Fikret Bila コラム:共和国記念日は、ほんとうに祝われたのか?
2010年10月29日付 Milliyet 紙

共和国の第87周年を祝った。おめでたい雰囲気で祝っただろうかという質問に、「はい」とは答え難い。10月29日の共和国記念日は、祝日のように過ぎただろうか?
この一日起きたことを見れば、「祝日のように過ぎた」とは言えないだろう。政府指導部はしかめ面だった。メディアは敏感になっていた。皆がお互いを伺っていた。

■問いの数々

誰が誰を訪問し、誰が誰と話し、誰が配偶者を伴いまたは一人で来たのか。首相と第一野党の党首は話をしただろうか?
第一野党党首と憲法裁判所長官は互いの顔を見ただろうか、握手しただろうか?
司令官たちの表情はどうだったか?彼らは大統領官邸でのレセプションに来たのか、来なかったのか?彼らがトルコ国軍(TSK)の軍人に供したレセプションの時間は、故意に官邸でのレセプションに近い時間に設定されたのだろうか?
誰がスカーフを身に着けた妻と参加し、誰が参加しなかったのか?共和人民党(CHP)からは何人の国会議員が参加したのか?
アブドゥッラー・ギュル大統領は、この3年、1日に2回ずつレセプションを開いてきたが、なぜ4年目になって1回だけ、それも配偶者同伴のレセプションに変えたのか?
そして、ディヤルバクルは何をしただろうか?共和国記念日はディヤルバクルでどのように祝われただろうか?広域市市長は式典に参加したのか?人々はそこにいたのか?トルコ国旗以外の旗が掲揚されたのか?クルド労働者党(PKK)と平和民主党(BDP)の支持者らは、10月29日(共和国記念日)を本当に記念日としてみているのだろうか?

これらの問いが、我々が深刻な問題を抱えていることと、共和国記念日さえ、おめでたい雰囲気で祝うことに障害があることを示している。

■共和国理解

これらの問題が示すのは、共和国とその価値について、未だにひとつの合意がないということだ。それぞれの集団(kesim)が共和国を別々に理解し、共和国の原理を異なる見方で見ているのだ。これが現実だ。この現実を隠し、ないかのように振舞うことに意味はない。
もし、共和国の価値が議論の余地のない共通の土台となっているならば、昨日我々が見たような光景、展開された策略や手段はなかっただろう。
アタテュルクが、私の最も偉大な作品と呼んだトルコ共和国で、深刻な衝突が起きているのを認めなければならない。

■2つの理念での衝突

この衝突は、アタテュルクの作った共和国の支柱を形成する2つの理念において起きている:すなわち世俗主義と国家の一体性においてだ。
アタテュルク改革の統治方針は世俗主義である。今日、これについて深刻な衝突が起きていることは事実である。アタテュルクが共和国建国の哲学としていた世俗主義への理解が、最も議論されるテーマとなっていることがこの現れである。

そして今日、国家の一体性に関し問題がないとは、やはり誰も言うことができない。
世俗主義のようなアタテュルクの国家理念も、テロに依拠した分離主義的行動と、彼らが受けている国際的支援により脅威の下にある。これにおける分離主義的活動の躍進も、目に見える状態にある。
トルコは今日、単一構造を実際に廃止し、2つの国家を擁する共和国になることを強く求められている。基本的に民族を根拠とした自治の要求も、この最も具体的な現れである。

■100年目の共和国

近代の多くが歴史となる中で、アタテュルクの建設した共和国が20世紀を乗り越えたことは大きな成功である。この成功におけるアタテュルクの先見性の功績は大きい。アタテュルクは硬直したイデオロギーに固執せず、「本当の指導者は知識だ」と述べて、我々への遺産として、知性と知識の示した道を行くよう忠告した。

100周年目にどのような共和国になるのかは、この忠告にどれほど従うことができるのかに懸かっているだろう。宗教を典拠にして統治される、民族関係により分裂するトルコは、おそらくアタテュルクが目指したトルコ共和国ではないだろう。

■大統領官邸でのレセプション

この文章を書いてから、私はギュル大統領の官邸でのレセプションに参加した。やはり、すべての新聞記者が返答を求めた質問はこれらのことに関するものだった。参謀総長と軍司令官たちは官邸のレセプションには来なかった。CHPのケマル・クルチダルオール党首も参加しないことを以前から表明していた。ギュル大統領とタイイプ・エルドアン首相に、司令官らとクルチダルオール党首が来ないことについて質問が向けられた。答えは本紙ニュース欄でどうぞ。官邸からの印象については、明日お伝えしよう。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:20536 )