副大統領に権限委譲するも職に留まる意向を示したムバーラク大統領にデモ隊から靴が飛ぶ
2011年02月11日付 al-Quds al-Arabi 紙


■ムバーラク大統領、スライマーン副大統領に権限委譲するも大統領職に留まる意向、靴を振り上げるデモ参加者

2011年02月11日付『クドゥス・アラビー』

【カイロ】

辞任を要求する前例のない抗議行動に直面しているエジプトのフスニー・ムバーラク大統領は、憲法の規定に則り、ウマル・スライマーン副大統領に自身の権限を委譲すると発表したものの、憲法の番人としての職務を継続する意向を強調した。タハリール広場のデモ隊はこれに怒り、大統領と副大統領の辞任要求を続けている。

エジプトテレビが放映した演説でムバーラク大統領は、「憲法規定が求めるところに従い、大統領の専決事項を副大統領に委譲した」と述べ、エジプトは「岐路にあり…至高の国益を最優先させねばならない」と指摘した。

エジプト憲法の82条では、大統領が一時的に職務を遂行できなくなった場合には、憲法改正と両院の解散、内閣総辞職以外の権限を副大統領に委譲すると定められている。

まだムバーラク大統領は、人民議会に憲法の76条、77条、88条、93条、189条の改正を要請したことを確認した。これらの条文はそれぞれ、大統領への立候補資格、大統領の任期、議会選挙の監視プロセス、選挙結果への異議申し立て、憲法改正の方法に関わる。同様に大統領は、テロに関わるケースでは民間人を軍事法廷に送致できる権限を大統領に認める179条の廃止も要請した。

「タハリール広場およびエジプト全土の若者たち」に向けたこの演説で大統領は、犠牲者の血を流した責任者たちの処分も約束した。

ところがムバーラク大統領は演説の中で次のように述べて、大統領職に留まり、事態を間近で注視し続けることへのこだわりを見せた。「私は大統領として、若者たちの言葉に耳を傾けることを厭わない。だがいかなる内容、いかなる理由であれ、外国に吹き込まれた意見に耳を傾けることは耐えがたい恥辱である」。

そして「60年以上にわたる祖国への貢献で十分である」として、9月の大統領選には立候補しない意向を繰り返し表明した。

だが「自由で清潔な選挙によって国民が選択する人物に政権を移行するまでは、憲法と国民の利益を守るという私の責任を担い続ける」との決意を強調し、9月に任期が切れるまでは留まって、政治活動あるいは大統領職から完全には身を引かないと指摘した。

タハリール広場のデモ隊は木曜日の晩、大統領が即時辞任を発表しなかったことへの怒りを沸き立たせ、一部は軍に自分たちの革命への参加を求めた。

「フスニー・ムバーラク打倒!」「辞任しろ」「否!」のシュプレヒコールが群衆から上がり始める中、数百人が靴を脱ぎ、演説を続けるムバーラクが映し出されたスクリーンに向かって投げつけた。

デモ隊は土曜日にヘリオポリスの大統領宮に向かう決意を見せ、「いざ大統領宮へ、殉教者は数百万人と共に」「明日午後、大統領宮を打ち壊そう」との声が上がった。

また別のグループは即時のゼネストを呼びかけ、広場の周りに大量の兵力と戦車を配備した軍にこう要求した。「エジプト軍よ、今こそ選べ、国民を取るか政権を取るか」。

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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:21450 )