税・公共料金滞納者に、共和国史上最大の「恩赦」発表
2010年11月16日付 Milliyet 紙

アリ・ババジャン国務大臣兼副首相とオメル・ディンチェル労働大臣は、国に対し未納金のある国民に対して共和国史上最大の「和解策」を発表した。

政府は犠牲祭初日(16日)に国民に恩赦を発表した。アリ・ババジャン国務大臣は、電気、水道、税金、保険料など300項目に及ぶ未納金の大部分を恩赦する法案を発表した。(滞納期間の)利子と罰金は完全に帳消しとなる。未納金は、36ヵ月分までの分割払いが可能となる。クレジットカードによる支払いも可能となる。

■未納金はどう処理される?

恩赦法案により、未納金に対する全ての罰金と利子は帳消しとなる。(未納金の)元金については調整される。例えば、2003年に1,000リラ(約6万円)の未納金があった国民は、現在3万1,000リラ(約18万6,000円)を支払わねばならない。新制度では、この(3万1,000リラの)未納金の支払いは次のように計算される。延滞罰金と利子に当たる3万リラ(約18万円)は全て帳消しとなる。その代わりに、2003年から現在に至る期間の未納金には、2005年までは消費者物価指数(TÜFE)、2005年以降は生産者物価指数(ÜFE)が加算される。未納金にインフレ率を加算することで、(未納金の)元金の額は1年間で10%増となる。つまり、(2003年から2010年の7年間で)合計元金は70%増となる。従って支払う必要のある未納金総額は1,700リラ(約10万2,000円)となる。国民は3万1,000リラの代わりに、1,700リラを支払うことで未納金金を返済したこととなる。この未納金は一括払いが可能である。分割払い希望であれば、12ヵ月で1.06%、18ヵ月で1.07%、24ヵ月で1.1%、36ヵ月で1.15%の利率が適用される。

政府は、共和国史上最大の未納金恩赦(法案)を提出した。(法案により)電気から税金、保険料から商工会議所連合の会費まで、300項目の全ての未納金に新たに修正計算が適応される。恩赦法案を発表したアリ・ババジャン国務大臣は、国民と公共機関の間で膨らんだ多数の負債問題に対して可能な限り広汎な対応をとったと述べた。

アリ・ババジャン国務大臣とオメル・ディンチェル労働大臣は、昨日(15日)アンカラにて「税・公共料金未納に関する新修正関連法案」を2人で発表した。ババジャン国務大臣の説明によれば、成立予定の法律により、金額の確定している未納金については、「(本来支払われるべき)未納金元金、社会保障機構(SGK)により適用された公的延滞罰金分の50%、未納金元本と関連のない罰金の50%、延滞利子、延滞罰金、延滞追徴金等の代わりに、消費者物価指数/生産者物価指数の係数を使って決定される修正額の合計」を支払う。

(恩赦法案に)喫煙・交通の反則金は含まれるのかという新聞記者らの質問に対し、ババジャン国務大臣は、交通反則金では反則金そのものにインフレ率が適応されており(このため、恩赦には含まれない)、喫煙反則金も現在のところ(恩赦に)含まれないと述べた。徴収される滞納金を予算収入のどの項目に入れるのかという質問に対しては、ババジャン国務大臣は、その件はまだ決定していないが、(予算項目の)2-Bを検討していると述べた。ババジャン国務大臣は、「新たな修正により、2-Bの数字がいくらになるのかを、まず見てみないといけません。(2-Bの追加税収の)一部を借款返済に使用するかどうかを検討します」と話した。

■470億リラは放棄せず

オメル・ディンチェル労働大臣は、保険料滞納に対する罰金の50%値下げについて説明した。「例えば、65歳以上の人が、収入がないために生活保護を受給していたとします。その後、確認したところ、収入はありました。その人に我々が支払った(生活保護分の)給与と、それに加えて50%以上を我々は徴収していたのです」と述べた。社会保障機構(SGK)は470億リラ(約2兆8,200億円)分の滞納金徴収を放棄するとの批判に対して、ディンチェル労働大臣は次のように回答した。「組織が抱えている未収金全体の問題と、今回新たに修正計算される未納金やそれらの枠組みは、別の話です。」

ナジ・アーバル財務省政務官は、「偽造領収書」を使った人たちも(恩赦法案に)含まれていると述べた。アーバル政務官は、財務省としては、2004年12月31日以前の全項目及び期日中の50リラ(約3,000円)以下の滞納金、及び2010年7月31日以前に課された120リラ(約7,200円)以下の公的罰金を、完全に帳消しにすると発表した。

