「スポーツ省」法案可決をめぐり、大統領が国会を批判
2011年01月11日付 Jam-e Jam 紙

大統領は発言のなかで、政府をめぐる最近の一部問題に関する自らの立場を表明し、国会の一部決議が公益判別評議会に委ねられたことを批判した。

 〔‥‥〕日曜日夜に行われた閣議に出席したマフムード・アフマディーネジャード大統領は、その傍らで、第一副大統領に対して指摘されている疑惑〔※〕について、「根拠がない」と一蹴、さらに国会による最近の2つの議決を批判し、中央銀行総裁の任命に関して国会が可決した法案の是非を公益判別評議会に委ねることは誤った行為だとの見方を示した。
〔※訳註:2010年4月頃から国会やメディアで指摘されている、モハンマド・レザー・ラヒーミー第一副大統領の金権疑惑のことを指す〕

 国会議員らは最近、大統領府直属の「庁」として運営されてきた「体育庁」と「国家青年庁」の二つを合併し、そこから「スポーツ青年省」という新たな省を設立する内容の法案を通していた。
〔※訳註:大統領府直属の「庁」の場合、その長官は副大統領としての肩書きをもち、大統領が自由に任命することができるが、「省」になった場合、そこの長は「大臣」となり、国会による承認が必要となる。また、国会は大臣を弾劾し、罷免する権限を持つ。つまり、二つの庁を合併し新たな省を設置することは、大統領の人事権が国会の承認・罷免権によって掣肘されることを意味する〕

 国会議員らはまた、護憲評議会によって拒否権を発動された中央銀行総裁の任命をめぐる法案の成立にこだわりを見せ、同法案を公益判別評議会に送った。
〔※護憲評議会は国会が可決した法案を、イスラーム法や憲法の規定に鑑みて拒否する権限を持つ。護憲評議会による拒否権発動を不服とした場合、国会は公益判別評議会に仲裁を求めることができる。なお、公益判別評議会の議長はアフマディーネジャード大統領の政敵であるハーシェミー=ラフサンジャーニーである〕

 この法案が公益判別評議会に送られた背景には、これより前、同法案が一度護憲評議会によって拒否され、国会が同法案に修正を施していた、という経緯がある。国会は当初、大統領と四人の政府関係者からなる「中央銀行一般会議」の構成に変更を加え、大統領を同会議のメンバーならびに議長から外す法案を通していた。

 この法案は、政府の激しい反発に直面し、それに続く形で護憲評議会からも反対意見が出され、国会に差し戻されていた。そこで国会議員らは、以前の法案に修正を加えていた。

 新たな法案では、大統領は「一般会議」のメンバーとして残るものの、中央銀行総裁の選出は大統領の指名と国会の承認によって行われることになり、同法案も護憲評議会によって拒否権が発動された。

 しかし今回、国会議員らは自らが可決した法案にこだわりを見せ、法律にもとづいて、同法案を公益判別評議会に送った。

 大統領は最近の発言のなかで、国会が可決したこれら二つの法案に対し、議員らが第五次開発計画法の可決に尽力し、政府と前向きな協力を行ったことに感謝の意を表明しつつ、「尊敬すべき国会が可決した法律のなかには、政府の政策立案を邪魔する内容のものも含まれている」と語った。

 同大統領はさらに、もし中央銀行が〔立法権など、行政権以外の〕他の権力機構からの干渉に遭うようなことになれば、中央銀行の運営は必ず困難に直面するだろうと強調した上で、「大統領は国民の票を得て、経済政策を実行している。中央銀行は、国の経済と市場を調整する役割を担った、〔行政権が完璧に把握すべき〕道具の一つなのである」。

 アフマディーネジャード大統領は、中央銀行は行政権の監督下にある組織だと力説し、「一般的な法律によって行政権、ならびに大統領の権限を削減し、公益判別評議会を通じて事実上憲法に変更を加えることは、正しいやり方とは言えず、むしろ憲法違反である。また、そのことは行政にも、負の影響を与えるだろう」と述べた。

〔‥‥〕

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( 翻訳者:多田直輝 )
( 記事ID:21254 )