トルコ船290人の負傷者を載せリビアを出港、トルコへ
2011年04月03日付 Zaman 紙

五日間リビアのミスラタ沖で待機しているトルコのフェリーボート・アンカラ号が、ミスラタ・ベンガジ両港から負傷者を救助できるよう、反体制派とカダフィ派が一時停戦を宣言した。290人の負傷者と80人の同行者を乗せトルコへ戻る船を守るため、12機のF-16戦闘機が巡視飛行した。

リビアへ人道支援物資を送ったトルコのアンカラ号は、ミスラタとベンガジの港からおよそ290人の負傷者と80人の同行者を乗せ、トルコへの帰路に就いた。得られた情報によるとトルコ政府は、衝突のため五日間ミスラタ沖で待機しているトルコ船が港へ接岸して負傷者を乗せることができるように、カダフィ派と反体制派の両派と会談し、一時停戦宣言を実現させた。船には反体制派の負傷者とともに、カダフィ派の負傷者もいる。

衝突発生地域であるミスラタからの負傷者救出を成功させ、全世界から注目されたアンカラ号は、3月26日土曜日にイズミルを出港し、一日でリビア沖に到着した。しかしミスラタでの激しい衝突のため、船のは港への接岸ができず、五日間にわたりミスラタ沖に待機した。トルコ政府は、ミスラタ病院とリビアの人々から、「もう我慢できない。薬さえ残っていない」というメッセージが来た後、行動に移した。アフメト・ダヴトオール外相は、金曜日の夜中にリビアのアル・バグダーディ・アリ・アル・マフムーディ首相と電話で会談し、状況の深刻さを伝えた。外相は、船の接岸のためには停戦が必要だと話した。マフムーディー首相の肯定的な返答を受けダヴトオール外相は、今度は反体制派リーダーのムスタファ・アブドルジャリル氏と電話で会談し12時間の一時停戦宣言を実現させた。

■ 二隻目の船も準備完了

トルコ船は土曜日の午後5時ごろにミスラタ港に入った。港には誰もいなかったためにそこにいた4人のトルコ人労働者の助けで、厳しい条件の中で港に接岸することができた。負傷者の多くは港で待っていた。船にあった3台の救急車は病院にいた重傷者を運んできた。230人の負傷者と60人ほどの同行者は、5時間以内に乗船した。病院にいるすべての負傷者を区別せず船に乗せたため、負傷者の中にはカダフィ派もいるという。トルコ船は600トンの人道支援物資と医療物資をリビアに届け、ベンガジへ向かった。ベンガジからも60人の負傷者と21人の同行者とともに、30人のトルコ国籍者を含む、ギリシャ・ウクライナ・イギリス・ウズベキスタン・ドイツ・フィンランド国籍の40人を乗船させ、夜遅くにイズミルへ向けて出航した。救出作業の間トルコ政府は、リビアの両派と交渉を続けた。トルコのハリト・チェヴィク外務省副事務次官は、何度も反体制派リーダーのアブドルジャリル氏と会談した。ダヴトオール外相も、得た情報をタイイプ・エルドアン首相と共有した。トルコはこの作戦を完全に自国の努力のみで実現させたが、このことはNATOへも知らされた。アンカラ号の安全のため、トルコのバンドゥルマとダラマンから12機のF-16戦闘機が、インジルリクから4機の給油機がアンカラ号の上空を巡視飛行した。船にはバルタリマヌ病院のヤヴズ・カブクチュオール院長のもと15人の医療関係者、3人の救急車運転手、そして10人の警察の特殊部隊隊員を含む20人の治安関係者がいる。

トルコは2つめのフェリーボートもリビアへの派遣にむけ準備と整えている。一般の住宅にも病人やけが人がいるため、リビアからの求めとエルドアン首相の指示があれば、いつでも出港する用意は整っているという。

■ 衝突はブレガで激化

リビアの最高指導者ムアンマル・カダフィ大佐側の軍部隊と反体制側の武装勢力の間の衝突が続いている。もっとも大きな戦闘がリビアの石油産出都市の一つであるブレガの支配をめぐって起こっている。先週反体制軍の手に落ちたブレガに集結したカダフィ軍が再攻撃した結果、反体制軍は撤退を余儀なくされた。ブレガ郊外に陣地を作った反体制軍は、カダフィ軍を砲撃して反撃しようとしているという。前日夜から今までNATOの指令を受けた戦闘機がブレガ上空を飛行したが、カダフィ軍を空爆しなかったことが明らかにされた。ウサメ・アブドゥッラーという名の反体制軍兵士は、外国の通信社へのインタビューで、同盟側の戦闘機が消極的になったのは、作戦の指揮権が米英仏からNATOに移行されたからだとした。金曜日に多国籍軍がブレガへ行った空爆で、13人の反体制派兵士が(誤爆により)死亡した。

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( 翻訳者:菱山湧人 )
( 記事ID:22025 )