ハーメネイー最高指導者、チュニジアとエジプトでの混乱についてコメント
2011年02月05日付 Mardomsalari 紙

イスラーム革命最高指導者のアーヤトッラー・ハーメネイー閣下は、テヘランでの金曜礼拝に集まった大勢の信仰心篤き革命的人民の前で、今年の革命記念日前夜祭「ファジル(夜明け)10日間」、そしてバフマン月22日〔2月11日〕の革命記念日はこれまでと異なった熱気を含むものとなるだろうと指摘し、革命の勝利によって生じた根源的で本質的な変化について説明した上で、次のように強調した。「この根源的な変化は、過去32年間にわたる〔イラン〕国民の抵抗のお陰で、現在も続いている。イラン人民は長年にわたる努力の末、北アフリカで起きた最近の出来事、特にエジプト・チュニジア両国人民のイスラーム的覚醒のなかに、自らの抑圧された、しかし力強き叫びがこだましているのを今や目撃している」。

 イラン学生通信の報道によると、テヘラン大学と同大学周辺の通りに集まったテヘラン市民多数が参加するなか開かれた礼拝の説教第一部で、ハーメネイー最高指導者はイラン・イスラーム革命が勝利を収める前の〔中東の〕状況、ならびにイスラーム革命が世界の政治力学に与えた影響について分析した上で、次のように指摘した。「力に物を言わせる世界の抑圧者どもは、中東というきわめて重要かつ戦略的地域における自らの権益を守り、また拡大させるべく、精緻な計画を立ててきた。彼らはこれを、長年にわたって首尾よく実行してきた。しかしイスラーム革命の勝利は、彼らが思い描いてきた構図のすべてを混乱に陥れた」。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下は、イスラーム革命が勝利を収めるまで、抑圧世界が中東地域に対していかなる青写真を描いてきたかについて詳述するなかで、次のように述べた。「脆弱で互いに敵対し、西洋に従順かつ傀儡的な支配者が支配し、経済的には消費者的で、科学的には後進的、文化的領域では西洋を模倣し、軍事的には弱々しく、道徳的には堕落・腐敗し、宗教的にはまったく皮相的かつ個人的ないし儀礼的、こういった国々を、抑圧諸国は中東地域の国々に対して求めてきたのである」。

 同師は、イスラーム革命という大爆発、そして傑出した知性にして、聡明でイスラーム法に通じ、神の道に努力し、勇敢かつ危険を恐れぬ、力強い言葉を持った人物、すなわちイマーム・ホメイニーの出現が、西洋が地域に思い描いていた戦略を台無しにする上できわめて重要な役割を果たしたと指摘し、「この偉大なる男を育て、出現せしめたものこそ、実に神の御業だった」と強調した。

〔‥‥〕

 同師は革命を挫こうとする敵の諸々の政策・計画について指摘し、街頭での衝突、民族紛争〔クルド人やアラブ人、バルーチ人などのイランの少数民族問題のこと〕、クーデター、8年間にわたる「強要された戦争」〔=イラン・イラク戦争のこと〕、経済制裁、過去32年間にわたって絶え間なく続く心理戦などについて触れた上で、〔‥‥〕革命の崩壊とイスラーム共和国体制の転覆こそ、過去32年間における敵の最重要目的だったと指摘し、さらに「アメリカの第二の目標は、体制転覆に失敗した場合に備えて、革命を〔内側から〕変質させることであった。つまり、革命の表面部分はそのまま残しつつも、その内側、精神の部分を破壊してしまおう、というものだ」と続けた。

 同師は、88年の反乱〔=2009年大統領選挙後の騒乱〕こそ、革命の変質を狙った敵の最新シナリオにもとづくものだったと述べ、「あの反乱を企て、指揮した人物は国外にいたし、今も国外にいる。一部の人物は、私利私欲・権力欲から彼らの陰謀に囚われ、意識的・無意識的に彼らに協力してしまった」と指摘した。

〔‥‥〕

 ハーメネイー師は続けて金曜礼拝の説教第二部のなかで、最近の北アフリカ情勢、特にチュニジア・エジプト情勢について、きわめて重要かつ真の激震とも言い得るものだと指摘し、「もしエジプト国民が至高なる神の助けを得て、自らの運動を推進するならば、アメリカやシオニスト体制は地域で取り返しのつかない敗北を喫することになるだろう」と語った。

 ハーメネイー師は、エジプト情勢に対するシオニスト体制の懸念が日増しに強まっていることに触れ、「エジプトがシオニストとの同盟関係から離脱するようなことになれば、どのような重大な事態が地域に出現するか、シオニストたちは他の誰よりも知悉している。その結末については、偉大なるイマーム〔・ホメイニー〕が予想した通り〔=イスラエルの消滅〕となるだろう」と指摘した。

