Sami Kohenコラム:アンカラの「外交」交通事情 
2010年10月09日付 Milliyet 紙

この場でイスタンブルの人々を悩ませている交通事情についての議論をする訳ではないが、しかし最近の交通渋滞は耐え難いほどになり、日常生活をマヒさせている。イスタンブルは、数々の美点にも関わらず、この渋滞のひどさゆえにとても住みにくい都市へと変わってしまった。また、さらに悪いことに、問題解決に関して「トンネルの出口」が見えないことに皆が失望し、苛立っている。

しかし、今日我々が取り上げたいトピックは、アンカラの政治上の「交通」、つまり外交についてである。ここ最近、トルコの外交においてもかなりの混雑がみられている。

アンカラに数日の間に次々とやってきた政治家の人々の中には、ラムスセンNATO事務局長、オーストリアのミヒャエル・シュピンデルエッガー外相、ポーランドのラデック・シルコスキ外相、中国の温家宝首相などの要人が挙げられる。

この往来はトルコの外交政策の結果であり、また国際社会のトルコに対する重要性の表れでもある。

■諸問題にも関わらず・・

これらのアンカラへの訪問から、トルコの外交政策における進展に関し、幾つかの結論を導くことが出来る。

このうちの一つは、トルコが何らかの問題を抱えている国との関係を、2国間ペースで改善しようとしている、という点だ。

オーストリア外相の訪問からこの事がよりよく理解できよう。オーストリアはフランス、ドイツと同様、トルコのEU加盟に当初から反対してきた国である。しかし2国間にはEU加盟問題以外にも共通の利益と関心がある。その筆頭に経済協力がある。オーストリアからの来賓はこの分野(エネルギーを含む)での協力関係の有用性を明らかにするものだった。

トルコ外交が新たに学んだことは、友好国との間に問題が発生したとしても2国間の関係とその発展を持続させることが必要だという点である。例えば、EU加盟問題について言えば、トルコの加盟に反対する国々との2国間関係を犠牲にしてはいけない。

フランスともまた同様だ。フランス外相ベルナール・クシュネル外相が今週の月曜日にアンカラを訪問する。ご存知のようにフランスはトルコのEU加盟に反対している。このため一時期2国間の間に大きな緊張がみられた。しかし最近になってから関係改善が始まり、相互訪問が続いた。サルコジ大統領がEU加盟に関する見解を変更するようには見えないが、フランス外交はトルコを味方につけようと努力はしている。クシュネル外相は昨日、トルコ訪問を前に会見し、トルコを非常に重要なパートナーだと述べ、2国間での政治的、経済的、文化的協力を列挙した。

■最も有効な方法とは・・・

その他の国々との間でもまた、似たような状況がある。

最も近い同盟国のアメリカとは、この地域の問題をめぐって深刻な意見の相違がある。そればかりか(特にイラン、イスラエルに関して)摩擦が生じている。ただこの相違にも変わらず、2国の利害、現在の関係、協力関係は守られなくてはならない。

同じことはロシアとの関係にも言える。メドベージェフ大統領のキプロス訪問時の発言は、キプロス問題に関してロシアとトルコの間で見解が大きく異なることを示した。キプロス問題以外にも意見の違いはあるだろう。しかし2国の利害は、2国間関係での協力を求めている。

中国との間にも、例えば、昨日アンカラでもデモのあったウイグル・トルコ人の状況に関して、深刻な意見の相違がある。トルコ政府がこの問題に対して感じている懸念を中国側に伝えることは当然だ。しかしこれが中国との間の様々な協力関係の障害になってはいけない。

これ以上、例を増やさずとも次のことは言えるだろう。「たとえ問題があったとしても2国間関係を発展させること」、これは正しい政策だ。これに逆行することは、ただ敵意と緊張を高めるだけだ。それは賢いやり方とはいえないだろう。

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( 翻訳者:田中優美 )
( 記事ID:20475 )