作家オルハン・パムク、「トルコ人への侮辱」罪で賠償金支払い
2011年03月27日付 Milliyet 紙

ノーベル賞作家であるオルハン・パムクは、2005年における「トルコ人はこの(小アジアという)土地で3万人のクルド人と100万人のアルメニア人を殺害した」という発言により、(訴訟相手)5人に対し6千リラ支払うこととなった。

ノーベル文学賞の受賞者である作家のオルハン・パムクは、「トルコ人はこの土地で3万人のクルド人と100万人のアルメニア人を殺害した」という発言により、エルゲネコン事件で逮捕された被告人の一人であるケマル・ケリンチシズ弁護士と(PKKのテロによる)犠牲者の親族5人に対し合計6千リラの賠償金を支払うことを命じられた。第3シシュリ第一審裁判所により宣告されたこの判決に対し、パムク氏には15日間内で異議申し立てを行う権利がある。パムク氏は2005年10月にドイツで行なった講演と、スイスで発行された雑誌に対するインタビューにて、「トルコ人はこの土地で3万人のクルド人と100万人のアルメニア人を殺害した。トルコではこのことを話す勇気を誰も持っていない。私はその勇気を持っている」と発言した。

この発言を受けて、当時、法律家協会の理事であったケリンチシズ弁護士が、テロの犠牲者の親族数人と共にパムク氏に対し、「トルコ国民全体を誹謗中傷した」という主張で告訴した。そして個人の権利が侵害されたという根拠に基づき、賠償金を請求した。

■最高裁判所に委ねられた

(当初の)裁判では、「『単にトルコ国民の一人である』という理由に基づき、個人の権利が侵害されたという原告側の主張を認めることはできず、本裁判を実質的な不利益(の有無)という観点から却下することが決定した」とされ、起訴は却下された。

これを受けてケリンチシズ弁護士は、上訴のために最高裁判所第4法廷に異議申し立てを行なった。第4法廷では地域裁判所による却下決定の撤回と、パムク氏に対する起訴が要求され、審理は第3シシュリ第一審裁判所へ戻された。(しかし)裁判所が却下決定を覆さなかったことにより、審理は最高裁判所司法総会へ移された。2009年6月に決定を公表した司法総会は、「上記の説明を鑑みると、個人の名誉や尊厳と同様に、各自が属し憲法でもその範囲が定められた「国家」への所属意識もまた、個人の価値の一部であり、(それゆえ)法的に保護されるべきものである。被告人がしたとされる発言が、原告が1国民として所属する「トルコ国民」に向けられたものであった場合、原告には起訴する権利があることを認める必要がある」とし、パムク氏に対する賠償訴訟を行うことを認めた。これにより再び審理を行うこととなった裁判所は、パムク氏に対し賠償金の支払いを命じた。

■「判例となる」

この判決をエルサン・シェン教授は以下のように評価した。「(この判決により)個人が賠償訴訟を起こす権利を有することが明確となった。この判決は判例となる。債権法第60条によると、犯罪行為や犯人が明らかとなってから1年以内に、また例外的には10年以内で裁判を起こすことが必要である。本件は、すでに1年を経過していると思われるが、この犯罪は刑法301条にも関連しているため、時効は8年である。」

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:21959 )