 イスラーム革命最高指導者はチュニジア・エジプト情勢の原因を分析するなかで、西洋人たちがミスリーディングな分析を提示していることに触れ、次のように付け加えた。「世界的には、チュニジア及びエジプトの両国人民による蜂起の主要原因は、経済問題に過ぎないなどと分析されているようだが、チュニジア・エジプト両国の支配者たちの政策が両国人民に引き起こした屈辱感こそ、真の原因なのである」。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はビン・アリーがチュニジアでどのような政策を行ってきたかに触れ、「ビン・アリーはアメリカに完璧に従属した人物だった。一部のレポートによれば、アメリカのスパイ機関〔=CIA〕にすら従属していたという」と指摘、さらに「自国の指導者がアメリカ政府機関の正式の召使だったというのは、〔独立した〕一国民にとって耐えがたいことだ。このことが、チュニジア人民が蜂起した一つの原因なのである」と続けた。

 イスラーム革命最高指導者は、宗教的行事の禁止や公共の場所でのヘジャーブ禁止など、ビン・アリーがチュニジアで採った反宗教政策について言及し、「チュニジア人民が蜂起した動機の一つに、イスラーム主義的な動機があったことは間違いない。西洋の専門家たちはこの事実を隠そうとしている」と強調、さらに「今チュニジアでは、表面的な変化が生じている。〔これをより深いものにするためには?〕チュニジア人民は意識を高くして、自らの真の利益が何なのかをきちんと判断し、敵に騙されぬようにしなければならない」と続けた。

 ハーメネイー師は礼拝の第二講話の続きの中で、きわめて重要なエジプト情勢について触れ〔‥‥〕、「エジプトは18世紀に西洋の文化に接した、初めてのイスラーム国であり、またこの文化に抵抗した初めてのイスラーム国でもある」と述べた。

 同師は、エジプトは歴史を通じて、イスラーム主義者・イスラーム思想家たちの拠点となってきたと指摘し、「エジプトという国は、偉大かつ勇敢なるイスラーム主義者、すなわちセイエド・ジャマーロッディーン・アサダーバーディー〔通称アフガーニー〕とその弟子たち、なかでもムハンマド・アブドゥフの存在を思い起こさせてくれる国である」と語った。

 同師は、イスラーム世界〔※原文では「エジプト」とあったが、誤字と判断した〕での自由と独立を希求する運動に対してエジプトが思想的・政治的に占めてきた地位や、エジプト軍とシオニスト体制軍の戦争について説明するなかで、「エジプトはこのような気高き歴史的地位を占めてきたにもかかわらず、過去30年間、自由を尊重しなければ、反シオニズムも標榜しない、そればかりか自由の敵となって、シオニストの協力者・下僕と成り下がった人物の手に落ちていた」と指摘した。

 同師はさらに、「祝福されざる(ナー・ムバーラク)体制下で、エジプトはアラブ世界、そしてイスラーム世界に対してインスピレーションを与える国から、シオニストの協力者、パレスチナ人の敵に成り下がった」と指摘した。
〔※ムバーラク大統領の「ムバーラク」とはアラビア語で「祝福された」の意で、そこにペルシア語で「not」の意の「ナー」を付け加えた洒落〕

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下は、ホスニー・ムバーラクがシオニストによる〔2008年12月〜2009年1月にかけての〕22日間戦争で、ガザ人民に敵対し、被抑圧者たちに対する封鎖に加担したことに触れ、「こうした政策は、エジプト人民を悲しみに陥れた。なぜなら、エジプトはイスラエルを支持する体制、アメリカに完全に追随する体制になってしまい、同国人民は屈辱感を味わったからだ」と付け加えた。

 同師はエジプト人民のこれまでのイスラーム主義的経歴について触れ、エジプト人民の運動の根源には、宗教的動機も含まれていると指摘し、「エジプト人民は自らの運動を金曜礼拝、モスクでの礼拝から始めた。彼らは宗教的なスローガン、特に『神は偉大なり』を叫んでいる。エジプトにおける闘争運動のなかでもっとも強力なのも、イスラーム的な潮流によるものに他ならない」と強調した。

 同師はその上で、「西洋諸国はエジプト人民の蜂起におけるイスラーム主義的な動機が、地域の他の諸国民にも現れるのを、極度に心配している。彼らが〔エジプト〕人民の運動の原因を、経済的な要因にのみ限定して説明しようとするのは、そのためなのである」と述べた。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はこの点について、次のように強調した。「確かに経済的な要因も影響しなかったわけではない。しかしこれも、ムバーラクがアメリカにへつらい、従属したことの帰結に他ならないのだ。エジプト経済が繁栄を謳歌することなく、数十万人ものカイロ市民が貧困のために、墓地で暮らさねばならないのも、そのためなのである」。

 「アメリカはムバーラクのような召使に、報酬すら与えてこなかったし、これからも与えることはないだろう。ビン・アリーやモハンマド・レザー・パフラヴィーに対してそうだったように、エジプトの支配者が逃亡しようにも、アメリカは真っ先に門を閉じてしまうだろう」。

 ハーメネイー師はこのように述べた上で、「これはアメリカとの友情関係に胸をときめかせている者たちへの教訓だ。こうした者たちは、アメリカが自らの召使いたちに対して、どのように背を向けてきたのかを知るべきだ」と強調した。

〔‥‥〕

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:21367 )