恐怖の額、日本の損失
2011年03月15日付 Milliyet 紙

日本銀行は、震災後の金融市場での不安を鎮めるために2650億ドル(21.8兆円)の流動性供給を約束し、過去最大のオペに踏み切った。にもかかわらず株価は6.2%下落した。震災が日本経済に与える損害額は、1830億ドル(14.5兆円)にのぼるおそれがある。

日本の金融当局は、M9.0の大地震後初の取引日にパニックを引き起こさないための非常措置を講じた。日本銀行(BoJ)は、先週金曜日(11日)に発生した大地震の後、金融市場の安定を維持するために総額2650億ドル(21.8兆円)の流動性供給を行うと発表した。日銀史上最大の流動資金供給となる介入の一環で日銀は、まず1830億ドル(15兆円)を供給し、その後2日間で総額820億ドル(約6.5兆円)の資金を供給すると発表した。

■世界金融危機に匹敵する落ち込み

日経平均株価は昨日(14日)6.2%下落して取引を終え、10000ポイントを(6.691ポイント)下回った。東京市場での下落幅はここ2日で8%に達した。東京株式市場は2008年12月以来最大の下げ幅を記録した。日本市場は2008年末に発生した世界金融危機の初日(12月2日)に6.4%下落していた。一方で震災の後、ドル・円相場は1ドル81.88円から82.10円までドル高となった。
投資家が地震の影響を避けるために市場で売り傾向が高まったことによって、市場の損失総額は2870億ドル(22.7兆円)に達した。取引の後、上場企業の市場価値はおよそ3.5兆ドル(約277.3兆円)まで下落した。一方でクレディ・スイスが発表した調査報告では、地震が直撃した地方の損害総額は1830億ドル(14.5兆円)を超えるとの試算を出した。

■日銀:安定のためあらゆる策をとる

日本銀行の昨日の会議の後、金融政策を緩和するために新たな対策をとることが決まった。日銀の声明では、「市場の安定を維持するために流動性供給も含めて考えうるあらゆる対策をとるつもりだ。地震が与えた損害は地理的に広範囲に及び、生産は落ち込むだろう」との表現が用いられた。

■補正予算の編成

ある日銀高官は、日銀が迅速に流動性供給オペに踏み切ったことは異例のことだと述べ、事態がさらに悪化した場合供給される流動性がさらに増加することになると語った。同職員は、「我々は地震の後流動性の需要が増えるとみられており、十分な資金源があるのかという懸念を払拭することを目指している」と述べた。日本政府もなるべく早く被災者の救済を支援するための補正予算を整備するとみられている。

■ハイテク、自動車株は下落、建設業は急上昇

ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)のエコノミストたちは、停電が日本経済に損害を与える可能性があり、企業は短期間で通常業務に戻ることはできないだろうと述べた。RBSは、「この地域で組み立て施設や工場を所有するソニーのような企業は、停電のせいで重大な被害を受けるだろう」と発表した。
日本の電機産業大手ソニーの株価は、地震や津波の被害を受けた当該地域の8つの工場で製造停止を発表した後9.2%下落した。同企業は、当該工場で製造がいつ再開するかは未定だと発表した。日産の株価は9.5%、三菱自動車の株価は11.8%下落した。半導体や原子炉を生産する東芝や日立の株価は16%下落した。

■大企業は生産を中断

日本の自動車メーカーのホンダは、日本国内の全工場を閉鎖し、生産を3月20日まで停止した。
ホンダは、2011年1月に69170台の自動車を生産した。この数は生産全体の22%を占める。トヨタも日本での全生産を3月16日まで停止したと発表していた。

■世界の経済回復の障害となるのか

市場では日本で起こった地震によって日本が再び不景気に陥るだけでなく、世界経済危機以降の全世界での経済回復プロセスの障害になる可能性があることがささやかれている。ファイナンシャル・タイムズ紙は、日本が世界経済で占める割合が7%に匹敵すると報じた一方、ガーディアン紙は、日本が世界でも最大の石油輸入国の一つであり、工場での生産が停止に追い込まれたため需要も減少したと強調した。

欧州市場も下降傾向でこの日の取引が始まった。トルコ株式市場は下がらなかったが、米国市場は1%下落した。イギリスの市場は0.9%、ドイツのDAX指数は1.7%、フランスのCAC40指数は1.2%下落した。イスタンブル証券取引所はこの日の取引を1%の上昇ではじめたが、大災害の後経済成長が停滞するとの予想によって原油価格は下落した。ブレント原油の1バレルあたりの価格は111ドル(約9030円)に値下がりした一方、米国原油の1バレルあたりの価格は99ドル(約8050円)である。

■保険対象被害総額は「350億ドル」

災害リスク管理会社のエアー・ワールドワイドは、日本の地震の保険対象推定被害額は約350億ドル(約2.9兆円)になるだろうと伝えた。
エアー・ワールドワイド社は、推計は現時点の数字であるとし、地震の後に発生した津波災害や原子力発電所が引き起こす可能性がある被害は含んでいないと発表した。日本で1995年に発生した地震(阪神淡路大震災)は結果的に1000億ドル(約8.2兆円)の被害額となった。
一方で格付け会社のムーディーズは、地震や津波災害の経済への影響が予想以上になるだろうと述べた。
ムーディーズは、日本政府は被災者を救済するために公債計画を修正せざるを得ないだろうと予想したが、日本の支払いシステムに問題は起こらないだろうとの表現を用いた。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:21830 )