ドイツで就任して間もないクリスティアン・ウルフ新大統領が、ベッティナ夫人とともに4日間の公式訪問のため今日トルコに到着した。ドイツでは外国人統合やイスラム教徒に関する厳しい議論がなされており、こうした時期に、ウルフ大統領はトルコとの関係を整えるため注力することになる。

ドイツのアンゲラ・メルケル連邦首相が「ドイツの多文化主義は失敗した」とのべる一方で、連立与党のホルスト・ゼーホーファー（バイエルン州首相）氏も「多文化主義は死に瀕した。ドイツにさらに多くのトルコ人とアラブ人が来ないよう規制しなければならない」とコメントした。このようなメルケル連邦首相とゼーホーファー・バイエルン州首相が外国人を敵視するコメントをだしたにも関わらず、クリスティアン・ウルフ新大統領は、10月3日のドイツ統一記念式典での談話で「イスラムはドイツの一部である」と発言し、トルコでは共感を集めた。

クリスティアン・ウルフ大統領は今日、夫人と付き添いの職員らとともにトルコに出発したが、それに先立ちドイツの野党メンバーらはウルフ大統領に重要なメッセージを投げかけた。

■ポピュリスト的右翼政治家とは距離を置くべき

緑の党ジェム・オズデミル共同党首は、ウルフ大統領のトルコ訪問が「調和」について建設的な議論を行うための重大な機会であるとし、ウルフ大統領がキリスト教社会同盟(CSU)のホルスト・ゼーホーファー党首のようなポピュリスト的右翼政治家とは異なる考えを持っていることを明白な形で強調するよう望んでいる、と話した。
オズデミル共同党首は、ウルフ大統領が「イスラムはドイツの一部である」とコメントしたことで、トルコで大きな共感が得られたと指摘した。

■9000人のトルコ人が帰国

社会民主党(SPD)リュディガ－・ファイト統合政策問題広報官は、ゼーホーファー州首相による無意味なコメントとは反対に、ウルフ大統領がトルコ人が今後ドイツで常に温かく迎えられることを明確な形で述べるよう望んでいる、とした。
ファイト広報官はドイツで現在行われている統合政策の議論は現実の数字に依拠していないと述べ、これまでにドイツから母国に帰国したトルコ人の数は、ドイツに移住するトルコ人よりも多いことを指摘した。そして、2009年にはドイツで生活するトルコ人のうち9000人が母国へ戻ったと述べた。

■「キリスト教はトルコの一部」と言うべき

キリスト教民主同盟(CDU)ルプレヒト・ポーレンツ党員は、ウルフ大統領がトルコ訪問の間、トルコで暮らすキリスト教徒の問題を提起するよう求めた。「キリスト教徒はトルコの一部である」と話すポーレンツ党員は、トルコに対し、キリスト教の遺産のうえに生きることに誇りを抱くべきであるとウルフ大統領が指摘する必要があると述べた。

また、ドイツビルド紙も、ウルフ大統領に対し、トルコ訪問に先立って宿題を準備した。

■ビルド紙によると、ウフ大統領はトルコに対して次の7項目を必ず確認しなければならない

・ドイツで暮らすトルコ人の統合政策は成功物語ではない
・名誉殺人のような、（女性に対する）抑圧を覆い隠す壁が、その役割を果たしてはならない
・ドイツで暮らすトルコ人の若者の犯罪率が上がっていることが無視されるべきでない
・トルコで暮らすキリスト教徒が今でも差別されている
・ドイツはイスラム主義者の避難場所にはなり得ない
・ヨーロッパの基本的価値の1つは報道の自由である
・トルコはヨーロッパ連合への道を進んでいるが、目標まではまだ遠い

■トルコ大国民議会で演説予定

ドイツのクリスティアン・ウルフ大統領はまずトルコ大国民議会で演説を行う予定である。今日の夕方トルコに到着する予定のウルフ大統領は、明日(19日)アンカラでアタテュルク廟を訪れた後、チャンカヤにある大統領公邸でアブドゥッラー・ギュル大統領に迎えられる。ギュル大統領とウルフ大統領の会談の後、大統領公邸で行われる共同会見に臨む。その後、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相と会談する予定だ。

■バルトロメオス総主教とも会談予定

ベッティナ夫人と連れ立って訪問する予定のウルフ大統領は、アンカラで市民団体と会談した後、カイセリ、カッパドキア、タルススにある聖ポール教会、アダナ、イスタンブルを順番に訪問する予定である。
クリスティアン・ウルフ大統領は、イスタンブルではフェネル・ギリシャ正教会バルトロメオス総主教とも対面し、アヤ・イレーネ教会で会談を行い、教会で開催されるコンサートに参加する。ウルフ大統領一行は、金曜の夕方にトルコを発つ予定だ。

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（ 翻訳者:萩原絵理香 ）
（ 記事ID:20435 )