トルコはふつうになってきている
2010年11月28日付 Zaman 紙


3人の上級軍人が大臣らにより罷免されたことで、「トルコは普通になってきているか?」ということが議論されるようになった。普通になるとはどういうことか、我々が普通になったというなら、それは社会生活の中でどのような形で目にすることができうるのか?その答えは、民主主義国家や先進国では、民間人は軍のことを知らないという事実のなかに、見出すことができる。

では、トルコの現状はどうだろう?その答えを、民主主義国家と比較しながら、街なかで探した。さて、「普通になっている」という兆候は見つかるだろうか?

トルコは恐らく普通になる過程にあるる!この一週間に起こったことを振り返ってご覧なさい…メディアは、軍関係の「爆弾ニュース」を好む。民主主義国家ではあたりまえにの「3人の将官の解職」は新聞やテレビで「爆弾ニュース」として話題になった。さぁ、事件はどういったものだったか、思い出してみましょうか?

ギュルブズ・カヤ少将、アブドゥッラー・ガブレムオール海軍少将、ハリル・ヘルワジュオール少将は、バルヨズ・クーデタ計画に加担したという理由で前回の高等軍事評議会(YAŞ)で昇級が叶わなかった。彼らは軍事高等行政裁判所に訴え、昇格を果たしていた。これに対し、ベシル・アタライ内務大臣とベジディ・ギョニュル国防大臣の命令で、二人は将官で、一人は海軍将官というこの3人の上級軍人は職を解かれた。そもそも、多くの国家公務員にとって日常的におこるこうした出来事は、トルコ共和国の歴史上初である(メンデレスが罷免した司令官らを除けば)。

この事件に反発する論者らもいるが、メディアはおおよそ3人の解職について普通のこととして対応している。アブドゥッラー・ギュル大統領はこの事態が誇張されるべきではなく、「トルコの正常化」は1日では果たせないこと、そしてこの件はそのプロセスの一部であると語った。

そもそも普通になるためのプロセスは新しく始まったわけではない。8月の高等軍事評議会でたくさんの「はじめて」が起こった。8月30日以降に任命された上級司令官達は、ここのところ法に則って行動しようとしている。おそらく違和感をもつ者もいるだろうが、今日社会の大部分は軍司令官の名前を知らない。なぜなら彼らは基本的な、あたりまえの任務しかしていないからだ。

しかし、10年前もこうだったのだろうか?2月28日(1997年の「2月28日過程」)を操った強大なチェビキ・ビル将軍の名前を知らないものがいただろうか?西方研究会(BÇG)の創設者であるギュベン・エルカヤ海軍司令官を知らないものがいるだろうか?チェティン・ドアン第一軍部司令官が知られている一方で、今日同様の地位についている司令官を知っている人はいるだろうか?かつてのシェネル・エルイグル、フルシット・トロン…、政治の舞台で活躍した司令官達や、彼らがおこなったことを市民は忘れていないという現実がある。なぜならクーデタや軍の「命令muhtira」、国民への流血を伴う行動計画には常に彼らの署名があったからだ。

では、街なかの状況はどうだろうか?人々に現在の参謀総長と軍司令官が誰か尋ねてみた。イェニボスナ、バクルキョイ、タクスィム、ウスキュダル、カドゥキョイ、エミノニュで市民に訊いた。9割を越える人が軍司令官と新しい参謀総長のウシュク・コシャネルの名前を思い出せずにいた。軍司令官が誰かについては、大多数が思い出すのに苦労していた。

アブドゥッラー・サンジャックさん(47)はイェニボスナで靴屋を営んでいる。イスタンブルに住んで30年になり、3人の子供がおり皆学校に通っている。問題山積で、家族を養っていくことで頭がいっぱいである。我々の質問に対して、意味ありげに笑い、「テレビは、権力の妄想にとりつかれた軍人たちを映し出している。だから私は参謀総長も軍司令官も知らない」と話す。言葉に多少の非難を含ませていたサンジャクさんは、ヒルミ・オズキョクの名前を覚えている。「エルバカン氏が実権を握っていた時代に、ヒュセイン・クブルクオール、チェビキ・ビルといった人たちがいた。知っているとはいえないと思うが。当時ニュースで耳にする機会が多かったから覚えているだけだ」

タクシー運転手のソネル・シェン(34)、アリ・アクデニズ(39)、ファーティ・イェネル(29)、オカン・クムルル(32)、シャーヒン・ユルマズ(29)、カミル・ベルベルオール(32)、アイハン・トゥタル(40)も軍司令官が誰か知らないと話す。全く知らないのかと尋ねると、実際に彼らには首相と大統領以外の人物を知る手立てがなかったのだそうだ。必要性を感じなかったからだと彼らは話す。そもそも彼らの世界の中で軍人の名前がそれほど重要でないことは、軍国主義が特定の人間にのみ関わっているという事実を示すのに十分である。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:百合野愛 )
( 記事ID:20801 )