2010EU加盟交渉トルコ進捗レポート発表(3)
2010年11月09日付 Radikal 紙

【2010EU加盟交渉トルコ進捗レポート発表(2)より、続く】

■「民主的解決策」は期待に答えなかった

進捗レポートでは、政府は強い意志を表明はしたものの、『(クルド問題に関する)民主的解決策』ではわずかな前進に留まったとされ、クルド人問題の解決へ向けた努力を続けるよう強く求めた。

レポートには、「民主的解決策」として提案された具体的な対策が「期待以下のものであり、きちんとした形でフォローもなされなかった」との見解が記載された。このレポートでは、テロとの戦いに関して、テロリズムが広く定義され、その結果、表現の自由を始めとする基本的な自由の制限が適用されていることが懸念の原因と成り続けていると述べられた。

進捗レポートでは、「問題の原因である」(クルド地域での)村の警備兵制度の廃止が求められた。

レポートは、2009年12月に民主市民党の解党や2人の国会議員を含む37人の党関係者へ政治禁止措置が「民主的解決」の努力に対して多大なる障害となったとされた。

進捗レポートでは、「アレヴィー問題解決」策として7つの対策が実施されたものの、初等教育で必修の「宗教文化と道徳」の授業が選択制になっていないことが批判された。そして非ムスリムの集団やアレヴィー派の人々がいかなる圧力のもとにも置かれることなく、宗教的活動を続けることを可能にする法整備が必要であるとした。

進捗レポートでは、トルコの文化的権利に関するいくつかの前進があったことや、その例としてクルド語のテレビやラジオの放送に関しての制限が撤廃されたこと、24時間アラビア語のテレビ放送がされていること、ロマの人々の状況が部分的には改善されたことが挙げられた。

進捗レポートでは、積極的なキャンペーンが行われたものの、特に東部や南東部では約20万人の子ども(その大多数が女子)が未就学であることに言及された。

このEUの報告書では、政治や、上級官僚、実業界に女性のトップが少なく、女性に向けられた暴力が続いていること、女性の職業参加率が低いままであること、女性の貞節(ナームース)をめぐる殺人事件の増加や女子が幼いうちに強制的に結婚させられる事件が続けていることを批判した。

■外交

進捗レポートは、トルコがキプロスでの全般的解決にむけての交渉へ支持を表明し続けているとしたうえで、欧州連合はトルコからさらに『積極的な支援を期待している』と記した。

レポートでは、トルコが補足プロトコルの義務を「未だに果たせておらず」、キプロス・ギリシャ政府との関係正常化が進んでいないこと、欧州連合委員会がこの問題を注視し続けていることが記された。

進捗レポートでは、トルコが特にバルカン地方で和平のために行なっている努力が称賛される一方で、バルカン地方、イラク、イラン、南カフカス、パキスタン、アフガニスタン、そして中東の和平期間のような共通の利害を有する国際問題において、欧州連合とトルコが定期的な政治的対話を続けていることも付け加えられた。

進捗レポートでは、国連安全保障理事会でのイランへの追加裁可の投票では、トルコが「反対票」を投じ、アメリカ合衆国や欧州連合諸国を支持しなかったことを明記し、「この地域でイランを重要なパートナーと見ている」トルコがイランとの二国関係をさらに発展させようとしていると記した。

進捗レポートでは、中東で建設的な役割を果たすことを望み、そしてそのためにイスラエルとシリアのあいだの仲介役が期待されていたトルコが、最近シリアとの関係を注目に値するほどに発展させている一方で、イスラエルとの関係を、特にマーヴィ・マルマラ号事件以降、悪化させたと記載した。

■トルコ経済への賞賛

欧州委員会が用意した進捗レポートでは、トルコで一人当たりの年収が欧州連合の平均の46%にまで到達したこと、さらに世界経済危機以後、素早く経済を立て直したトルコが危機に対して強く耐える力を示した点を強調した。

昨年後期に2%、今年前期に11%成長し、世界経済危機を乗り越えたトルコは、この大きな成長のおかげで、必要としていた海外からの投資獲得にも何も問題も起さなかったことがレポートに記載された。
進捗レポートでは、トルコが行なっている経済政策が最近良い結果を出していてるものの、「マクロ経済の安定には以前至っておらず、さらに力強い財政政策(財政規則)が有益となる」とも記された。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:小川玲奈 )
( 記事ID:20638 )