リビア国営放送、「トルコ人らが反乱を扇動」と非難
2011年02月21日付 Milliyet 紙

リビア当局は、イスラエルの下で諜報活動をした疑いで、地下組織のメンバーを逮捕し、この中にはトルコ人も含まれていると発表した。リビア国営通信社による報道の後、トリポリにあるトルコ大使館は、リビア政府に「犯罪を犯したというならば、そのトルコ人たちの名前を明かすよう」求めた。

リビアで仕事をしていて家や職場で略奪に遭ったトルコ人たちは、衝突が激化するベンガジやデルネ、ジャロで脱出の時を待っている。


(中略)

リビアで反乱が拡大する中、カダフィ政権は国を混乱させ安定を乱しているのは、「外部勢力」のもとで諜報活動を行なった地下組織だと非難した。その中にはトルコ国籍保持者も含まれるという。勤務先の企業や住居において略奪や攻撃にさらされ、パニックに陥った何千人ものトルコ人を脱出させるため、アンカラとトリポリの間では活発な外交交渉が行なわれている。

■トルコ人も逮捕

リビア国営報道機関は、同国の様々な地域で行なわれている反政府デモや無秩序化は、「シオニスト勢力に仕える」一部のイスラム教国の組織が扇動したものであるとし、その中にはトルコ人も含まれると報じた。

リビアの国営新聞であるジャナ・ニュース紙、アル=フェジュリ・ジェディド紙、アル=シェムス紙は、無秩序状態は外部勢力のせいである、国を混乱させ安定を乱すことを目論む外部勢力がリビアに侵入してきた、と報道。政府の治安部隊がこの外国人グループの一部を逮捕することに成功し、逮捕者の中にはチュニジア人、エジプト人、スーダン人、パレスチナ人、シリア人に加え、トルコ人も含まれていたことを明らかにした。

■イスラエルが扇動しているとの疑惑

外国人グループが暴動の引き金を引いたこと、逮捕者の取り調べが始まったことを報じつつ、こうした組織はイスラエル軍諜報局のアモス・ヤドリン元局長のもとで活動しており、メンバーはチュニジア、モロッコ、スーダン、エジプト、レバノン、イランでも任務を遂行し、現在リビアにも侵入していると報道した。リビア当局はこのメンバーに、病院、銀行、裁判所、刑務所、警察署や役所への放火の容疑をかけている。

■トルコは直ちに問い合わせた

リビアの国営報道機関においてトルコ人が非難されると、リビア大使館は速やかに対処した。大使館はリビア当局に文書を送り、トルコ国籍保持者の嫌疑に関する報道について「詳細な情報」を要求するとともに、この報道の正当性を裏付ける証拠を求めた。

■エルドアン首相、カダフィ大佐に二度電話

昨日、特別許可を得てリビアのべンガジ市に向かったトルコ航空機は、18時に288名の乗客を乗せて帰国、このうち7番目の乗客は乳児であった。リビアから避難したトルコ人は、これにより581名になった。家族を含めると3,000人を超えるトルコ人労働者たちは、空港で厳しい環境下で夜を過ごしている。また、これとほぼ同数のトルコ人が、未だデルネ、ジャロ、ベンガジで足止めされている。デルネではオザルトゥン社の従業員250名がキャンプに避難しており、ジャロではメアムマララビ社で働くトルコ人403名は人質同然の状況の中、二袋の小麦粉で生き延びていると報じられた。ベンガジ近郊で働く同社の従業員1,200名も、食堂が略奪されたために飢餓の一歩手前であるという。

衝突が起きているベンガジ市で、夕方、反体制派の人々が治安部隊を撃退し、町を支配下に入れたと報じられた。安全を確保できないため、航空機の空港への着陸は困難になっている。タイイプ・エルドアン首相は、リビアのトルコ人がおかれている状況とその避難について、昨日ムアンマル・カダフィ大佐と電話で会談を行なった。また首相がベンガジ市で夕方起こった事態について再びカダフィ大佐に電話をかけ、航空機の着陸に援助を求めたことも明らかにされている。エルドアン首相とリビア指導者の間では、次のような会話がなされたとされる。

エルドアン首相「どうなっているのですか、そちらは混乱しているのですか?」
カダフィ大佐「大したことはありません。反抗グループがいくつかありますが、国民は私を支持しています。」
エルドアン首相「ベンガジでトラブルが起きていると聞いています。トルコの航空機が着陸できないようです。」
カダフィ大佐「どうぞ航空機を送ってください。問題はありません。」

これを受け、トルコ人の避難のため、今日、航空機1機により5名の救援チームがベンガジに赴くこと、空港待機者に食糧が送られることが明らかになった。

■我々の国民は安全

リビア大使のレヴェント・シャーヒンカヤ氏はヒュッリイェト紙に対し、リビアにいるトルコ人に対し暴行、負傷、死亡、行方不明といったことは起きていない、最優先事項はトルコ人の生命の安全である、と語った。大使は次のように述べた。
トルコ航空との提携により、衝突の激しいベンガジ市とその地域から脱出を望むトルコ人の避難が実現した。また同時に政府と在リビア・トルコ大使館の双方に緊急対策本部が設けられ、リビアで働くトルコ人に連絡をとりたい人々に対し24時間通して通信サービスが行なわれている。リビアでは二日前からインターネットが切断され、携帯電話から映像を送れないようにSMSやMMSといったサービスが利用制限されている。このため、正常に連絡をとることができない。トリポリからベンガジやその他の都市へのフライトは行なわれておらず、陸路で入ることもできない。治安部隊が陸路を封鎖したという。

■外国から支援要請

リビアの治安悪化に、同国で働くヨーロッパの人々も生命の危険を感じている。リビアの諸外国大使館は、国民を避難させるためトルコに支援を求めている。フランス、クロアチア、ハンガリー、ドイツの大使館は、避難のため特別許可によってベンガジへの着陸が予定されているトルコ航空機に、約100人分の座席を用意してほしいとリビアのトルコ大使館に申請した。

■ヒュッリイェト紙、リビアで取材

リビアの首都トリポリで住民の様子を取材しているヒュッリイェト紙のゼイネル・リュレ特派員は、カダフィ支持者に「なぜカダフィなのか」と訊ねた。カダフィ支持者は、反乱を行なう町の人々は、外国人に唆されていると答えた。トリポリのカダフィ大佐を支持するリビアの人々は、カダフィ大佐を象徴する緑色のスカーフと旗を手に町を練り歩いている。

一方、リビアでの反乱は、外国で暮らすリビア人をも刺激している。国連本部のあるスイスのジュネーヴでは、「ジッダへ行くリストで待っている」と書かれたカダフィ大佐のポスターをリビア人が踏みつけた。ロンドンのリビア大使館の前では、「リビアの虐殺者」と書かれた写真付きのポスターを掲げ、カダフィ大佐に対する抗議を行なった。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:21589 )