珍しい、変わった名前、大流行―トルコ人の名前様変わり
2010年11月18日付 Zaman 紙

昔は子供に祖父母の名前が付けられていたが、この伝統はもはや失われはじめた。両親らは子供に一般的な名前を付ける代わりにユニークで、人とちがった名前を付けることに必死だ。

各家庭では、名前に、いい意味をもつ単語ではなく、注目を集める単語を使おうと、辞書やインターネット上のサイトから「今まで付けられたことがない、聞いたことがない名前」を見つけようとしている。2ヶ月の娘に「好機」の意味をもつ「タリア(Talia)」という名前を付けたアルカン一家はこうした家庭のひとつにすぎない。ありふれた名前は絶対に避けたいとうムスタファ・アルカンさん、デルヤ・アルカンさん夫妻は、子供にユニークな名前を見つけるため、Webサイトを長い時間をかけて調べた。名前の意味はそれほど重要ではないと説明する母親のデルヤ・アルカンさんは、「一般的で伝統化した名前の代わりに、人の目を引き、めったにない名前を探していました。インターネットでTailaという名前を見つけました。娘はみんなから興味をもたれ、いつも注目の的です。将来的にも、この名前の恩恵を受けると考えています。」と話している。

子供にユニークな名前をつける流れに乗っているもうひとつの家庭がハジェル・カンデミルさん、ヒュセイン・カンデミルさん夫妻だ。夫妻には「美しく高名」という意味をもつエイシャンという名前の娘がいる。母親であるハジェル・カンデミルさんは他の名前とは変わっていたためこの名前をつけたと言い、「昔からある名前はみんなが持っています。私たちは子供にユニークであって欲しかった」と話す。

■ユニークな名前は、両親の理想を反映

心理学の専門家であるユジェル・ソゼル氏は、両親が子供にユニークな名前をつけるとき、その名前は両親が自分たちの人生において求めたものの、実現できなかった理想を象徴していると説明する。ソゼル氏は、最近は両親が子供に自分を投影しようとしていると話し、このことの一番大きな原因は両親が自分たちに感じている物足りなさであると述べている。

「各家庭では子供を他の人たちとは違う、皆と同じでない特別な存在にしようと努力しています。子供にユニークで目立つ名前を付けることで自分たちが独特で素晴らしいのだと感じているのです。また両親らは子供の将来計画を立てる際、意識的に、また無意識のうちにでも自分たちの人生で成しえなかった理想を反映させています。自分たちが持つ多くの価値観を、付けた名前によって子供に映しているのです。」

ソゼル氏は、「注目や興味を持ってもらえるように」と付けられたユニークな名前が子供の自信を傷つけるとも主張している。

■時代が変わり、名前も変わった

人口国籍業務局が行った調査によれば1980年代までは男の子ならメフメト、アフメト、ムスタファ、女の子ならファトマ、アイシェ、ハティジェといった名前が主流だった。1980年代に入ると伝統的で一般的な名前にムラト、ディレキ、オズレム、セルピル、ヒュルヤ、スメイイェ、トゥーバ、ラビア、エリフ、キュブラ、ベトゥルといった名前が加わった。各家庭は、モダンさと伝統を一つの名前の中に入れようとした。ゼイネップ・スデ、アイシェ・エジェ、ムスタファ・ベルク、エミネ・ナズといった(2語からなる)名前は当時最も人気のある名前となった。1990年代には名前の最後に「ヌル(nur)」が付けられた。最近では「名前がいい意味を持つ」ことにこだわらないどころか、意味を持たなければならない、ということもなくなった。「ユニークで耳に心地よいこと」が必要な条件となった。

■人気のある、変わった名前

男の子:パミール、ラチン、メリフ、ソナト、ウラチ、ケイハン、アバイ、アンダチ、ポザン、ベルケ、ウトカン

女の子:ス、レンキ、バーデ、イルチム、デルフィン、ディリム、デレン、ジェレン、ビルン、ウルドゥル、ドゥルル、エルジェ、プレン、ディルメン、アルトゥン、ベリン、イズギ、ベリズ、ベステ

男女:アダ、ウムル、オズギュ、デスタン、ウルグン、オガン、ドルク、ドーア、イルテル、ビルハン、ブルグン

著名人が子供につけた名前:ス、パルス、デリン、ギュネイ、アルヤ、デニズ、トゥルク、アリン、ネヒル、セリン、ララ、ルズガル、デフネ、アララ、ジャン、アレス、ドゥル、メリサ、アダ、アトラス

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:20728 )