エルゲネコン捜査、ジャーナリスト10人逮捕
2011年03月04日付 Radikal 紙

参謀本部のメディア工作をスクープし、また、「クーデター日記」を記事にしたアフメト・シュクと、「闇の政府」に関し各賞を受賞したスクープ、及び著作をもつネディム・シェネルの両氏が、エルゲネコン捜査の一環で逮捕された。

エルゲネコン捜査において、イスタンブルとアンカラでネディム・シェネル、アフメト・シュク、文筆家のヤルチュン・キュチュク教授を含む10名が、「武装テロ組織のメンバー」容疑で逮捕された。ジャーナリストのアフメト・シュクは逮捕の際、「触ったものは怪我する」と話した。ネディム・シェネルは「フラントのために、正義のために」と叫んだ。逮捕状の出た容疑者のなかには、MİT(国家情報機関)の関係者であるカシフ・コズィンオールもいる。

捜査は昨日(3月3日)ジャーナリストのソネル・ヤルチュンと、2名のオダTV社員の逮捕で始まった。イスタンブルとアンカラでは昨日同時にジャーナリストを含む11人が家宅捜査を受けた。ソネル・ヤルチュンのパソコンにあった文書が「エルゲネコンのメディア対応」に関するものとされた。ソネル・ヤルチュンの弁護士は、文書がコンピュータへの不正アクセスによって彼のパソコンに入ってきたもので、これは罠であると主張した。このファイルに名前の出てくるミリイェット紙の記者ネディム・シェネル、ジャーナリストのアフメト・シュク、オダTVライターのサイト・チャクルそしてヤルチュン・キュチュク教授がイスタンブルの家で捜査が行われ、逮捕された。

同じころアンカラでは、オダTVのディレクター、ドアン・ユルダクル、オダTVアンカラ支長のミュムタズ・イディル、オダTVのコラミスト・チョシュクン・ムスルク、アイドゥン・ビュユクル、ミュイエェッセル・ユルドゥズ、オダTVの記者、カシフ・コズィンオールの家に家宅捜索が入った。国家情報機関関係者のカシフ・コズィンオールが海外任務中で逮捕されなかった一方、イスタンブルの第十重罪法廷の決定により「武装テロ組織のメンバーおよび国民に対し悪意と敵意を向けた」罪で、別のジャーナリストたちは警察に連行された。

■軍の「メディア向け文書」をスクープ

参謀本部のメディア向け文書を記事にし、元軍司令官のオズデン・オルネキのものであるとされる「クーデタ日記」の存在を報道したノクタ誌のチームにも属していた記者アフメト・シュクの家宅捜索は7時に始まり、6時間続いた。シュクは警察によって家から出され、イスタンブル警察署へ連行されたが、その際、新聞記者たちに「触ったものは怪我する」と叫んだ。捜査ではシュクの本やCD、2台のパソコンのハードディスクが押収された。彼の弁護士ビュレント・ウトゥク氏は、玄関先で記者たちに対し会見を行い、次のように述べた:「彼は警察では何も話さないでしょう。最近準備していた『イマーム軍』というタイトルをつける予定の本のために逮捕されたのではないかと我々に伝えてきました。拘束・逮捕の決定には異議を申し立てます。」

シュクの妻ヨンジャ・ベルディオール・シュクさんは、散らかされた家を友人と共に片づけながらこう言った。「パソコンにあるものはすべてコピーしていきました。オリジナルも持っていきました。ミナ(シュク夫妻の娘)が見ていた子供向けビデオさえ持っていきましたよ。たくさんの紙とメモ用紙も押収されました。」いっぽう、ビルギ大学でメディア情報システムに関する授業を担当していたシュクは、大学の研究室も捜査された。

■夫人は手術したばかり

不正や、「闇の政府」について問題について多くのニュース記事や書籍を執筆し、数多くの賞を手にしてきたミリイェット紙の特派員、ネディム・シェネル氏のバクルキョイの家にも警察の捜査が入った。シェネルの家宅捜索は8時間に及んだ。シェネルの妻は一週間前に手術したばかりで、シェネルは強制捜査の際には家で一人だった。警察はシェネルの車についても、テレビ・カメラの前で捜査を行った。心臓の手術をしたシェネル夫人は強制捜査のことをきいて容体が悪くなったという。

家宅捜索が続く中、ジャーナリストのアイシェヌル・アスルラン、アスル・アイドゥンタシュは、シェネルの自宅前に来た。アイシェヌル・アルスランは「心も体もこの国に捧げたのに、なんだったのか。フラント・ディンクは『鳩のように怯えている』と語った。我々はフラントを守れなかった、シェネルのことは守りたい」と語った。シェネルが住むアパートの住民たちは、手をたたいて捜査に抗議した。

シェネルは逮捕され、警察車両に乗る際、三度「フラントのために、正義のために」と叫んだ。警察署へ連行される際にはメディア関係者に向かって「トルコにはアメリカよるも報道の自由がある、といった内務相によろしく言ってくれ」と声を張り上げた。

文筆家で教授のヤルチュン・キュチュクのバラトにある自宅の捜索は9.5時間かかった。その後逮捕され、身体検査に連れて行かれたキュチュクは、記者たちに「ファシストたちが国を占領し、戦争が始まった」と語った。

ヤルチュン・キュチュクが所有するアンカラの2つの家にも捜査が入った。逮捕されたオダTVアンカラ支長のミュムタズ・イディル氏は、気管支腫瘍の治療中。アンカラで逮捕されたミュイェッセル・ユルドゥズはエルゲネコン事件の検察官ゼケリヤ・オズを裁判に訴えており、審理は最高裁判所で3月1日に開かれた。

国家情報機関のメンバー、カシフ・コズィオールについては、ソネル・ヤルチュンに対しMİTに関する秘密文書を渡したという理由で、逮捕状が出たことが発表された。情報筋は、初めての海外任務中のMİTメンバーであるカシフ・コズィオールについて逮捕状が出される述べた。

■シュクのエルゲネコン本、『昔々あるところに・・Kırk Katır, Kırk Satır』

イスタンブル大学情報学部新聞学科卒のアフメト・シュクは、1991-2007の間、ミッリイェト新聞、ジュムフーリイェト新聞、エヴレンセル紙、イェニ・ユズユル紙、ラディカル紙で新聞記者、ノクタ誌で記者として働いた。国際的なロイター通信でも、写真記者として働いた。現在は、ビルギ大学のメディア情報学部の教員をつとめる。

ノクタ誌で働いているときに、参謀本部のメディア工作をスクープした。オズデン・オルネキのものといわれる「クーデター日記」を記事にしたチームの一員だった。ビュレント・ディクメネル新聞記者賞、トルコ新聞記者協会写真賞、メティン・ギョクテペ新聞記者賞、近代新聞記者協会報道賞を受賞している。

また、『コントゥラゲリカとエルゲネコンを理解する手引き―昔々あるところに・・』という名の本を、エルトゥールル・マヴィーオールと共著で出版した。エルゲネコン捜査の矛盾点を指摘したこの本で、訴えられていた。

シュクは、最近では、警察内のフェトフーッラー・ギュレン教団組織について本を書いていた。この本は出版直前だった。オダTVで行われた捜査でこの本のコピーが押収されたと言われている。シュクは、この捜査が、この本の出版を妨害するためのものだと述べている。
(後略)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:21711 )