「エルドアンでも難しい・・」レバノン市民の声
2011年01月18日付 Milliyet 紙

レバノンで先週始まった政権崩壊危機によって、関心はタイイプ・エルドアン首相に向けられた。ベイルートの市民は「アラブの指導者ができないことを彼はやっている。しかしここの問題は、そう簡単ではない」と語る。

レバノンで2005年に暗殺されたラフィーク・ハリーリー元首相の死に関して、裁判所によって訴追されようとしているのを恐れるヒズブッラー組織は、水曜日(12日)に政権を離脱した。ラフィーク・ハリーリーの息子のサアド・ハリーリー現首相は、バラク・オバマ米大統領やニコラ・サルコジ仏大統領との会談後にエルドアン首相とも会談し、現状の検討を行った。エルドアンとハリーリーの両首相が非公開の場で何を話したかについては、今のところ不明だ。しかしエルドアン首相は一昨日(16日)イランのマフムード・アフマディネジャド大統領と電話会談を行い、昨日(17日)は(シリアの)ダマスカスでカタールとシリアの両首脳と会談した。つまり、この問題にかかりっきりだ。

レバノン国民は、もう戦争のない安定した国家を望んでいる。しかし今回の政権危機がレバノンにとっていかに重要であるかについて、彼らは懐疑的だ。市街まで1時間の距離にあるジュベイル(ビブロス)からベイルートまで毎朝働きに行くキリスト教徒のタクシー運転手のナジ・アスィルさんにとって、政権崩壊は驚きではない。「メディアはいつものように状況を誇張している。こんな危機なんて毎年起こる」と語った。

■イランにもアメリカにも近い

トルコが政権危機の解決においてどの程度、影響力があるかに関する議論では、トルコ政府が双方とそれぞれ均等な距離を置いている点に注目がされている。「エルドアン首相は中東地域で、たいていのアラブ人指導者ができないことをやった。サウジアラビアやシリアは、今までレバノンを支えてこなかった。トルコはアメリカとイランの両方に近い存在だ。もしかするとトルコは何かしてくれるかもしれない」と、食料雑貨店で働くマフムド・クルディさんはコメントした。路上で働くハサン・ベレケトさんも同じ見解だ。自動車の駐車の補助をする傍ら、「エルドアン首相は人々の心をつかんだ。もしかしたらレバノンの分裂に歯止めをかけるのに貢献してくれるかもしれない」とコメントした。レバノンで働く中東専門家のジョー・ヘロウ氏も、「トルコ人はスンナ派であるために、湾岸諸国に発言力をもっている。トルコはイランと良好な関係を築いている。問題に対して違った解決策を提示するかもしれない。しかし真の解決は国内においてだ」と述べた。

■「ここの問題は、そう簡単ではない」

家系がマルディンの出身で、生まれも育ちもベイルートであるタクシー運転手のハイダル・ダグハルブさんは、「エルドアン首相はアラブ世界で大反響を引き起こしている。アラブの指導者たちができないことを彼はやった。しかしレバノンは非常に複雑だ。エルドアン首相に手助けをしてほしいとは思うが、それは無理だろう」と語った。

レバノンの全ての内戦を経験した理髪師のハンナ・イブン・サアドさんは、レバノンを救うのはレバノン人であろうと語る。「レバノン人はお互いのことを愛してはいない。なのに、他人がレバノン人を愛してくれることがあるだろうか」と語り、解決はレバノン次第というコメントを寄せた。

アレクサンドラ・ド・クラマーさんは、ベイルートの人々とともにMilliyet紙に語った。行商人のアブデュルアズィズさんは、「エルドアン首相がレバノンを訪れた時、我々は敬意を持って迎えました。私は、彼は非常に強力な指導者だと思っています」と述べた。また、国際特別法廷がラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件に関する真実を国民に明らかにしてほしいと語った。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:21217 )