EU諸国へのヴィザなし渡航問題、オランダ・オーストリア政府が難色
2011年02月17日付 Zaman 紙

オランダとドイツの裁判所がトルコのヴィザなし渡航の権利を承認する中、オランダ及びオーストリア政府は、トルコとのヴィザ免除交渉を開始する文書で、“ヴィザ”という言葉が用いられることに反発を見せている。

EU(欧州連合)内務大臣、法務大臣らが、2月24日に行う予定の会議において、欧州委員会へのトルコとのヴィザ免除交渉の委任が行われると予想されている。しかし、この委任の決定にあたり、オランダとオーストリアが“ヴィザ”と“免除”という言葉を入れることに反発を示し、フランスとドイツはこの二ヶ国を支持したという。また最近、南キプロスギリシャ政府もこのグループに加わったといわれている。“ヴィザ”という言葉を使わずにヴィザ免除交渉を行いたいEU側では、 “加盟国”や“加盟”という言葉も問題となる。ニコラ・サルコジ氏が大統領になってからフランスは、トルコに関する文書からこの二つの言葉を取り除くことに躍起になっている。

ブリュッセルの情報筋は、(EU側で)“ヴィザ免除”という言葉の代わりに“人口移動”のような表現を用いるための働きかけが行われているが、EU理事会がはっきりと委任を表明していないため、欧州委員会が交渉を優位に進めるのは難しいだろうと指摘している。EUが2月24日の欧州委員会において、明確な委任ではなく、極めて曖昧で、どのような意味にもとれるような限定された委任を与える可能性もあるとみられている。アンカラは、交渉文書において“ヴィザ”、“ヴィザ免除”という表現が用いられることが非常に重要だと考えている。しかしEU外交官によると、ヨーロッパの政情を考慮すれば、文書に“ヴィザ免除”という表現を入れることはとても難しいという。というのも、ヨーロッパで台頭する嫌イスラム政党や、オランダで少数党政府に閣外協力を行っている、やはり嫌イスラムのヘルト・ウィルダース自由党党首がこのヴィザに関する話し合いで大変影響を持っているといわれているからだ。


2009年3月以降初めてブリュッセルを訪問するレジェプ・タイイプ・エルドアン首相が、二国間協議でヴィザ問題を取り上げることが期待されている。3月1日にブリュッセルへの半日訪問を予定しているエルドアン首相は、ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長、ヘルマン・ヴァン・ロムプイEU理事会議長、イヴ・ルテルム・ベルギー首相らとともに一同に会する。エルドアン首相は新しくなったブリュッセルの在ベルギートルコ大使館建物の開所式も行う予定だ。欧州委員会のセシリア・マルムストロム内務担当委員は、1月27日に行った会見で、ヴィザ免除の最も重要な条件であるレポ協定でトルコと合意に至ったと語り、2月24日には、EU諸国がこの合意に適切にコミットすることが必要だと述べた。一方トルコは、このレポ協定の承認に、ヴィザ免除実現に向けた合意を条件として提示している。

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( 翻訳者:大久保はるか )
( 記事ID:21541 )