いてきた。〔例えば〕某牧師が、夢の中でイエスがエルサレムを異教徒(イスラーム教徒)の手から救い出さねばならないと語りかけてきた、などと言って、人々を煽り立てたりした!〔‥‥〕」と指摘した。

 同氏はまた、次のように付け加えた。
ある西洋の理論家は以前、「もしカーブルやカンダハールでこうした過激なイスラーム教徒と対峙しなければ、明日にもパリやロンドンやローマで対峙することを余儀なくされるだろう!つまり、われわれは戦場をパリやロンドンやローマから、カーブルやカンダハールに移して〔過激なイスラーム教徒と戦って〕いるのである」などと述べたことがある。言うまでもなく、こうした主張はまったくの的外れだ。しかし彼らは、もし我々がイスラーム教徒やイスラーム世界に〔厳しく〕対処しなければ、彼らは明日にも、ヨーロッパの諸都市に対して不意打ち攻撃を仕掛けてくるだろう、といったことを議論しているのである。

〔‥‥〕

 最高指導者国際問題担当上級顧問は、〔西洋世界における〕イスラーム恐怖感情(イスラームフォビア)煽動計画の成功と、今後こうした流れが継続していく可能性について、次のように指摘した。
イスラームへの恐怖感情は「反イスラーム主義」への序章である。つまり西洋世界において、彼ら〔=米政府やNATO〕はイスラーム教徒に対する恐怖感をキリスト教徒に植え付け、イスラームを危険なものであるかのように偽ろうとしているのである。そうすることで、この危険の排除を目的とした自らの軍事的・政治的・プロパガンダ的・心理的行動を、宗教的に正当化しようと考えているのだ。つまり、もしキリスト教徒が警戒しなければ、イスラーム教徒が事実上キリスト教徒を自らの影響下に置いてしまうだろう、などと言って〔キリスト教徒のイスラームに対する恐怖感情を煽って〕いるのである。

〔‥‥〕

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( 翻訳者:多田直輝 )
( 記事ID:20281 )