情報相「イラン人核物理学者へのテロにモサド、CIA、MI6が関与」
2010年12月04日付 Jam-e Jam 紙

ヘイダル・モスレヒー情報相は、最近起きた2件のテロ事件の犯人グループのうち数人を特定、逮捕したと発表した。

 ISNA(イラン学生通信)の報道によると、ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーン〔※アーヤトッラーよりもワンランク下の宗教指導者への尊称〕のヘイダル・モスレヒー氏は「イマームの路線の指標」と題された大会の傍らでこのことを明らかにし、「この事件には3つの諜報機関、すなわちモサド(イスラエル諜報特務局)、CIA(米国中央情報局)、MI6(英国情報局秘密情報部)が関与しており、今回の犯人逮捕によって他のメンバーを逮捕するための新たな糸口が得られた」と述べた。

 同氏はまた、「これらの組織に協力していた者たちは大規模な集団を形成し、大がかりな活動を企てていたが、これは阻止された」とも話した。情報相は逮捕された犯人の人数についてはふれていない。

 モスレヒー情報相は「敵どもはこのような活動に、敗北を喫し体制に敵意を示す集団〔※〕を利用している」と述べ、「制裁決議を可決し、我が国の核物理学者たちの実名を〔制裁対象者として〕公表したことからして、抑圧主義体制がこの分野で悪さ〔=核開発に携わる人物の誘拐・暗殺〕を仕掛けてくるだろうということは、我々にも初めから明らかだった」と続けた。
〔※訳註:1980年代の権力闘争に敗れ去った反体制組織モジャーヘディーネ・ハルグ(MKO)か、あるいは昨年の大統領選の選挙結果に抗議する人々を指すものと思われるが、「敗北を喫した集団」というのが具体的に何を指すかは不明〕

 情報相は「エリートらの暗殺で敵どもが目論んでいるのは、国の不安定化である」と述べ、「このような活動は無駄に終わるだろうということを、そして人々、特に学生たちは核エネルギーの《国産化》に向けて一層努力するだろうということを、敵どもは理解すべきだ」と続けた。

 同氏はまた「アメリカでは80の機関が、年間約20億ドルの予算でイラン・イスラーム共和国に対する《ソフトな戦争》に従事している」と述べ、「過去18年間に177億ドルが、イスラーム体制を転覆させるために明確な形で使われてきた」と話した。

シオニスト体制、アメリカ、イギリスは最近のテロの第一容疑者

 テヘラン金曜礼拝導師は我が国の核物理学者マジード・シャフリヤーリー博士へのテロに言及し、「シオニスト体制〔※イスラエル〕、アメリカ、イギリスがこの犯罪の第一容疑者であることに疑いの余地はない」と述べた。

 イラン国営放送報道センターの報道によると、アーヤトッラー・セイエド・アフマド・ハータミーはテヘラン金曜礼拝での説教の中で「シャフリヤーリー博士の殉教はイラン国民にとって非常に痛ましいことである」と述べた上で、「シャフリヤーリー教授へのテロ、そしてアッバースィー博士へのテロ未遂は、31年間に及ぶ制裁にもかかわらず先端技術を次々と獲得してきた〔イラン〕国民に対する、抑圧主義世界の復讐に他ならない」と話した。

 テヘラン臨時金曜礼拝導師はまた、「たとえ科学の輝ける灯が一つ倒されようとも、他の幾多の灯がその代わりとなるだろうということを、敵どもは知るべきだ」と述べた。

 導師は「これらのテロは国家の敵どもの窮乏と破綻を示している」と述べ、「そこにイギリスの罪深き手があることは、特に明白である。なぜなら先日イギリスの対外諜報機関の長官が、外交など信じてはいないこと、情報作戦に着手していることに言及していたからだ」と続けた。
〔※MI6のジョン・サワーズ長官が約1ヶ月前に演説のなかで、イラン核問題をめぐり、諜報活動の必要性について触れたことを指す。この発言は、イランで根深い「イギリス陰謀」説を証明するものとして理解されている〕

司法権第一副長官「シャフリヤーリー氏へのテロの犯人どもは正義の刃によって逮捕されるだろう」

 司法権第一副長官はテヘラン金曜礼拝での説教前の演説で、「人民のみなさん、100パーセント安心して欲しい。シャフリヤール博士へのテロの犯人どもは正義の刃によって逮捕される」と述べた。

 ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーンのセイエド・エブラーヒーム・ライースィー氏は、「シャフリヤール博士へのテロはモサドの陰謀であり、《偽善者集団》〔※反体制組織モジャーヘディーネ・ハルグ(MKO)を指す〕に属する国内の売国奴どもがこの犯罪を引き起こしていたことが、一部の情報によって示されている」と続けた。

 同氏は「我々は偽善者集団をよく知っている。偽善者どもは体制による断固とした取締りの結果、体制の敵どもに寝返り、イラクやアメリカ、シオニスト体制のためのスパイと化した」と話した。

 司法権第一副長官は、イラン・イスラーム共和国が核の能力を手に入れることに抑圧主義国家が反対していることに言及し、「強権国家どもは、我々が原子力のみならず核弾頭をも保有しているなどと言っているが、イラン国民はそのような〔核兵器の〕能力を保持すべきではない、というのがわれわれの意図・願望なのだ」と続けた。

 同氏は「これ〔=われわれの真意の歪曲〕に基づいて、彼らは我々に対して決議を発し、経済制裁を加え、軍事的な脅威を振りかざしている。〔イラン国民による核技術獲得を邪魔立てしようという〕こうした不当な願望のために、彼らは我が国の学者たちへのテロという、最も卑劣な所業に手を染めているのだ」と話した。

Tweet
シェア


関連記事(イラン人核物理学者暗殺に対する敵の目的:各関係者らが指摘)
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:20874 )