ジェニーン、自由劇場のジュリアーノ・メール・ハミース監督暗殺
2011年04月06日付 al-Quds al-Arabi 紙

■アラブ/イスラエル人のジュリアーノ・メール・ハミース監督暗殺容疑者、ジェニーンで逮捕

2011年04月06日付『クドゥス・アラビー』紙

【ジェニーン:AFP】

パレスチナ治安筋から得た情報によれば、ヨルダン川西岸地区のジェニーンで水曜日、「自由劇場」主宰者だったアラブ/イスラエル人、ジュリアーノ・メール・ハミース氏の暗殺事件の捜査線上に浮かんだパレスチナ人1名が逮捕された。

月曜日(4日)にジュリアーノ氏が暗殺されてから数時間後、パレスチナ武装集団の元メンバー、ムジャーヒド・カナイリーが身柄を拘束された。情報筋がAFPに明らかにしたところでは、暗殺された時に車に同乗していた被害者の息子のシッターが、容疑者の顔を確認した。

ジェニーン警察のラーディー・アスィーダ署長は、容疑者の身元を伏せたまま、その逮捕を発表し、特定の組織に所属している人物ではないと説明した。

パレスチナ治安筋によれば、被害者が活動していたジェニーン難民キャンプに住むカナイリー容疑者は、ファタハの軍事部門であるアクサー殉教者軍団のメンバーだった。イスラエルの刑務所で数年服役した後、武器をハマースに売却した容疑で、パレスチナ自治政府に数ヶ月間、拘束された。パレスチナ治安筋の中には、彼はハマースに加入したと断言する者もいる。

一方、ハマースのサーミー・アブーザフリー報道官はプレスリリースで、「ジュリアーノ・ハミース殺害事件で西岸地区の治安機関に拘束されているカナイリーは、ファタハに所属しており、西岸地区の治安機関が主張しているのとは異なり、ハマースとは何ら関係がない」と明言した。

ユダヤ人の母とイスラエル・アラブ人の父のもとに生まれた著名な俳優であるジュリアーノ・メール・ハミース氏は月曜日、ジェニーン難民キャンプで息子とそのシッターと一緒に車に乗っていたところを、覆面した何者かによって銃撃され、殺害された。西岸地区のベツレヘム出身のパレスチナ人であるシッターは、覆面をつける前の犯人の顔を目撃していたと、ジュリアーノ氏周辺の人々が語っていた。

ジュリアーノ氏の遺体は水曜日の午前中、ハイファ市のミーダーン劇場に安置され、午後には[母アルナが眠る]近郊のRamot Menasheキブツの墓地に埋葬される。

*ジュリアーノ・メール・ハミースは、イスラエル共産党の活動家だったアラブ人の父とユダヤ人の母を持つイスラエルの俳優。第一次インティファーダの最中にジェニーン難民キャンプでパレスチナの子どもたちに芸術指導を行っていた母アルナの元教え子たちが、第二次インティファーダで武装闘争に加わり、命を落としていく姿を撮影したドキュメンタリー映画「アルナの子どもたち」を2004年に監督し、世界中で大きな反響を得る。2006年には第二次インティファーダ時のイスラエル軍による侵攻で徹底的に破壊されたジェニーン難民キャンプ内に、母アルナの遺志を継いで「自由劇場Freedom Theater」を開設、演劇を中心とする芸術を通じたパレスチナ人の自己表現や抵抗の拠点として活動。2005年に来日している。

Tweet

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:22055 )