文化観光省から初のクルド語古典出版
2010年12月01日付 Radikal 紙


文化観光省は、初めてクルド語作品を翻訳し、クルド人詩人アフメディ・ハニの「メム・ウ・ズィン」という作品を複製し、ラテン文字に転写し、そのトルコ語訳をつけて出版した。

文化観光省のエルトゥールル・ギュナイ大臣は、同省がクルド語の作品「メム・ウ・ズィン」を初めて翻訳するにあたり記者会見を開いた。

ギュナイ大臣は記者会見で、この画期的な活動について広く人々に知らせるとし、アナトリア文化とは不可分な1つの文化であると考えており、この文化の様々な特徴と豊かさを過去から現在へ、そして現在から未来へと、色褪せ消滅させることなく存続させ、継承していく努力をしていると述べた。

ギュナイ大臣はこのような観点から、過去からの豊かな遺産が増え続け、多文化的で調和的な近代社会および国家としての、トルコの威信も増すと信じていると述べ、「この枠組みで2010年初頭に図書館・出版総局評議会では、アナトリアにおいて固有のそして広範囲にわたり使用されている母語の1つであるクルド語の、非常に豊かな文学作品であり、有名な作家であり思想家のアフメディ・ハニの有名な叙事詩を、複製版として出版すると決定しました」と述べた。

ギュナイ大臣は作品のオリジナル版を、これまでに出版されたすべての版および翻訳と照らし合わせたと説明し、「我々の決定は結果をもたらしました。本は敬愛なる学者であらせられるナームク・アチュクソズ教授により出版準備がなされました。そしてアイハン・テキ氏により改訂されました。紙質、製本、印刷品質まで入念に整えられた作品となりました。誇りを持って未来へ伝えることのできる作品が世に出たのです。本の片方の頁にはオリジナル版が古い文字で書かれたまま印刷され、そのとなりの頁にはラテン文字に転写されたトルコ語とクルド語の訳があります」と述べた。

ギュナイ大臣は、印刷されたのは2500部で、図書館で手にとって読むことができるとし、今後一般に売り出されると明らかにした。

ギュナイ大臣は、トルコという国の文化を守りはぐくみ、自分のものにしていくうえで、過去から現在、そして未来へと確固たる架け橋となるという点でこの作品はとても重要な一歩となったと考えていると強調し、作品準備にあたり努力してくれた人へ感謝の意を伝えた。

ギュナイ大臣はその後作品を手に取り、偶然開けたページに記されていた、「ズィンが川を見ると両目から血の涙が流れた。庭の風景はナイチンゲールの恋へと変化した。薔薇に薔薇水で水をやった」という一節を朗読した。同大臣は「お聞きのように、とても美しく、詩的で感動的で、これらは我々のものであり、我々の心の発露そのものです。アナトリアのいかなる言語で書かれたものであろうと、その中にはこの土地の香り、この土地に咲く花の美しさ、風のそよめき、恋の鼓動があるのです」と表現した。

■文化観光省から初のクルド語古典の翻訳

この本が、(トルコの)一体性や平和、同胞愛に貢献するよう願うとするギュナイ大臣は、新聞記者らの最近の問題に関する質問には返答しなかった。

ギュナイ大臣は、「文化観光省が今専心しているのは、今日図書館・出版総局が行ったこの特別な活動です。長い間、この活動を実現させ2010年が終わる前に、皆さんのもとにお届けすると約束していました。この約束を守るため努力してくれた仲間にとても感謝しています」と述べ、トルコの民主化、平和、同胞愛の絆が深まるために、堅実に、惑わされず、そして多くを語らず、取り組み、一歩一歩前に進むことを特に重視したと語った。

ギュナイ大臣は「文化観光省が初めてクルド語の作品を出版した」ことに触れ、「私の知る限り、初めての出版です。ここ数年、演劇・映画の分野で、我々はこのような試みを支援してきました。昨年にはディヤルバクルで上演される予定の舞台も援助しました。それ以前にはクルド語の舞台をヴァンで上演しました。映画作品ではこのような制限を設けず援助しておりました。今我々のアナトリア文学の固有の作品の1つをオリジナルの言語と我々の言語の両方で出版しました。これは我々の文化という観点から大きな財産になると考えています」と述べた。

■「クルド問題の民主的解決」なんてものはない

ギュナイ大臣は、他の新聞記者による「大臣として、この作品の出版はクルド問題の民主的解決へ貢献すると思いますか」という質問に対し、「クルド問題の民主的解決なんてものはありません。トルコには民主化のための確固たる歩みがあるだけです。この動きの中から、トルコにいる全国民が自分たち自身で自由のパラグラフ、自由という空気を獲得する可能性や環境を見つけ掴み取ることができるのです。我々は特定のエスニック集団を対象にした特別な解決策を示してはいません。我々はトルコにあらゆる色、花、特性が存在することを、それも平和の中で共に友好的に団結して存在するのを確かなものとするために努力しているのです。特定の集団を対象とした特別な活動、特別な解決策のための努力などしていません」と答えた。

「平和民主党(BDP)の議員にもこの作品を送りますか」という質問に対しギュナイ大臣は、冗談を交えつつ「もちろん送ることもできますが、本来は20リラを支払って購入していただくことになるのです。もちろん数人の仲間には贈呈しますよ」と答えた。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:20827 )