■1,200億リラ分の滞納金から救済される機会が誕生

トルコ商工会議所連合(TOBB)会長リファット・ヒサルジュクルオール氏は、膨らんだ税金及び保険料の未納金分を新たに修正計算する方向での作業が、実業界に一息つかせるとても重要な一歩であると述べこの試みが産業界を勇気づけ、加速していくだろうと話した。ヒサルジュックルオール会長は、「同様の試みを、特にクレジットカード支払いの滞納者について諸銀行からも期待している」と述べた。ヒサルジュクルオール会長は、説明の中で次のように述べた。

「TOBBは、2009年以来、民間会社と国民個人が抱える公共部門に対する税金及び保険料の未納金の支払いを可能とするプランを提出する必要性を提起してきました。ですから、今回の1,200億リラ(約7兆2,000億円)に達したと推測される税金及び保険料の膨らんだ未納金、及びその他諸公共債権を修正する作業は、実業界の希望や期待を概ね満足させることとなりました。(2008年の)世界経済危機の後の状況下で、公共機関と実業界の間の問題を解決し、新しいページを開くという観点からは、このような一歩は、経済発展を強化するものともなるでしょう。」

■クレジットカードによる支払いについては銀行に相談へ

ババジャン国務大臣が発表した法案で最も注目すべき新しい点は、初めて税金恩赦の一環としてクレジットカードによる支払いという利便性がもたらされたことである。トルコ銀行連合会長エクレム・ケスキン氏は、未納金をクレジットカードで支払うことに関する政府と諸銀行間でかわされる申し合わせの詳細は近日中に発表すると説明し、「今後の合意により、納税者はどのクレジットカードの所有者であっても、そのカードで支払い可能となるでしょう」と述べた。トルコで支払い方法として広く普及しているクレジットカードを、公共料金滞納の徴収に使用することは普通だと述べるケスキン会長は、「滞納金をクレジットカードで銀行に支払う納税者には、(その支払いが滞った場合)クレジットカード滞納者に適応される措置と同じ措置がとられる」と述べた。

■共和国史上最大の恩赦へ8つの質問

(質問)どの組織が対象か
(回答)財務省、関税庁、社会保障機構(SGK)、県特別行政体及び地方自治体、水道局、トルコ・ラジオ・テレビ協会(TRT)、トルコ配電公社(TEDAŞ)、高等教育奨学金・寮施設協会(YURTKUR)、中小企業開発支援管理局(KOSGEB)、トルコ商工会議所連合(TOBB)とTOBB関連の商工会議所、及び工業団地の諸未払金。

(質問)どの未納金が恩赦の対象か
(回答)税金と罰金、関税と公的罰金、SGK保険料と延滞金、自治体の水道・TEDAŞの電気未納金、民間配電会社への未納金、YURTKURの教育クレジット未納金、TRTへの未納金、KOSGEBの支援に基づく未収金、商工会議所会費、工業団地の電気・水道・ガス等の未収金と管理費。

(質問)どの期間が恩赦の対象か
(回答)2010年7月31日以前の未納金が恩赦の対象となる。

(質問)どのような恩赦が行われるのか
(回答)金額の決定した未納金の額が再計算される。不服申し立ての提出されている未納金に関しては、不服申し立ての決着が図られる。滞納金がクレジットカード払い可能となる。滞納金全てが36ヵ月までの分割払い可能となる。

(質問)恩赦をどのように利用できるのか
(回答)国民は書面にて(恩赦を)申請することとなる。申請は、法律が発効された月から2ヵ月後の月末までに行われる。

(質問)滞納金はどのように再計算されるのか
(回答)未払金の再計算には、卸売物価指数/消費者物価指数の率が使用される。金額の決定した未納金についてはSGK側により適用される公的罰金の50%、あるいは滞納金元金に関連のない罰金の50%の代わりに、(滞納再計算ののための)更新率が適当される。不服申し立て中の滞納金は、滞納金の50%あるいは20%を支払う。税金に関しても、延滞追徴金などの未納金については政府は完全に放棄する。

(質問)分割払いはどのように計算するのか
(回答)一括払いでは、未納金には本来のインフレ率が適用される。最初の月に全額支払うと、未納は清算される。分割払いの人々の計算は次の通りとなる。例:6回払いでは、債務係数は1.05倍。12回払いでは、1.1倍。18回払いでは1.15倍。

(質問)支払いはどのようにするのか
(回答)日常の支払いが滞ると、(恩赦の)法律は適用されない。支払いは一括払い、あるいは分割払いが可能となる。2ヵ月で一回払いが基本となる。36ヵ月で18回払いが可能。支払いは、法律が発効した月から3カ月目の月末に開始される。さらに、一年間で2回、支払い延滞の権利がある。

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:20700 )