コラム:リビア対応の亀裂―背景にフランス・トルコの対立
2011年03月22日付 Milliyet 紙

リビア危機の初期段階から現在まで西側諸国に対して批判的なトルコの姿勢は、(多国籍軍によるリビアへの)軍事行動開始により、今度はアンカラとフランスの間で深刻な対立と言い合いの応酬の様相を見せている。
問題の根本には、2週間にわたりNATOによる軍事作戦検討会に参加していたトルコが、(19日)土曜日パリでフランス大統領ニコライ・サルコジ氏の大統領官邸で開催したリビアに関する会議に招待されなかったことがある。しかし、実は二国間の緊張関係は、お互いに気に入らない二つの政府と、決して好きにならない二人の指導者の間に長期間にわたって続く冷めた関係が、どれほどもろいものであるかをも表したものなのである。

■フランスのショー

アンカラの政府関係者は、フランスがリビア危機を利用し、「ショーを演じている」とし、ニコラ・サルコジ仏大統領がカダフィ・リビア大統領に対する国際的キャンペーンを率いているのは「内政を計算した上」での行動としている。トルコ政治も、外交も、現在はフランスに関して遠慮はしない。
政府筋は、エルドアン首相が先週の国会、及び今週(サウジアラビアの)ジェッダで行った演説にて、リビアに対する干渉が「石油を勘定に入れて」行われていると、遠まわしにフランスをほのめかしたことを明らかにした。
トルコの政府筋は、さらにフランス主導の下開始される軍事行動は、「メディア管理」という点からも「ひどいもの」であること、ミラージュ機と一斉砲火の映像は、中東とアラブ世界で始まった改革への支援にとって、完全に逆風となったと語っている。さらに上層部の情報では、「この映像は、人々に第二のイラクを想起させるものである。反政府側を支援しようという感情は完全に逆向きとなり、一瞬にして西側諸国の(リビア)占領に反対する空気に入れ替わった」と話している。フランス側も、同様にアンカラに対する悩みを抱える。フランス筋は、トルコをパリで開催された(対リビア)軍事行動を決定する会議に招待しなかったのは、意図的なものであったことを隠してはいない。西側諸国筋の情報では、同会議が「リビア国民を守るという目的意識をもつ国々の間で早急に実施された会議」であったことを明らかにし、トルコが「同様の考えにはないことは、エルドアン首相が数週間前にリビア及びNATOに関して行った説明してから既知であった」と話した。

■トルコの姿勢は首尾一貫していない

フランス筋は、サルコジ仏大統領が内政、あるいは経済的利益から、(軍事行動への)意欲を出しているという主張を否定し、サルコジ仏大統領は「首尾一貫」しており、かつ「決断力」があり、トルコのNATO軍に参加するかどうかに関する態度は首尾一貫していないとしている。トルコは、軍事作戦はNATOに移譲しその主導のもとで行うべきだと考える一方、フランスはトルコも含むNATOでは「決断のプロセスが非常に遅くなる」と説明している。
トルコのEU加入に長期間にわたり反対しているフランス政府は、リビア危機を、あらゆる段階で「アンカラが既に西側同盟から外れた」という議論へと巧みに操っている。明確に、あるいは婉曲に・・・。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:21903 )