エジプト当局に拘束されていたグーグル社幹部でネット活動家のワーイル・グナイム、釈放直後にTVに登場
2011年02月08日付 al-Quds al-Arabi 紙


■ワーイル・グナイム、デモ隊に死者が出た責任は政府にあると語る

2011年02月08日付『クドゥス・アラビー』

【カイロ】

釈放からわずか数時間後に行われた最初のインタビュー番組で、エジプト人活動家でグーグル社の中東・北アフリカ地域責任者のワーイル・グナイム氏は、エジプト人デモ隊に複数の死者が出たことについて政府の責任を問い質した。

ここ2週間の衝突で亡くなった若者たちの写真を見せられたグナイム氏は、過ちを犯したのは自分の方ではないと泣きながら誓い、「[犠牲者の]父母たちに申し訳ないと伝えたい。でも、僕の過ちじゃない。これは権力を握り、それにしがみつこうとした連中の過ちだ」と語った。そして涙で言葉を詰まらせたこの若者は、スタジオを飛び出してしまった。

国連の報告によれば、エジプト各県で起きた衝突での死者は300人以上にのぼる。また、人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチはドイツ通信に対し、この犠牲者数の統計は「確実で慎重なもの」だと語っている。

エジプト政府側はこの2週間の抗議デモでの死者数を公式には発表していない。

何千人ものエジプト人視聴者が多大な関心をもってこのインタビュー番組を観た。有名な女性キャスターのモナ・シャーズリーがワーイル・グナイムをゲストに行ったこの番組は、衛星チャンネルのドリームTVで放映された。

デモ隊は火曜日に再びタハリール広場で百万人規模のデモを呼びかけており、30年近くもエジプトを統治したフスニー・ムバーラク大統領の打倒を求める抗議行動が始まって二週間がたっても、いまだに数百人が広場でキャンプを張っている。

グナイム氏は「正義は僕たちの側にある。僕は英雄でもシンボルでも騎士でもない。僕はキーボード上だけの英雄だ…僕は売国奴じゃない…誰かに操られているわけでもない」と語った。そしてタハリール広場の若者たちについては、最初にデモの火花が散った夜(28日)に治安当局に拉致されて自分が自由を失っていた間に「犠牲を厭わなかった彼らこそ、英雄にふさわしい」と述べた。

2人の子どもの父親でもあるグナイム氏は、拘束されていた12日間、ずっと目隠しをされていたとも語った。そして月曜日(7日)の夜遅くに解放されてすぐ、自身のツイッターにこう書きこんだ。「自由とは、そのために闘う価値のある恩寵である」。

グナイム氏はアレキサンドリアで警官に襲われ、殴り殺された若者の名を冠した「僕たちはみんなハーリド・サイードだ(We are all Khaled Said)」というフェイスブックのページの創設者だ。ハーリド・サイード事件の犯人である警官たちにかけられた容疑が殺人罪ではなく過剰な暴力の行使だったことが、「治安組織による犯罪の隠ぺいに対抗する」ための大規模デモに火をつけたのだった。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

Tweet

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:21407 )