カッザーフィー政権、反体制派に徹底抗戦の構え。国内東部は反体制派の支配下へ
2011年02月22日付 al-Hayat 紙


■揺らぐカッザーフィー政権…反体制派に宣戦布告

2011年02月22日『アル=ハヤート』

【ニューヨーク:ラーギダ・ドゥルガーム ロンドン、カイロ:本紙】

ムアンマル・カッザーフィー政権は、昨日初めて首都トリポリへ達した抗議活動による圧力下で倒壊寸前の様相を呈しつつ、デモ参加者らに対し熾烈な戦争を仕掛けた。政権側が戦闘機を用い抗議する人々を無差別に爆撃し、数百人が死傷したとする報告が確認されている。

政府に抗議する人々は首都トリポリの街頭に集合した。各部族の族長らはカッザーフィーへの敵対の意を率直に表明し、軍の複数の部隊が反体制派への参入を決めた。300人以上の犠牲者を出し、アラブ世界に激震を与えている、歴史上最も流血の多い革命の一つが、石油輸出国リビアで発生している。

ベンガジは、権力に深く根を下ろすアラブ世界の多くの政府の一つであるリビア政府に揺さ振りをかけた民衆蜂起揺籃の地であるが、その外部にもデモは広がっており、国内東部の多くの都市は反体制派の支配下に入ったとみられる。カッザーフィーの鉄拳による厳しい試練の中、デモ隊はベンガジ及びその他の都市を制圧したと述べた。専門家の間では国が内戦状態へ向かうとの分析もある。

政権内部の対立を示す動きとして、法務大臣がデモ隊に対する暴力に抗議して辞任し、同様に多くの大使や外交官らも辞任を決定した。ムスタファー・アブドゥルジャリール法相は「流血の事態や、治安部隊による無防備なデモ隊への過剰な暴力に抗議の意を表して」辞表を提出したとの事だ。

アル=ジャズィーラ・チャンネルが医療筋の情報としてトリポリで発生した最新のデモ運動で250人が死亡したと伝える一方、アル=アラビーヤ・チャンネルは160人が犠牲になったと報じた。また、治安部隊は銀行やその他政府系機関に強奪に入り、デモ隊は多数の警察署を襲撃し破壊活動を行ったという。

カッザーフィー大佐の息子であるサイフ・アル=イスラーム氏は昨日、国内で発生したデモ中に「多数の犠牲者が出た」諸々の理由を特定するため、「国外の人権協会」を含む調査委員会を設置した。リビア国営放送は同氏が「現在発生している悲しい事態の最中に多くの犠牲者を出した背景、事実関係、理由を調査するため、リビア人裁判官とリビア人権協会、国外の人権協会のメンバーを中心とする調査委員会を設置した」と発表した。

その数分後、リビア国営放送は、治安部隊が「破壊活動を行う各勢力及び破壊・威嚇行為の拠点」を標的にした作戦を実行する中で「多くの犠牲者」が生まれたと報じた。同放送によれば、治安部隊は「リビア国家及び安全拡大に協力するリビア国民に対する憎悪に駆られ、破壊活動や威嚇行為を行う者達の拠点」を強制捜索したという。

ロイター通信はトリポリ派遣員の話として、住民は夜が更けてから発生するとみられる新たな衝突に備え、生活用品を備蓄していると報じた。食品店の前には長い行列ができ、ガソリンスタンドにも多くの車が並んだという。また、トリポリでは昨日、全国人民会議(国会)が召集される建物が炎上し、同様に東部郊外では警察署が焼き討ちにあった。

サイフ・アル=イスラーム氏は国営テレビに出演し、「軍は革命終結のために、いかなる代償を払っても治安維持に当たる」と述べ、国民を威嚇しながら沈静化を呼びかけた。同氏は、「我々は非常に士気が高い状態にある。指導者カッザーフィーがトリポリでの抗争を主導する上で、我々も武装軍も彼を支援する。我々はリビアを放棄する気は無い。男女を問わず、抵抗する者がいる限り最後の最後まで戦い抜く。我々が国を放棄するなど有り得ない。」と述べた。

トリポリ市民はこの演説に対し怒りを露わにした。サールマと名乗るリビア人女性は「あの演説はこれ以上なく最悪なものだった。リビア国民を殺戮と飢えと戦火で威嚇し、幻滅させた上に、犠牲になった殉教者らに対するお悔やみの言葉すらなかった。」と述べた。また別の青年は「我々青年が怒りを鎮めるためにも、彼の言葉に何か良い事を期待していたが、あいつは何もしてくれなかった。」と切り捨てた。

カッザーフィー大佐支持者らは昨日、トリポリの緑の広場の中心で旗を振り、カッザーフィー大佐の肖像を掲げていた。ベンガジではデモ隊が軍と警察の部隊を建物内へ撤退させた事を受け、デモによる支配が大きく広がったように見えた。デモ隊は政府系の建物に火をつけ強奪を行った。ベンガジ大学のハナー・アル=ジャラール教授は「アル=ジャズィーラ・インターナショナル」の取材に対し、武装した青年らが市の責任者となっており、治安部隊はどこにも見られないと答えた。

サラーフッディーン・アブドゥッラー氏によれば、ベンガジでは宴会ムードや高揚感が漂っており、もはや軍の支配は及んでおらず、完全にデモ隊の支配下に入ったとの事だ。また同市では市民への発砲を拒否した兵士らが指導部によって処刑されたとの報告も出回っている。

リビア人イスラーム指導者による団体は、指導部に反乱することがリビアの全ムスリムの[イスラーム法上の]「個人としての義務」であるとのファトワーを発出した。声明は、カッザーフィー政権が「アッラーとその使徒の道から完全に逸脱した」と述べている。イスラーム指導者ら50名が参加しているというその団体は、「リビア自由ウラマー・ネットワーク」と名乗り、「政府とその支援者が免責をよいことに、罰をすり抜け人道に反する血なまぐさい犯罪を重ねてきた」ため、「この政権は人々の服従と支援に値せず、あらゆる手段でそれに対し反旗を翻すことが個々人の義務である」と述べている。

(後略)

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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:21592 )