イラク:金曜デモ、各県の様子
2011年02月25日付 al-Quds al-Arabi 紙

■バスラ県庁舎がデモ隊の手に、死傷者も

2011年02月26日『クドゥス・アラビー』

【バグダード】

目撃証言によれば、バスラ県庁舎が数千名のデモ隊の手に落ち、アル=マウシル(モースル)市では死傷者が出た。アル=アンバール県でのデモも負傷者がでており、バグダードのタハリール広場には改革と汚職追放を求めて数千人が集まった。

バスラ出身の国会議員ジャウワード・アル=バズィーニーによれば、バスラ県知事シャルターグ・アル=マヤーフは辞表を提出し県庁舎を去った。

また、地元の情報によれば、ニーヌワー(ニネヴェ)県都モースル市のデモでは治安軍が発砲し死者5名負傷者17名がでた。デモ隊は政府車両に放火し県庁舎に投石した。

キルクーク県南西のアル=ハウィージャ郡では警察との乱闘で負傷者多数がでている。デモ隊は同郡の自治会議所に放火した。

イラク西部アル=アンバール県の目撃者情報では、県庁舎に投石したデモ隊に治安軍が発砲し、フォトジャーナリストを含む4名が負傷した。

サラーフッディーン県では南部のスライマーン・ベク地方で治安軍の発砲によりデモ隊の内5名が負傷。イラク南部ジー・カール県では、治安軍と県議会の建物に投石したデモ隊を、治安軍が放水により散らした。

ディヤーラー県都バアクーバでは、失業中のイラク人青年が生活を苦に焼身自殺した。

バグダードから南へ375キロのアンナーシリーヤ市では、武装イラク軍が空砲を用いデモ隊散会を促したが、デモ隊は、治安措置の強化された同市中心部へ再集結している。

アッラマーディー市では、中央広場でデモ隊数千人が礼拝を行った。人々が掲げるプラカードには「国民は政権辞任を求める」等の文字が見られた。

厳戒下のカルバラー、アンナジャフ両市でも、「昨日はチュニスとエジプトだった。今日はイラクの番だ」等のプラカードを掲げた若者たちが参加する抗議デモが行われた。

金曜(25日)、イラクの主要都市には国内状況の改革を求めるデモが広がった。

バグダードでは車両通行禁止令のため、徒歩で数千人がタハリール広場に集結した。改革と汚職追放のスローガンを繰り返すデモ隊の頭上を軍用ヘリが旋回し、建物の屋上には数百の兵が配備され随所に装甲車が展開された。

タハリール広場に近いグリーンゾーン一帯はさらに厳戒体制にあり、周辺の民間車両の通行は禁じられ、グリーンゾーンに至るジュムフーリーヤおよびサナクの両ブリッジは閉鎖、治安要員が出入り口に配置された。ジュムフーリーヤ・ブリッジ上に配備された対騒乱部隊は、セメントの封鎖ブロックを越えてきたデモ隊に放水しグリーンゾーンへのアクセスを阻んだ。デモ隊は、装甲車と警備兵に囲まれたグリーンゾーンの各ゲートへ到達したが、今のところ両者の間に衝突や暴力行為は発生していない。

タハリール広場のデモに参加した住民によれば、数百人のデモ参加者が政府治安部隊により広場へのアクセスを禁じられ、拘束者もでている。グリーンゾーンには内閣府国会にくわえ欧米大使館をはじめとする西欧諸国大使館多数が所在する。

ジュムフーリーヤ・ブリッジ上のデモ隊は、シーア派スンナ派の同胞意識を表明し金曜礼拝を合同で執り行った。

車両通行禁止は木曜深夜から課せられていたが、数百人は治安軍検問所やブロック等の障壁を越え、「怒りの金曜日」と名付けられたデモ参加のため金曜早朝タハリール広場に到達した。バグダード作戦司令部は、木曜夜から自転車バイクを含む全車両の通行止めを発令していた。

また、治安筋によればバグダード作戦司令部はイラクの民間衛星放送「アッシャルキーヤ」と「アル=バグダーディーヤ」の2局に、今次デモにかんする報道を禁じていた。また作戦司令部は、あらゆる違法行為には治安軍が対処する旨述べた。

木曜のテレビ演説でマーリキー首相は、金曜デモの背後にはバアス党員とアル=カーイダがいる疑いがあると述べ、参加しないようイラク国民に呼び掛けた。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:21637 )