コラム:目的は武器輸出、民主主義は口実―リビア爆撃
2011年03月21日付 Hurriyet 紙

この文から書き始めようと思う。

‐独裁者カダフィは去らねばならない。リビア国民は自由と民主主義を手にすべきだ。

私はそれを心から望んでいる。しかし問題はこれほど「単純」ではないのだ・・・。

リビアを爆撃するために話し合いに参加している国々を見てみよう。

■たとえばイタリア

時は2009年6月・・・。

ローマの有名なドーリア・パンフィーリ公園に散策に来た人々は、公園に建てられつつあるものをしげしげと見つめた。しかしそれが何なのか全く分からなかった。

サーカスでもなく、ポストモダン美術館とも全然違った・・・。

それはカダフィ大佐のベドウィン(遊牧民)・テントだった。

ベルルスコーニ首相は、何十億ドルもの石油を持つ「独裁者」のために有名な公園を3日間、テント用に開放したのだった。

そして訪問者たちをそのテントでもてなしたのだ、そのときの主賓で、今は独裁者であるカダフィーは・・・。

こんにち「独裁者は去らねばならない」と言っているイタリアだが、そのとき公園をカダフィのテントに提供した。しかもイタリアはよく知っていた、カダフィはそのときも独裁者であったことを・・・。当時も(リビアの)牢獄は反体制派の人々でいっぱいだった。拷問により呻きながら死んでいく人々がいた。

■そしてフランス

2008年12月にカダフィ大佐がパリを訪れると、サルコジ大統領は独裁者をエリゼ宮殿で抱擁し出迎えようと考えた。しかしうまくいかなかった。なぜならカダフィはフランス大統領をこの宮殿で40分間待たせたのだ。サルコジは「石油独裁者」の兵器購入リストのことを考えながら40分を耐え、最終的にカダフィを抱擁することができた。

というのもそのときカダフィはフランスから戦闘機14機を購入したばかりだったのだ。

サルコジはカダフィのために「有名な」迎賓館を用意した。しかしカダフィはそこに宿泊しなかった。迎賓館の庭園に「有名な」ベドウィン・テントを建てさせたのだ。

彼は5日間みんなをそのテントでもてなした。

自由、平和、民主主義の国フランスは、独裁者のテントのために最も大切な庭園を開放した。

その見返りとして戦闘機を買ってもらっていた。そしてフランスもよく知っていた。国賓で元首としてもてなしたカダフィが実のところ独裁者であることを。なぜならそのときもリビアに民主主義はなかった。選挙もなかった。牢獄は満員だった。反体制派は拷問を受けていた。

なんて奇妙な話だろう!

昨日までカダフィのテントを大切な公園に建てさせ、独裁者を宮殿でもてなし、貴賓だと言っていた国々が、今はなんと爆弾を降らせはじめたのだ。

そして本当にそうした国々が恥じ入らずにはいられない質問が何か知っていますか?

‐今日カダフィが自らの市民たちに向けて使用している兵器を彼に与えたのは誰?

■そしてあのリスト

‐カダフィ大佐がローマとパリにテントを建てた2009年にEU諸国がリビアに兵器を売った額は、4億7,000万ドルにのぼった。その中にはイタリアからの戦闘機、マルタからの小型兵器、イギリスからの弾薬が含まれる。

‐今日カダフィを独裁者、国民の敵と呼んでいるアメリカは、2007年にリビアに500万ドルの兵器を売った。この象徴的な数字は、禁輸措置が解かれ独裁者と手を結んだも同然である。ブッシュの任期の終わりには、この数字は4,600万ドルまで増えた。

‐2007年にリビアはフランスとの間で戦闘機ラファーレ14機の売買契約を結んでいた。

‐イギリスの企業は、リビアが所有する戦車の改良のため、2009年末に7,700万ドルの契約をアメリカに持ちかけた。アメリカ政府はこの契約を承認した。他方でカダフィ体制に対しては圧力をかけはじめていた。スキャンダルが発覚すると直ちに契約は白紙に戻された。

‐1月30日にロシアとリビアは小型兵器をはじめとする兵器の売買のため、18億ドルの契約に合意した。このうちのどれだけが既に(リビアへ)渡ったのかは明らかでない。

そう、まさに中東とアラブ圏における「独裁者劇」の真のシナリオはこれだ。

石油と兵器。

この劇において、人間の命や死、拷問や自殺はあくまでもディテールに過ぎない・・・。

(兵器を)与えている限り独裁者だ。王であり、シェイフであり、首長だ・・・。

与えなければ民主主義が到来する。

たとえばサウジアラビア国王は、350億ドルの記録的金額の兵器をアメリカから購入した。

おそらくこのようにして(王国の)寿命は延ばされたのだ。

リビアの話に戻ろう・・・。

フランス人がどの飛行機で爆撃しているか知っていますか?

カダフィに売った戦闘機ラファーレをさらに改良した戦闘機で、である。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:21892 )