Hasan Cemal コラム:エルドアン首相、あなたの頭脳はどれだけ明晰か?
2011年04月13日付 Milliyet 紙

タイイプ・エルドアン首相は口数の少ない、いわゆる硬派なリーダーだと言われる。
おそらく、もっと正確な言い方をするなら、重要と思った重大案件については自らの考えを表に出さないタイプだ。側近の参謀たちの意見には耳を傾けるが、あまり顔に出すことはない。
こういった点がオザル氏は異なっていた。彼は時に、最もあってはならないことを、つまり極秘とすべき事柄を最も不適切なタイミングで突然明らかにして周囲を驚かせ、「国家サイド」、とりわけ軍部の眉をしかめさせたものだった。
エルドアン首相はもっと自制的だ。一国の首相として沈黙が必要な重要案件のときは黙り、言葉を飲み込んでわずかにしか口を開かない。
前置きはさておき、エルドアン首相の頭の中では、おそらく6月12日の総選挙に向けて様々なキツネたちが駆け回っていることだろう。
それらの尻尾が互いにぶつかり合わないように、非常に注意を払っている。
それは目の前に掲げた目的のためにそうせざるを得ないからだ。
目的は2023年。
はっきり言えることは、首相は共和国100周年を、自らが政権を握り基本的な問題が解決した状況で祝い、偉大なリーダーとして歴史に名を残したいのだ。
首相の中で、大統領制の導入問題もその一環として存在する。
大統領制と合わせて行政制度の点で必要であるいくつかの重要な調整も、頭に入っている。
それには、まず何よりも、全く新しい憲法を必要とする。
そして、それには、6月12日に367以上の議席を獲得すること。
公正発展党(AKP)は6月の選挙で単独で憲法改正ができる367議席以上の議席を確保したとしよう。
しかしここで別の疑問が浮かび上がる。
大統領選はいつか?
2012年か、2014年か?
2012年というものもいるし、2014年というものもいる。
ある側近は、6月の選挙のために制定された法律から考れ、大統領選は来年実施されるという。
その場合、首相の大統領制構想を実現させる新しい憲法の制定は、2012年に間に合うのだろうか?
その可能性は低い。
それなら首相にできることは何か。
大統領の権限は今のままにして、かつてのオザル氏やデミレル氏のように首相という実質的なリーダーの座を手放してチャンカヤの大統領府へ向かうのか。
それとも、アブドゥッラー・ギュル大統領に、2012年から2017年までのもう5年、チャンカヤに留まる門戸を開くのか。
そして、2011年から2015年の間、首相のいう(自身の)「成熟期」に首相としてトルコの基本的な課題を解決し、新しい大統領制を実現するのか。
しかしそうなったなら、別の疑問もでてくる。
2015年から2017年の2年間エルドアン氏は何をするのか?
休息をとるのかもしれない。そして、2017年にいざ大統領へ。
しかし、それはちょっと複雑すぎないだろうか。
別のシナリオもあるだろう。
エルドアン首相は6月12日の選挙に勝利するが、367議席には届かなかったとする。
有り得ない話ではない。
その場合、もし大統領選が2012年だとすると、エルドアン首相はどうするか?
オザル氏やデミレル氏のように政治的結果に甘んじて、その先の引退を見据えながらチャンカヤに向かうのか。
これも、別の疑問だ。
大統領制の改革の途中で力つき、トルコの基本的な課題を取りこぼし、国を不安定にしていくのか。
他の疑問もある。
エルドアン首相は新しいAKP議会グループを自身の思うように構成したと信じている。
リーダーとして最終決定をした立候補者リストで、自分に従うグループをつくりだしたかもしれない。
しかし何にせよ、300を超える議会グループを大統領制という根本的な変化を必要とする時期にまとめていくのは容易ではないはずだ。
要するに・・・・。
首相、あなたは、何を考えているのか。
頭は冴えていますか?
将来をどれだけ見通せていますか?
しかし、これからを困難にするのも楽にするのもあなた次第であることに間違いはない。

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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:22129 )